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Tech Mom from Silicon Valley このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-09-24 金持ちをたくさん働かせる仕組み

[] 金持ちをたくさん働かせる仕組み 13:13

「分配」志向の民主党政権になって、「格差是正」に期待が高まっていると思うのだが、メディアの論調がしばしば「義賊」待望になっているのは気に入らない。「義賊」とは、鼠小僧とかロビンフッドみたいに、金持ちから奪って貧乏人に分けるという考え方である。わかりやすいのだが、それを政治でやっちゃうと、金持ちはますます自分の富を隠し、世の中のために流通しなくなるし、また「成功しよう」という個人のインセンティブを奪って、昔のソ連になってしまう。

それよりも、お金持ちのお金を、普通の人にはできないリスキーな投資に向けさせたり、優位な地位にある人から先に雇用流動化の荒波をかぶるようにする、などといった、「金持ちをなるべくたくさん働かせる」仕組みを志向すべき、と思う。

そんなことを考えたのは、最近早稲田の社会人ビジネススクールの方々と話をする機会があり、「どうしてスタンフォードMBAの方々は皆起業志向なんですか?」という質問をされたのがきっかけだ。この質問は、私にとっては「日本人はどうしてお箸を使うのですか」という質問と同じように、あまりに当たり前のことを聞かれたような感じがしてちょっととまどったのだが、体感で答えた。

「誰も雇ってくれないから、自分で起業するしかないんです。」

このあたりの心理は、「ねじれ人生」の「unemployable」に関するエントリーを参照してほしいのだが、スタンフォードMBAという、いろんな意味で優位な地位にある人々は、オーバースペックのためにしばしば、普通の会社で普通に勤めあげることができなくなる。自分で考えてやるしかない状況になりがちなのだ。でも、人脈とか箔とかスキルとかがあるので、たとえトラディショナルな形でのベンチャー起業ができなくても、私のように自営をはじめるとか、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などの形でかかわるとか、自分でなんとかすることがたいていはできる。

日本は雇用流動性がないのがいろいろな問題の根になっているが、「雇用の流動」というと、派遣とかフリーターとか、新卒採用抑制とか、「下」のほうに属していて、つぶしの利かない人たちばかりが犠牲になっている感がある。でも、本当なら、「上」のほうに属する優秀な人たちこそ、雇用が流動化したほうが、新しい産業を興すという意味で、世の中のためになると思う。(というか、年齢的に「上」の人がずいぶん犠牲になっているのは確かだが・・・つぶしの利かない人が犠牲になっているというのはこちらも同じ。)

老人ばかりがお金を溜め込んでいるという批判も同じ方向で解決したいところ。

たとえば、JALの再建問題の中で、OBが年金を減らされることに大抵抗しているという話があるようだが、例えば「年金ちゃんとあげるけど、その○割は『JAL再建OBファンド』に投資してね、もし見事再建成ったら倍返しだけど、失敗したら全部パーね。で、この話に乗らない人は年金一律カットね。」みたいにしたらどうなんだろう。ジャンク並みのJALには誰もお金貸してくれないが、そういうときに入れる資金は「ハイリスク・ハイリターン」だ。こうしたら、OBも再建にいろいろな形で必死に協力するだろう。まぁ、金額的にはどうってことないのだろうが、ただ単に収奪するのではそりゃ抵抗もあるだろうし、そうではなく「お金を働かせる仕組み」というインセンティブとして、どうなんだろう、と考えた。

などとふと思ったので、書いてみた。

Speechless in Silicon ValleySpeechless in Silicon Valley 2009/09/24 16:38 誰も雇ってくれないから、自分で起業するしかないんです~ は見事な表現ですね。私は企業家精神はひとかけらもないんですが、よく人からキャリアの相談を受けるのです。そんな時は、まず その人に、何にパッションがあるのか、何が人より上手で、どういう風に人と違った味がだせるのかを聞き、見込みがありそうだったら「自分の会社を始めなさい!!!」といいます。決心したら社長のように自身満々にふるまい、ネットワークに専心し、自分が成功している姿をビジョンに’持ち続けると、ある時ふと素晴らしいチャンスに出会うものです。この最低の景気と若者志向の強いシリコンバレーで自分にあった会社、仕事、機会、収入ぴったりの雇用を待っていたら、きっと何もおこらないでしょうね。当方今のところ仕事もあり学生ですが、卒業したら絶対に自分が推薦していることを自ら実行する予定です。

