庭と椅子

mf-fagott2008-06-04東京都現代美術館で開催中の「屋上庭園」という展覧会を観て来ました。(懸賞でチケットが当ったので…)


東京駅発の都営バスに揺られながら、おのぼりさんの気分で見慣れない景色を眺めていて感じたのは、東京の街は意外と緑が多いなあということ。緑を積極的に増やそうという都市計画の成果が表れ始めたということでしょうか。街路樹として植えられたヤマボウシの木はぎっしりと白い花をつけて、今がちょうど見頃のようでした。


初めて行く東京都現代美術館も樹木の繁茂する木場公園の一角にありました。
「屋上庭園」という企画は、リーフレットによれば「自然光の差し込む3階展示室を屋上庭園と捉え、近現代の作家の庭をめぐる様々なアプローチを、10のセクションに分けて紹介」するというもの。
一番見ごたえがあったのは、糸瓜、芥子の花、葱坊主、朝顔、向日葵などの植物を描いた牧野虎雄の油絵。もともとは人によって植えられた植物が人の思惑を越えて繁茂していく、その本源的なエネルギーがカンバスの中に充満し、見る人にまで迫って来ます。また、緑と白を基調とした抑制された色彩の画面の中で、赤や橙の花が小さい炎のようにその存在感を主張しているのが印象に残りました。我が家の小さな庭も、あんなふうな色彩でまとめられたら素敵なんだけど… 今回展示されていた牧野虎雄の作品は10点ほどでしたが、この美術館には70点余の所蔵作品があるとのこと、ぜひ他の作品も見てみたいと思います。


企画展のチケットで常設展も観られるということで、そちらも駆け足で見てきましたが、三階のロビーに展示してあった矢萩喜従郎の椅子のシンプルな美しさと座り心地の良さが感動的でした。ああいう椅子で読書したい!

ミュージアム・ショップを覗くと、欲しい本がたくさん見つかりましたが、何も買わず(お金がないので)、喫茶コーナーでお茶を飲みたかったけれどもそれも諦め(時間がないので)、「屋上庭園」に再入場して牧野虎雄の絵を目に焼き付けてから帰宅しました。