「天気と気象についてわかっていることいないこと」を読む

天気と気象についてわかっていることいないこと
筆保弘徳、芳村圭編著
稲津將、吉野純、加藤輝之、茂木耕作、三好健正著
2013年 ベレ出版


第1章 温帯低気圧の研究 稲津將
第2章 台風の研究 筆保弘徳
第3章 竜巻の研究 吉野純
第4章 集中豪雨の研究 加藤輝之
第5章 梅雨の研究 茂木耕作
第6章 水循環の研究 芳村圭
第7章 天気予報の研究 三好健正


それぞれの章を専門家が書いていて、導入から始まって最新の研究についての報告までわかりやすく説明してくれているのだが、それでも途中からなんかよくわからなくなる私は、ほんとに理系の頭を持ち合わせていないなと思うのだった。
しっかりと理解していないので、個々の内容についての感想などとても書けないのだが、台風も竜巻も集中豪雨も水循環の話もたいへん興味深いので、繰り返し読んでみようと思う。
また、コラムで、それぞれの著者がいかにして気象学者になったか、どんな研究をしているかといったことが取り上げられていて、おもしろかった。
地面や海面が暖まることによって水が蒸発して水蒸気になって、水蒸気が上昇して上空の冷たい空気が下降して対流ができて、この対流が積乱雲で、積乱雲が集中豪雨や台風や竜巻を起こすらしいということはわかった。
太平洋という巨大な水の固まりが、日本の気象に多大な影響を与えていることもわかった。
とにかく、地球上の水の循環が全ての気象を引き起こしているというのは、スケールがでかくて読んでいて気持ちがいいのだった。


イムリーなことを言えば、竜巻の研究について。
先日、埼玉・千葉を襲った竜巻のニュースで、藤田スケールという竜巻の強さを表す指標により今回の竜巻はF2の強さであると報道された。9月4日の朝日新聞朝刊の「ニュースがわからん」というコラムでこの藤田スケールについて説明していたが、発案者がミスター・トルネード(みんなが思うことがだ、「野茂でない」と本書にも記されている)と呼ばれる日本人の気象学者藤田哲也博士であり、博士は気象学の世界にノーベル賞があれば間違いなく受賞していたと言われると書いてあった。が、それは本書に書いてあることそのままの内容だった。新聞に書いてなかったことを言えば、博士は、ダウンバーストという、積乱雲による冷気が下降気流となり地面にぶつかって放射状に広がる現象を発見したそうだ。それまで竜巻によるものだと思われていたこの現象を違うものだと判断したのは、博士が長崎と広島の原爆被害を調査した経験から爆心地から放射状に樹木が倒れていた光景とアメリカの被害地の光景がひどく似ていたからだという。あと「吸い込み渦」の発見もしたそうだ(説明は難しいので省略)。

天気と気象についてわかっていることいないこと (BERET SCIENCE)

天気と気象についてわかっていることいないこと (BERET SCIENCE)