通りすがり通りすがり 2009/09/25 00:40 JALの問題はそんな生ぬるい事では無理。
まして労組が強いからそんな餌に喰い付く訳が無い。
高い給料貰っていて尚且つ生活苦を訴えてストを起こす連中に、
そんな道理が通用するならとっくに再建完了してる。
国鉄と違って民営を期に労組のうるさがたを切るという手が使えないから潰すしかない。

週1程度見ています。週1程度見ています。 2009/09/25 00:52 同様に、ダム建設の様な(納税者の目が届きにくい僻地の)公共事業を計画して、身内のコンサルに環境アセスをさせて、起工後に予算を倍、倍、倍と増やしてきた公務員のOBにも適用して欲しいです。高給と終身雇用の両取りした者にリスクを負わせましょう。また、元宇宙飛行士の天下り先が東京のお台場に在る必要はありません。水泳のトレーニングセンターが東京の北区に在る必要はありません。全て、OBや有力者の子息が通いたい場所に天下り先が建設されていると判断すべきです。そんな場所に建設した公務員と、勤務する者および受注した企業にリスクを取らせましょう。企業には例えば「○○ダムは○○組が受注したものです」を末代まで残すのです。

KK 2009/09/25 04:41 >企業には例えば「○○ダムは○○組が受注したものです」を末代まで残すのです。

施行実績として、末代まで残しているよ。海外受注にも実績が必要だから。

風太郎風太郎 2009/09/25 07:23 結局、公務員バッシングをして終わりか。やれやれ。

負担について負担について 2009/09/25 11:14 アメリカってイメージより意外に高所得の人たちの負担は大きいですよね。
さて日本と比べてどうなんでしょう。

ぬおんぬおん 2009/09/25 13:56 日本は典型的な長老支配。
失敗のリスクが大きすぎる。
お金持ちほど保守
革命を望むのは貧乏人(赤木論文)

結局、政治として強制的に分配するしかない。新しいことに挑戦するお金持ちはいないし、逆らったら(下克上をしようとしたら)潰される。
アメリカの開放的な空気?はその状況を許すが日本は無理。
というわけで、結局「逃げる」しかない。

能力があれば外に逃げるが、逃げる能力が無ければ、「しない」というサボタージュ的な戦術をとるしかない。
こんな状況じゃないですかね。
老人は年金等で逃げ切る体制ですが、若者は抵抗せずですね。見える抵抗ではなく「しない」抵抗です。

KK 2009/09/26 07:31 長老支配といっても、年寄りが多いのだから、どうしようもない。これは世界的な傾向で、アメリカもベビーブーマとやらの意向を無視出来ない。
オバマの当選も、祖母を大事にしていたからとの分析もあるようだし。

CruCru 2009/09/26 19:24 マスコミは(そのほうが世間の受けがいいので)格差是正の「社会正義」の側面を強調しがちですが、経済政策としての側面も大きいと思います。
先進諸国の経済規模(≒家計消費)は厚い中間層の存在に守られてるわけですから、そこが薄くなっていく事態は避けなければならない。
これを放置すると富の集中は進むが富全体の総量(どこの国でも根底では家計の消費に支えられている経済活動の総量)は減少していくという事態になりかねない。
そこで格差是正に必要な原資をどこから持ってくるのかと考えたとき、消費税増税は現在の経済状況をさらに悪化させるので不可能なので、例えば富裕層の所得税増税を考えるのは妥当かと思います。

CruCru 2009/09/26 19:43 ここで「格差是正」と書いたのは、所得格差を無くせという事ではもちろんないです。インセンティブ設計もとっても大事だと思います。だけど、かつて中間層を作り出してきた工業生産のGDP比率が下がり続けてる状況では人為的に中間層を厚く保つ政策も必要という事。
富裕層を中間層に転落させるのではなく下位層をとりこむ政策。
労働者保護で生産コストが上がるのと、労働コストを下げる事による生産性上昇による競争力アップで円高が進む事は産業界には結果として等価でしょう。
それなら国内消費を高く保てる労働者保護政策が重要かと。

JALの『JAL再建OBファンド』は良いアイディアですね。
GMのように一度破綻させないと実現困難かもしれませんが。