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Tech Mom from Silicon Valley このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-07-27 ある潮目。「中国疲れ」と日本の立場。

[][][] ある潮目。「中国疲れ」と日本の立場。 23:44

軍事や政治の面で、あるいは他の産業やアメリカ全体でもそうなのかどうかはわからない。でも、このところ、ITやネットの世界では、日本をめぐる世界の潮目が少し変わってきているような気がしている。ま、あくまでもシリコンバレーから見た話、でしかないけれど。

相変わらず、「ジャパン・パ(pa)ッシング」ではある。日本が「牙城」と思っていたゲーム業界ですら、日本の存在感の低下が著しいそうだ。いろいろな「中の人」から、その話を聞いている。だいぶ前(2006年)にアニメとマンガの話を書いたときだったか、「ゲームは違う」というコメントをいただいたと記憶しているが、ついにゲームまで国内向け優先のパラダイス鎖国化しているという話をあちこちで聞く。子供・ファミリー向けにはWiiとDSが相変わらず強いが、全体としてはXboxとiPhoneとオンライン・ゲームとソーシャル・ゲームが勢力を伸ばしつつある中で、日本のゲーム・ソフトは相対的に地位が低下しつつあるように見える。先日、日本の若い方々が来て、こちらのティーンが何のゲームで遊んでいるかを聞いて、あまりに日本と違うので呆然としていた。

日本は、うまいこと製造業ベースの経済を作り上げ、製造業の雇用効果が大きいおかげで雇用が安定し、国内市場が大きいおかげで、部分的にはある程度の参入障壁を作って国内からの雇用流出をある程度回避して(完全ではないがアメリカほどではない)、パラダイス鎖国化することでうまく回ってきた。その昔の「輸出は悪」時代の雰囲気を作ることで、アメリカもそれに手を貸してくれた。そういう時代が終わりつつあるんだろう。

それは変わらないのだけど、ちょっとだけ変わっているのは、だんだんみんな「中国疲れ」してきているのを堂々と発言するようになってきて、相対的にアジアのパートナーとして日本がちょっとだけ見直されているような気がする、という点。

「中国疲れ」現象については、衆目の一致するところだろう。当地ではグーグル対中国の対決あたりから、そんな雰囲気が顕著になってきたと思う。もちろん、今でも中国は「潜在大市場」だし、重要な製造基地だし、無視はできないのだが、かつての「日米貿易摩擦」と同じ現象に加え、特に「IP(知的財産権)」が重要な上位レイヤーのIT分野では、中国と付き合うためのコスト(IPや情報を盗まれたり開示を強要されたりするリスク、中立的な裁判制度の不在、政府の恣意的な影響力など)が大きすぎる、と考える向きも多い。

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その点、中国と比べれば、日本は悪く言えば「安全パイ、言う事きいてくれる相手」、よく言えば「契約や法治の概念が整った先進国で話が通じる相手」だろう。「日米」の比較に中国という第三の軸を導入すると、日米はむしろ似ている、という話は拙著「パラダイス鎖国」にも書いたけれど、アメリカでも同じことを考える人がいるようだ。

たとえば、日本でも話題になった、Salesforce.comのMark BenioffがTechCrunchに寄稿した一文。ここではベニオフは中国については触れていないが、やたら日本を持ち上げている。なぜ、ベニオフがこれを書いたのか、なぜ首相に会いに行ったかなどについて私は知らない。しかし、深読みしようと思えばできる。

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なぜ日本市場が重要か: iPad騒動, クラウドコンピューティング, そしてソーシャルインテリジェンス | TechCrunch Japan

世界の中で一時より存在感の低下したアメリカが、リスクの多い中国とつきあう上で、味方をさがすとしたら、おそらく一番適任なのが日本なのでは・・・あるいは、実は日本のほうが、IP問題の懸念が少なく、リッチなユーザーが多い、より良い市場なのでは・・・(個別の企業に関して、他にも私がこのように感じた例がいくつかあるけれど、申し訳ないがここには書けない。)

モバイルの「ハードウェア」の世界では、欧州が新興国を従えた「旧植民地」構造で、細分化したままの米国を数で圧倒して勝ちを収めた。(このあたりの事情は、WirelessWireの連載コラムを参照)モトローラのインフラ部門をノキア・シーメンスが買収することになり、かつてのノーテルのインフラ部門はエリクソンが買収済み、ルーセントはアルカテルと合併済みで、通信の屋台骨である携帯通信のインフラ・メーカーは、ついに北米から消滅した。(チップは別の話として・・)

