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Tech Mom from Silicon Valley このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2011-01-07 Facebookの勝敗の分かれ目

[] Facebookの勝敗の分かれ目 11:35

Facebookが来年あたり上場する予定として、その財務が一部公開されたらしい。9ヶ月の数字なので、2010年年間にすると、ざっと売上$2bil.、純利益$500mil.といったあたりになりそう。

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最近騒ぎになったゴールドマン・サックスによる私募で$50bil.の値がついたのは、「やっぱり高い、バブルだ」という友人と、ちょっと議論になった。もちろん、現時点での財務から見れば当然高いわけで、問題はこの先どこまで成長するか、どこまで儲かるようになるか、どこまで地位は安泰か、といった点になる。

当初からSNSは流行り廃りが激しく*1、FBもそのうち別に新しいのが出てきて廃れる・・と言われてはや3年。例えば第一次ネットバブル時に死ぬほどeコマースのサイトが出てきて、激戦の末アマゾンが勝ち残って今も健在、というのと同じで、淘汰が一巡してFBが勝ち残り、ネット企業で重要な「独り勝ち」ポジションを作るところまでは来た、と思っている。これが第一段階。

リアルの「地上げ」とネットの「独り勝ち」は少々違う。ネットで「独り勝ち」ポジションを得ると、「ネットワーク効果」のおかげで、そのサービスを使うと他のサービスよりもユーザーの利便性が高く、ある程度までいくと強い者がますます強くなる。FBでいえば、つながれる人の数が多い、FBマッシュアップで使えるゲームなどの外部サービスが多い、などがある。

Yahooの失敗は、初期にそのポジションに到達したのに、「ネットワーク効果」を発揮できる仕組みを作れず、旧来のメディア企業と同じビジネスモデルを追いかけてしまったこと。Googleは「コメのメシ」である検索技術や、ビジネスモデルである「検索広告のオークションシステム」にうまくネットワーク効果を組み込んで、自律的に拡大できる仕組みを作った。ネットオークションは「ネットワーク効果」が強力で、一つの場にたくさんのモノが売りに出ているほうが効果が高く、より多くのユーザーを集めることができるため、トップしか生き残れない構造になっており、アメリカではEbay、日本ではヤフオクがその位置にいる。Googleは、検索広告にその効果を組み込むことができたわけだ。検索技術についても、ユーザーがGoogleにインプットするデータが多ければ多いほど、正確な検索結果が返され、正確な検索ができればみんなもっと使うので、自律的に拡大する仕組みができている。

なので、FBの場合も、次のステップとして、ネットワーク効果を内在したビジネスモデルを確立できるか、というところがポイントとなる。

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単に広告を売ってるだけだったら、いろいろな点で不安がある。クローズド+細分化の傾向があり、また(私の造語でいえば)ソーシャルグラフの「第一階層」*2向けサービスであるために、広告の扱いはかなり微妙という性格をもともと持っている。私は、以前にも書いた「コミュニケーション三分割モデル」における「新しい中間領域」(「赤」の部分)の代表例がFBだと思っているので、FBのビジネスモデルも「メディア」としての広告モデルだけでなく、「通信」的な利便性をマネタイズするようになっていくのでは、と考えている。

日本で一時騒ぎになったMixiの「メールアドレス検索」は、本来「第二階層」向けのSNSで、下の「紫」の性格が強いものに、上の「緑」を当てはめようとしたので無理が出た結果。逆に「実名」「リアル友人関係」をコアとした第一階層のFBは「紫」より「緑」の性格が強いので、ソーシャル広告「Beacon」がだいぶ以前に炎上するなど、広告に応用しづらい。なので、FBのビジネスモデルは、現在もすでにある広告に、ゲームなどのアプリやバーチャルグッズ販売と「通信」要素を加えたハイブリッドモデルが適切なのだろう。

通信屋の私としては、スマートフォンを起爆剤に、「人と人との連絡」のインフラとしてFBが深く静かに浸透しているので、通信料金からFBにお金が還流する仕組みができてきたら面白いと思っている。大多数の人がFBを使ってより多くのデータを入れているほど、通信が便利になり、便利になるからもっとFBにデータが集まる、という仕組みである。それができるかどうかが勝負の分かれ目、ではないかと思っている。通信はもともと「ネットワーク効果」の高いサービスとして知られている。

