324話 NHK受信料不払いには反対 5

と、まあ色々とNHK話ばかり、脱線も含めて続いているが、すでにまた数回分の原稿が書き上がってしまって、もうしばらく続きます。


で、そういう嫌な思いをしたが、プロジェクトXは好きな番組である。その90%ぐらいは、この番組で紹介されなければ知り得なかっただろう、素晴らしき登場される方々である。こういう方々のお陰で今の日本があるのね、と感動する。正座して見る、というのはあくまで登場される方々への敬意である。NHKへの敬意では断じてない。ちなみにあとの10%は膳場貴子アナウンサーが好みだ、という理由である。久保純子さんには悪いが、これは個人の嗜好の問題である。

ということで、「淀川工業高校、そんなに悪くないのに極悪非道の学校になっちゃった事件」を聞いた時には「そ、そ、そんな。あんなに誠意を尽くして熱心に取材される方々がつくられている番組がまさかそんなことをするなんて」とはみじんも思わなかった。「それぐらいあってもおかしくはないわな」と思った。

と、さんざんNHKの悪口を書いてしまった。NHKでは先だってより、制作費の使い込み、架空請求詐欺などさんざん悪いことをしていることが発覚した。でも会長は全然責任を取らず、そのイスにずいぶん長い間居座っていた。そこで「そないなNHKの態度に抗議する!」ってわけで受信料の不払いが激増しているという報道はずいぶん前からされている。その後もぞくぞく不祥事が続発しているので、ますます受信料不払いに拍車がかかるかもしれない。

しかし、待ってほしい。俺の話も聞いとくれ、なのである。受信料の不払いは考え直してくれ、なのである。

受信料を集めて回る方々がいる。

あなたが小学生だったとする。玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けるとおじさんが立っている。で「NHKの受信料の集金に伺いました」と言ったとする。小学生のあなたは、2階で洗濯ものを干しているママに何と叫ぶだろう。おそらく

「ママ〜、NHKの人が集金に来たよ〜」

と言うだろう。しかし、これが間違いなのである。全面的にとは言えないけれど、半分ぐらいは間違いなのである。この方々はNHKの社員ではないのである。

その仕事をされている知人がいる。集金に回っている方は、3年契約でその仕事を請け負っているのだそうである。正社員としての身分保障のようなものは一切ないのである。

その給与体系、ノルマ、報酬については詳しくは聞いていない。しかし受信料支払い拒否の人が増えて、集金の方々は「お金にならない仕事で、ものすごく忙しくなった。」とおっしゃる。

どう忙しくなったのか。戸別の集金の場合だと「もう受信料ははらいまへん」と面と向かって言うのは言う方だって信念がいる。面と向かってなら集金する方々だって「いえいえ、そうおっしゃらずにお願いします。」とも言える。誠意ある集金の方々を前にすれば「そうね、あなた方に落ち度があったわけではないですものね、分かりましたわ、お支払しますわ」という展開だって可能性はある。

しかし時代は確実に「現金をむき出しにしない方」へ変わっている。携帯をかざせば自動販売機でものが買えるという恐ろしい機械まで出現した。NHKだって多くの家庭が自動引き落としにされているだろう。この「自動引き落としを解除」されるのである。

集金の人を目の前にしないので、心痛まず簡単に受信料不払い状態をつくってしまえるのである。引き落とし停止の情報は集金の方々へも届く。すると担当者はその家庭に復活のお願いに向かう。しかし「引き落とし解除の家庭」というのは、まず復活手続きをしてくれないのだそうである。だから「むくわれない仕事でものすごく忙しい」ということになる。

末端の、社員のように高給ももらっておらず、3年契約という不安定な状態の中で一生懸命足を棒にしている方々を苦しめる受信料支払い拒否はやめてほしいと切にお願いする次第である。

そして、読者諸兄の中で、末端の額に汗して働いておられる方々にしわ寄せが行くことなく、上でぬくぬくとしているNHKの不良社員や幹部社員にのみ、効果的にダメージを与え反省を促すような方法をご存じの方があったら、ぜひ教えて頂きたいと、切にお願いする次第である。