にもかかわらず、モバイルの上位レイヤーのパワーは、シリコンバレーに集中しつつある

IPとクラウドを軸とした、ネットとモバイルの「上位レイヤー」における世界のパワーゲームの中で、日本の企業はどのような立ち位置を取るべきか。「敵失に乗じるだけか」「アメリカの思い通りになるのはイヤよ」などと言っている場合ではなく、製造業にいつまでもこだわっている場合でもなく、この潮目をどううまく利用して、(少なくとも)IT産業においてどのような次世代に向けた戦略をとるのか、考えないといけないように思っている。

石川石川 2010/07/28 01:49 日本にしかないもの、タバコとか酒とか、そういうものを買いたい外国人は増えそうだよ。それは、希少価値があるから。決済が簡単になって、外国への物流ができれば、なんでも売れると思う。本人が直接来て買う観光かねても多くなるだろうな。ただし、日本にしかないもの。日本の歴史を感じるもの。日本語も人気がでてくるだろうし。ガラパゴスだから、珍しいものがいっぱいっていうのが、世界の関心を集めるでしょうね。なにも外国のマネをする必要はないわけです。たぶん、海外に住んでいる日本人は、日本に海外の常識を日本に知らせるより、海外にいる現地人のお金持ちに、日本語を教えたり、日本がどのくらいユニークな存在であるかをアピールしつつお手伝いした方が成功するかもしれませんよ。笑

WEBRONZA編集部WEBRONZA編集部 2010/07/28 02:07 今回『ある潮目。「中国疲れ」と日本の立場。』のブログをWEBRONZAトップページにリンクさせていただきました。不都合の場合、WEBRONZA@asahi.comご連絡ください。宜しくお願い致します。

                       WEBRONZA編集部

eakaseakas 2010/07/28 02:50 世界のゲーム市場はソフトとハードに分けて見る必要がありますが、
ソフトに関しては10年前は7:3で日本のソフトが世界市場を席巻していました。

当時、ちょうど世界の映画産業の経済規模にゲーム産業が追いついて来たと言われていた時期でもあり、
すかさず当時の上司に「日本市場は、もうすぐ飽和するので世界市場をメインターゲットにしましょう」、
という旨を入社2年目にして生意気に発言していましたが、周囲の誰の琴線にも響きませんでした。

そして10年後、世界のゲームソフト市場のシェアは逆転し、欧米のソフトが7:3で世界市場を魅了しています。
ま、世界のユーザーに対して関心が無い日本人が招いた当然の結果ですけどね。

>こちらのティーンが何のゲームで遊んでいるかを聞いて、あまりに日本と違うので呆然としていた。

これに関しては鈍感な日本の業界人ですら数年前から認識していた事実なんですけどね。
世界にアピールする為の唯一の道筋は自らが世界に関心を持つ、以外に無いんですよね。
でも大半の日本人は本気で純粋に日本人なんですよ。
世界で勝負したいと思っている日本人だけを集めて日本で会社を作って活動したら面白いかも知れませんね。
その点では楽天の三木谷さんの取り組みは、まさに、その号令のような感じですが。

ちなみにハードとソフトの会社別での世界シェアに関しては、ご存知のように任天堂が圧倒しています。
社員1人当たりの純利益が1億円の会社です(^^;
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/100129/02.html

KK 2010/07/29 07:27 Xboxって、売れているのアメリカだけでは?
ヨーロッパでも、PS3に勝っているのはイギリスだけで,後は後塵を拝していたような。。

Speechless in Silicon ValleySpeechless in Silicon Valley 2010/07/29 10:02 海部氏のご意見に全く賛成です。「パラダイス鎖国」の見事なフレーズのインベンションのあと更なる「中国疲れ」のインベンション。全く見事だとしか申しあげられません。
ちなみに私はアメリカ人の男友達が多いのですが、皆さん最近は中国の女性とお付き合いしている方が多いのです。彼らが言うことには「中国の女性は大変魅力的だけど、いまいち信用ができない。へたに結婚してしまうと、あとで慰謝料をがっぽり要求されて離婚されそう。」とのことです。ちなみに日本の女性は魅力的かどうかはさておいて、とことん信用できるというイメージがあるそうです。ここで『女性』を「ビジネスの相手国」に置き換えると何か意味深になってきます。