著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『そして五人がいなくなる』

はやみねかおる/挿画:村田四郎『そし

isbn:4061473921
名探偵夢水清志郎事件ノートの第1作にしてシリーズの方向を決定した傑作。生活能力皆無、でも推理力は抜群で人を見る目も確か、という教授の人となりをさらっと描いてみせる導入部が見事。ハイテク遊園地における子供たちの消失事件をあつかった本編も、「伯爵」なる謎の人物と教授との対決などけれんみたっぷりでよい。ばればれであることもまた重要であるような気もするのです。のちの作品で炸裂する名作ミステリへのオマージュが控えめなぶん、児童文学としての完成度が高い気が。バランスがちょうどよい。

著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『消える総生島』

消える総生島 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
isbn:4061484230
映画のイメージガールに選ばれた亜衣・真衣・美衣の三姉妹と強引にお供した教授がやってきたロケ地は鬼伝説のある孤島だった。クルーザーが爆破され、島に閉じ込められた一行の前に鬼があらわれ、人や山や島を消してしまった!? いろんな意味で小学校教師っぽい主張と頭を抱えるトンデモ大トリックの組み合わせが絶妙。まあ、飯食ってうだうだしてるだけの人間じゃないぞ、と。

著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『踊る夜光怪人』

踊る夜光怪人 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
isbn:4061484664
夜光る怪人が踊ったり首はずしたりして大騒ぎ!  に暗号を解読して、お宝を探せ!  なエピソードをくわえた1冊。ことの真相が判明してからの処理がいかにもこのシリーズであります。脱力にもほどがある怪人の正体もまたよし。とにかく楽しくてよろしい。素晴らしい。


 

著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『機巧館(からくりやかた)のかぞえ唄』

機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
isbn:4061484826
ベテランミステリ作家・平井龍太郎のデビュー五十周年記念パーティーに招かれた三姉妹(+教授)一行が訪れたのはいかにも怪しい「機巧館」。壇上で新作『夢の中の失楽』を宣言した平井龍太郎はその直後密室状態の書斎から消失してしまう。メタ。先行作品への愛情を感じる悪夢めいたムードがよいですが、このシリーズはとにかく楽しければいいと思ってるので、そんなに歓迎しない方向性だったりします。
 

著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『人形は笑わない』

人形は笑わない 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
isbn:4061485679
三つ子も中3か〜 映画を撮ることになった文芸部一行がロケハンに向かったのは「人形の塔」がある過疎村「毬音(まりね)村」。コンテ切ろうとか考えてなさそうなのが中学生っぽい。出来が想像できるなあ……。密室状態の塔内での刺殺事件は、現場を一見してばればれな気がしますが、警察関係者は頭がほわーんとしてたんでしょうか。亜衣とレーチはラブコメしております。
 

著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『「ミステリーの館」へ、ようこそ』

「ミステリーの館」へ、ようこそ-名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
isbn:4061485970
なんと、二重の袋とじ。テーマパーク「ミステリーの館」に招かれた一行が遭遇する密室からの消失イリュージョン。赤い袋とじの中がポイントでしょうね。彼らは赤い夢の住人ですから。


 

著:はやみねかおる/挿画:村田四郎『あやかし修学旅行 鵺のなく夜』

あやかし修学旅行 鵺のなく夜 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
isbn:4061486217
事件らしい事件の起こらないこういうお話のほうがじつは好きだったりします。教授のわんこそば大食いとか、なんの意味もないんだけど、そこが素晴らしい。レーチの修学旅行費用調達エピソードにあれだけ枚数割いて肝心の修学旅行終盤がすごく駆け足に語られるところとか、バランスぜんぜん考えてない。てっきり後編に続くもんだと思って読んでたら急激に終わってびっくりしました。でも、そこもよい。ただ楽しいだけの1冊で、こっ恥ずかしくなるようなラブコメ展開もあり。まあ、修学旅行ですから、青春の思い出ですから。