医薬品ネット販売についてのパブリックコメント書きました

このところ続けて書いている、「医薬品ネット販売について」のパブコメを書きましたのでここに公開します。

パブコメを送りたい方は、必ず下記の「要領」をまず読んでください。標題は「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案について」と書かなければいけないなど、決まりが書いてあります。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

パブコメ受付サイトは下記。このほか、手紙やファックスでも受け付けるそうです。(上記「要領」を参照。)ウチの学校PTAのロビー活動の経験からいうと、ネットより手紙やファックスのほうが、物量のインパクトが大きいので、できる人は「紙」で送りつけたほうがいいと思います。
厚生労働省

下記は、コピペ、コピペ改変、全文引用、部分引用、なんでも可です。行政にかかわる文章であり、「パブリック・ドメイン」だと私は思っています。文字数制限があるので、空き行を入れられず読みづらいですが、ご容赦ください。

 私は、シリコンバレー在住で通信・IT関係のコンサルタントをしている日本人です。「パラダイス鎖国」という著書が過去に日本で出版されており、日本国籍の未成年の子供を二人もつ母親でもあります。
 私は基本的立場としては、ウェブを含むIT系新技術をベースとした新しいビジネスや社会的な仕組みについては一般に好意的ですが、現在のところ、楽天ケンコーコムを含む、Eコマース事業者はクライアントではなく、事業上の直接の利害関係はありません。また、現在日本に住んでいないので、医薬品のネット販売も薬局での対面販売も、日本では利用しておりません。以上、参考として申し上げておきます。
 私は、一般的には、ネット販売事業者が医薬品を取り扱う件については、「原則禁止」でなく「原則自由」であってほしいと思います。医薬品特有のリスクがあるために、「リスクの高いものについてはネット流通禁止」は当然ですが、「わずかでもリスクが想定されるものはことごとく禁止」ではなく、「利便性とリスクを天秤にかけて、利便性が大きく勝るような品目については許されるべき」と考える立場です。このため、新薬事法において、「第二類」に分類されるものについては、基本的にネット販売を許可すべきと思います。理由は、ネット販売も薬局対面販売も、それぞれに利点と弱点があるので、どちらか一方を封じ込めるのではなく、それぞれの強みを生かして、より多くの人がより手軽に医薬品を購入できるようになり、また、新しい流通の仕組みと新しい担い手が育つことが望ましいと考えるからです。新しい仕組みを作るときに、完全にリスクを排除することは不可能で、ある程度の「リスクと利便のバランス」を受け入れ、その上で問題がありそうなものには機動的に個別対処する「試行錯誤」は不可避と考えます。
 しかし、上記の中味の点よりも、このたびのネット販売をめぐる議論の中で、私がここで一番申し上げたいのは、「プロセス」の問題についてです。具体的には、下記のような点に問題があると考えます。
(1)国民に選挙で選ばれた立法府が決める「法律」ではなく、それに基づき実務を担うべき行政府が「省令」という形で、独自で当件を推し進めてきたこと
(2)省令を策定するに当たっては、当初、利害関係者のうち「既存の薬局・置き薬」の立場の人だけを検討会に招いていたこと
(3)監督すべき立場にある大臣から、こうしたプロセスに対して疑問が出され、ネット販売に賛成する立場の人を検討会に加えることにしたが、招かれたのは当事者二人だけであり、賛成派の消費者代表(実際にネット販売を利用している人)などは含まれておらず、また時期も法律施行直前であったこと
(4)5月11日の検討会においては、委員会メンバーの議論とは全く無関係に「厚労省の考え」が最後に提出され、「時間切れ」を理由に押し切ろうとしたこと
 このように、立法府での手続きを経ず、行政府が一部の人たちの利害だけを優先して仕組みを作ることは、民主主義の原則に照らして、正しいことではないと考えます。
 このような行政側が選んだ「検討委員会」方式は、日本でこれまでも多く使われている手法であることは理解しています。戦後、日本の爆発的な経済成長の中では、既存の利害関係者の立場を損なわない仕組みの中であっても、それを乗り越えて新しい技術や産業が興ることができました。しかし、現在の停滞状況の中で、新しい産業は均衡状態を破ることがなかなかできず、また少子化によって、新しい産業を担うべき若年層の立場はますます弱くなっていきます。この議論においても、「ネット販売」は年配者や過疎地住人を含む多くの人に利便性の高い仕組みであるとは思いますが、現実的には「ネット販売」は若年層により親しみのある仕組みであり、担い手も新興企業が中心です。「検討会の形骸化」により、ただでさえ立場の弱い若年層や新興企業の意見が、議論への参加すら認められず、初めから排除されることは、長い目で見て、日本の経済の活力を奪うものであると危惧しています。
 医薬品は、ネット販売の中ではごく一部を占めるに過ぎない品目であると思われ、ネットで医薬品販売を大幅に規制しても、その直接のインパクトは、巨大な日本経済の中では微々たるものです。しかし、これほどの小さい話でさえ、新興企業の参加が許されないということは、「一事が万事」の象徴であり、ますます新興企業や若年層が「どうせ自分達が何を言っても無駄」と思うようになって萎縮する、という社会的悪影響は大きいと思います。将来的に、医薬品流通が、より多様な手段で多くの人が安全に医薬品を購入できる仕組みへと進化し、そのための新しい担い手を育てることができるよう、よりフェアで透明性の高いプロセスを希望します。
 もし「行政府による検討会と省令」という仕組みの中で進めざるを得ないのであれば、検討会の議論に、日本全体の現実を反映できるだけの人数の「賛成派」の方々を参加させ、フェアな議論を再度行うことを要望します。具体的には、ネット販売賛成派の消費者代表を検討会に二人以上招いていただき、そのメンバーで再度議論をし、さらにその議論は引き続き公開され、多くの国民が検討会での議論をもとに、どちらがいいか考えられるだけの期間、法律の施行は遅らせるべきと思います。「新興産業の育成」という観点から言えば、むしろ賛成派の人数が反対派よりも多いぐらいがちょうどいいと思いますが、これは私の個人的な好みに過ぎないので、そこまでは申しません。こうした調整が難しいのであれば、立法府に戻
し、法案として公開の場で、施行時期を含め、再度検討されるべきと思います。たとえ、最終的に現在と同じ形での施行に落ち着いたとしても、そのプロセスを経ることは、今後のために重要であると考えます。
 なお、今回の検討会の内容が、ネットを通じて多くの国民に公開されたこと、またパブリック・コメントをネットで受け付けていただけることは、以前と比べて、より多くの国民がプロセスに参加できる方法であり、大きな前進であると高く評価したいと思います。
厚生労働省の皆様におかれましては、ぜひとも、多くのパブリック・コメントをお読みいただき、行政に取り入れていくよう、お願いいたします。
 私の子供や孫が大人になる頃にも、日本が活力のある先進国でいられるよう、日本の行政が、新しい技術と仕組みを前向きに取入れ、より透明で公平なプロセスへと進化していくことを切に望んでおります。

