*伊坂幸太郎「チルドレン」

 集中的に同じ作家を読み続けるのは私のクセだ。読めばそれなりに楽しい。期待しないで観た「フィッシュ・ストーリー」も手元にあるので読んでみたいが、あの映像と音楽をどう処理しているのか、期待と共に不安も感じている。
 少年犯罪が起こった後に近所の人が「あの子は1人でいればよい子なのに・・・」「あんなおとなしい子がなぜ・・・?」のような発言をよくする。主人公陣内らの会話の中に「チャイルドの複数形はチャイルズではなく、チルドレンだ。複数になると別物になるんだ」みたいなフレーズがある。これは明言だ。そんな当たり前のことに気付かぬ大人が実に多い。
 伊坂幸太郎から「仙台」と「音楽(ロック)」を取ると、かなり小説が書けなくなるんじゃ無いか? と思うのだが。本作のエピソード1からして仙台の銀行強盗だ。短編集のような、連作のような、面白いデキになっている。伊坂幸太郎にありがちな、気の弱そうな青年と、「〜つうの!」みたいな屁理屈をこねる青年も、いつも通り登場する。ファンの方でなくても、楽しい時間を過ごせるだろう。