この資料は2008年に作ったものだし、ここで引用している私の過去記事はだいたい2009年のもので、だいぶ前から言っている話ではある。ゆっくりこの方向に進行している感じはするのだが、さて果たしてどこまで行くものか。

<参考記事>

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*1:Friendstar→MySpace→FBの変遷がよく引き合いに出される。参考→フェースブックに人生を翻弄される米国人 中高年インテリがなぜ依存症に?(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

*2:過去のレポートにおいて、ソーシャルグラフの「広がり」でなく「深さ」をもとに上下二つの階層に分け、「実名・リアル」を第一階層、「匿名・バーチャル」を第二階層のSNSと呼ぶことにした。こちらの過去記事参照→no title

読みました読みました 2011/01/07 17:18 広告関連から言えば、どんな手段でもいいから、広告を送りたいと思う。その手段として次の段階がを希望する。
それは、広告代を媒体側(FB)に支払うのではなく、ソーシャルグラフに支払うという仕組み。イメージとしてはネットの新聞折込という感じ。
趣味という塊に対して1人1円として5000人のグループならなら5000円分を折りこむ。趣味に応じて単価は違う。
FBは一切もらわないという形。
全てユーザーが1円1人分、バーチャルな「FB通貨」として所持するという仕組み。

Googleによるキーワードによるターゲットへの効率的な手法はすでに飽きられ、次のソーシャルグラフへと広告は進んでいるが、この領域での対応がゼロにひとしいのでFBには頑張ってもらいたい。

eakaseakas 2011/01/07 19:57 数あるSNSの中で、やはり一番使いやすくてクールなのはFacebookなんですよね。鍵はユーザーエクスペリエンスの要となるユーザーインターフェースに集約されていると思いますが、いかがなものでしょうか?

postpost 2011/01/08 09:40 Facebookは一般では流行ったものの、 そこまで広告として使い勝手は少ない気がする。入ってる企業同士は良くても、人に人へ紹介しても広告伝達の話題にならない。浸透しずらい。 飽きも早いし 見づらい。

yutakarlson104yutakarlson104 2011/01/10 18:43 Facebookを知らなくても楽しめる! - 映画『ソーシャル・ネットワーク』―【私の論評】今必要なのはこのようなイノベーションか?!
yutakarlson

ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」

こんにちは。Facebookの創始者のことが映画「ソーシャル・ネットワーク」として放映されているそうです。私は、この映画まだみていませんが、Facebookは自分でも使っています。これは、現在まだまだ日本ではユーザーが少ないですが、これからどんどん普及していきそうです。世界の他の国と比較すると、日本のSNSを利用する人の多くは自己中的傾向が強いのではないかと思います。一部の異常者別として、普通の人は、たとえSNSに実名が公表されていようがいまいが、自分とかかわりのない人に関しては何の意味ももちません。それよりも、ほんのわずかの危険を過大視して、多くの人と有意義な交流ができないことこそ、大きな損失であると思います。そうして、私は、現在の景気の良くない日本では、このような社会を変革するイノベーションが必須だと思います。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。

OTTO.JPOTTO.JP 2011/01/18 10:31 大変興味深く読ませていただきました。なるほど・・・。
ビジネスモデルがいかに大切か、と、いかにクラウド(Crowd &Cloud)を利用するかの2点がKeyですね。日本企業の不調はビジネスモデルが弱い所にあると感じています。まだ、”技術”に頼っているというか、いらぬプライドをもっている。いくら技術が良くてもビジネスモデルが悪い、クラウドを利用できないと勝てません。最近の携帯電話の動きでも、Nokiaのシェアダウン、iPhoneがアンドロイドにしてやられているのは、正にこの例と思う。どちらもAll in oneのモデルで、クラウドを使ったGoogleのモデルに負けている。AppleはJobsの休養で更なるダメージを受けてますが・・・。

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