雑感を若干、と思ったら長くなりました

3.11以降、中沢新一さん曰く「日本の大転換」を迎えなくてはならなくなって、自分でもずっと状況を注視してきて、最初の一ヶ月ははっきり言ってショックで病人のようになっていて、そのあとも一日の大半が「無気力」というか「軽い鬱」状態で、前向きなことは少ししかできなかった。
自分から進んでやったのは4月13日の東中野ポレポレ坐での「ひそやかな祈りの集い」くらいだった。

今まで、いろいろな場で祈りの機会を持つことがあったけど、それは誰かがお膳立てしてくれたところに、細野グループで参加したりしたわけで、今回はそのような動きも起こらず、「いよいよ自分がやらなければならないのだな」と思ったからである。
この日は盟友春日聡くんが楽器を持って来て、僕と二人で床に並べ、國學院大學の椎葉出身学生の甲斐祐貴くんに神事を頼み、浅草雑芸団上島敏昭さん、由紀さん、ミュージシャンの江草啓太さん、ゆうこさん、福岡ユタカさん、など10数名が集まってくれて、それぞれの思いや祈りをほぼ即興で展開、音も舞も自然発生、自然展開、自然収束して、とても根源的な祭り空間が生まれ、細野さんの言うところの「神ながらの即興」となり、きっと何かの役に立ったのだと確信している。
参加してくれた人たちも「参加してよかった」と言ってくれたし。

その後は、札幌に二回ほど戻ったりして過ごしていたのだが、やはりなかなか気力が出なくて、やらなきゃならないことはビデオの編集や資料の整理などたくさんあるけれど、機器のトラブルもあり進まない毎日が続いていた。

それが、震災後二つ目の自主企画である、この週末の「隠岐由良比女神社例大祭参拝と隠岐島前神楽に浸る合宿」が近づいてきて、少し気力が沸いてきて、滞っていたブログを書いてみるかという気になっていたのである。
このかん、TwitterFacebookには「せめてもの世間(ネットだけだが)の接触」ということで、いろいろ書き込んだりしていたけれど。

僕はたしか29歳くらいで連れ合いと一緒になっているので、それから29年経つことになる。連れ合いのみかみめぐるとはほんとうにいろいろなことをやって、その詳細は最近ほったらかしではあるけど、ホームページの「活動歴」を参照して下さい。
http://www2.comco.ne.jp/~micabox/bun/bio.html

そうすると最初の29年があって、次の29年があって、いよいよ最後の29年かな、と思う今日この頃。
そんなに生きられるかはわからないが、なんというタイミングなんだろう。
この数年の自分は、東京に出稼ぎに出てきていて、『神楽と出会う本』という神楽ガイドブックを出すことも出来たが、その後なかなか思い描いていたイメージのように仕事が増えず、経済的にも厳しくなったので、愛用のギターを売ったりしてしのいできたのだが、今回の震災で「いよいよ生活の大転換」という状況になってきた。

10月からは中沢さんが明治大学に「野生の科学研究センター」を立ち上げるのだが、この震災と原発事故を受けて「魂の東北復興プロジェクト」をその中に作って、これまでの多摩美の芸術人類学研究所やくくのち学舎などと共に、東北の現地の活動とリンクすることになった。そして僕はそこの研究員として手伝うことになっていて、具体的には祭りや神楽、民俗芸能が復興のよりどころになるような分野に力を注ぐことになると思う。
兼業音楽家としても出来る範囲で活動を続けては行くけれど、仕事のメインは神楽・伝承音楽研究をベースとした「復興支援」関係になる。気功も役に立つだろう。
http://kagurakagura.wordpress.com/2011/05/24/
必然的にこれから生まれてくる「緑の党のようなもの」にも関わっていくことになるだろうし、いままでいろいろなことをやって来た僕だけど、これらが「最後の仕事」になるかもしれない。
ただ、これまでの29年でやって来たことと断絶しているわけではないので、自分としてはとても自然の成り行きなのだが。

そんなわけで、ぼくは札幌の自宅にはほとんど帰れない状況になっていくし、みかみめぐるは今札幌で被災者支援の「むすびば」でフル回転のボランティアをしている。
http://shien-do.com/musubiba/home/
そんなわけで、自宅がほとんど有効に使われないムダな存在になり、溜め込んだものも多く重荷にもなるのでこれを機会に身辺整理を兼ねて処分することにした。

まだ正式に売りに出してはいないけど、ダウンサイジングした家に8月から引っ越します。
処分する家は北海道神宮円山動物園に近い、宮の森地区の環境のいい場所にあり、元果樹園だった土地なので栽培用のクルミの木が3本、サクランボと梅が一本ずつ、生け垣はグズベリと、実の成る木もあって、自然派向きの二世帯住宅です。冬は暖房にお金がかかるのは北海道なので仕方ないですが、夏にはエアコンの必要はありません。
地下には僕が音楽製作やQUOTATIONSのリハをした防音処理した14畳のスタジオもありますよ。

泊原発があるのが気になるけれど、今のところ北海道は放射線でも安全なエリアだし、札幌はとても住みやすいので、もし移住を検討している人でご興味あれば連絡下さい。詳細をお伝えすることが出来ます。プロフィールにアドレスがあります。

そんな「大転換」を個人的にも迎える今日この頃というわけです。