まぁ、はっきり言って、私も「どうせ遠くから私が何を言っても何も変わらない」と思っていますが、それでもやっぱり言わなきゃ始まらないと思ったので、書きました。「中味」の話はあまりよくわからないのですが、昨日書いたように、「プロセス」が大問題だと思うので、その話に焦点を絞ってあります。コピペする際には、その点お気をつけください。また、半日しか推敲していないので、ちょっと内容的には不満もありますが、募集期間が短く、巧遅より拙速だと思ったので、その点もどうかご容赦。

なお、昨日・一昨日のこのブログのエントリーに、「ポジショントーク」という最近流行りのタグやコメがついたので、「お、ついに!・・・って、ポジショントークとはなんぞや?」と思って調べたところ、もとは株式用語で、どうやら「自分の商売に有利になるような意見を、公平を装って公の場で言うこと」らしい。上記にあるように、私の商売とこの件は全く関係ないし、そもそもブログに何書いても、それを読んで「じゃぁ、コンサル頼みます」なんて言ってくれるありがたいクライアントは残念ながら皆無なので、ちょっと違うような気がする。「自分と同じ利害関係にある集団を援護する意見を言う」という意味まで拡大すればそのとおりだが、それは「イケナイことではない」というか、「そうでない意見なんてほとんどありえない」ので、ポジショントークってどうも悪口のようなのだが、別にいいや、と思っている。

<参考サイト>
http://event.rakuten.co.jp/medicine/net_signature/public_comment/
うら@らむ 村山らむねの裏ブログ: 医薬品ネット販売規制へのパブリックコメント募集はたったの1週間 18日まで
http://event.rakuten.co.jp/medicine/net_signature/
ページが見つかりませんでした|ケンコーコム
http://www.online-drug.jp/signature/form.html#a