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2007年03月22日 頂点を目指す精神 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

mf-fagott2007-03-22

丸山健二されど孤にあらず読了。
己に厳しく、有言実行の著者だからこそ書ける辛口のエッセイ集。
現実に妥協し安逸に流れようとしている自分、甘い夢ばかり見て努力を惜しんでいる自分に喝を入れてくれる一冊。

あらゆる芸術がそうであるように、文学もまたどこまで個人に立ち返ることができるかどうかで決まる。不安や孤独から哀しみや怒りが生まれ、その壁を突き抜けたことろに己れの魂があり、表現するに値するものが次第に見えてくるのだ。つまり、不安と孤独こそが創り手の宝ということになる。(「しごとの周辺」より)

私が狙っているところの《頂点》に立つ小説とは、高名な書き手が創りあげた有名な作品と肩を並べられるというようなものではなく、そのはるか上をゆく、これまで誰も書けなかった文字による圧倒的な世界、しかも映像よりも映像的な世界だった。もっと具体的にいえば、書きあげてペンを置くと同時に大声で叫びたくなるような、描き切ったという自信を超える深い感動にすっぽりと包まれるような、そんな小説を生み出すことだった。(「頂点」より)

おとなの男の夢というのは、仕事に結びついていなくてはならない。遊びからはじまったものでも仕事に結びつけば、それは間違いなく本物の夢になる。仕事こそが遊びの頂点に位置する夢のかたまりなのだ。従って、夢を持てないような仕事は仕事ではない。(「夢」より)

男の優しさは感情ではなく、知性そのものでなくてはならない。知力を駆使しての合理的な思惟方法がとれる、要するに、人として何をすべきか、何をすべきでないかを正しく選び、選んだ答えに従って実行に移す。そして望みを達成する。それこそが優しさの核をなす精神といえるものだ。(「闘いの本性」より)

すいとん大将すいとん大将 2007/03/23 23:31 なつかしや!丸山健二。
抑制の効いた文体に憧れ、シベリウスを聴きかけ(意外でしょ?)、酒精分の高い酒を好んだ若き日を思い出します。
一昨日はmixiで加藤文太郎のコミュニティに出会いました。その時と似た感動と照れ臭さを覚えます。同窓会で昔あこがれた異性に出会ったような?(卑近な例えで恐縮っす)。
60過ぎた今では、どのような文体になっているのかな。

tomtomtomtom 2007/03/24 13:47 あれっ? 「画像内の文字列を入力してください」に例(?)に出ている「410386」(あれ? さっきと文字が替わっている!!)を入力したら、反映されましたよ。いままではそんな必要はなかったのに! 投稿の仕方が変わったのですか。

tomtomtomtom 2007/03/24 13:50 では、あらためて「元祖、自転車少年」に投稿しなおします。といって、そんなしなおすほどの内容ではないけれど。でも、くやしいから、投稿します。

mf-fagottmf-fagott 2007/03/24 23:53 大将にtomtomさん、せっかくのコメントがうまく投稿できないようで、すいませんねえ。運営元の方で何かの不具合が生じているのでしょうか。投稿の仕方が変わったということはないと思うのですが…
丸山健二の小説、何か一つ読んでみようと思いつつも、何にしようか決めかねているところです。
大将がシベリウスを聴いていた? 知らなかったなあ…

tomtomtomtom 2007/03/29 22:38 荒川洋治の『文芸時評という感想』(小林秀雄賞受賞の新聞連載の文芸時評を集めたもの)を読んでいたら、丸山健二の「生者へ」(2000年「新潮」初出)が紹介されていました。「父だけではなく、文学の世界もまた『おぞましい』ものと感じるようになる。/まともに小説を読んだこともなく、同人誌というものすら知らなかった丸山青年は二十三歳の若さで芥川賞を受賞」した作者の自伝小説とのこと。作者が反抗し続けた父が、魅力的に描かれているらしいです。

mf-fagottmf-fagott 2007/03/29 23:38 tomtomさん、ありがとうございます。4月から使う教科書を読んでいたら、荒川洋治のいい文章が載っていました。丸山健二の『生者へ』についてさっそく調べてみました。エッセイとして書かれたようですが、面白そうですね。