神楽のコスモロジー

今、「神楽と宇宙」みたいなことを書いています。神楽の持つコスモロジーってかんじかな。
この写真は宮崎の米良神楽のひとつ、銀鏡(しろみ)神楽だけど、望遠鏡もないし、カメラもなかった頃の人たちの表現した「宇宙」を見ることが出来る。

写真の一枚目は前日に「二十八星宿信仰」の星祭りでの「星の舞」が舞われる内神屋。中央から四本の注連縄が張られ七枚ずつ紙垂と椎の葉が付けられている。合計二十八枚となり二十八星宿を表す。
中央は舞が終わった後に餅と榊が北向きに付けられ北極星となる。


二枚目がこの下で舞う神楽三十三番の一番目、「星の舞」。この舞があるのは米良の銀鏡神楽と越野尾神楽だけだ。
翌日の神楽は二番の「清山」から始まるが舞は同じだ。

三枚目は外神屋の祭壇。立てられているのが「シメ(注連)」で米良山系の神楽に共通する神々の依代。これだけ目立って立派なら神様も見つけやすいだろう(^^)
山から太陽が昇る様子を表すと言われている。

四枚目の左側に吊るされているのが天蓋の一種の「あま(天)」。米良では他に白蓋(びゃっかい)、白海(同)、などと呼ぶ。高千穂では「雲」。「天」は宇宙を表し、五行を表す五色の御幣も付けられている。中には「奥三河の花祭」では「蜂の巣」と呼ばれる袋があり、銀鏡では「白蓋鬼神(あまほめ)」がこれを突いて破り、中から「万物のもの種」が舞い落ちてくる。
花祭りでも「朝鬼」がこれを破る。

このように神楽では小さな村の祭りで「宇宙」が想像力豊かにいろいろなビジュアルで表現されている。
銀鏡の長老濱砂武昭さんはこれを「縄文からの星の信仰」と説明している。

なんか銀河とかきれいな宇宙の写真よりこっちの宇宙のほうが先人とつながるようで好きである。根っからの「土着系」かもしれない^^;