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Tech Mom from Silicon Valley このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-11-14 メルマガはじめます

[][][] メルマガはじめます 20:45

ディナーショー・ツアー(=有料メルマガ)「Tech Mom from Silicon Valley 生活編」を始めることにいたしました。来週、「まぐまぐ」から創刊号を出します。一ヶ月3回発行の予定です。

メルマガを始めるに至った経緯は、下記の「サンプル」および創刊号冒頭のご挨拶にあるとおりです。

お申込みは下記からどうぞ!!

海部美知のTech Mom from Silicon Valley 生活編

下記にあるように、「発達障害・学習障害」についての媒体を作ろうと思ったのが発端であり、その流れで、自閉症に詳しく、自閉症の方向けのiPhoneアプリを作っている、起業家の久保由美さんも巻き込み、同時にメルマガを発刊する運びとなりました。久保さんは重度の自閉症、私は健常とのボーダーラインの「育てにくい子」が基本的なテーマで、ときどき共同記事などの企画も考えています。

久保由美のシリコンバレーで自閉症児を育てる

創刊号の冒頭記事を書いていて、そういえば昔はこんな「雑感」的なことも、気軽にブログに書いていたなぁ・・などと、ちょっと感慨にふけってしまいました。最近はどうも、ブログに書く前に「本当にこれ書いていいのか?」「その影響は?誰それがこれ読んだらどう思うか?仕事に影響あるかないか?」などと、ぐるぐる考え、書くときは「よし、やるぞ!」などと覚悟が必要で、結局気力が続かず書かない、ということがひじょうに多いので、まぁ本当に、そういう世の中であります。

心の中では、とりあえず半年ぐらい、頑張ってみようと思います。ご質問も受け付けます。どうぞ宜しくお願いいたします。

<ご挨拶>

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皆様、こんにちは。「シリコンバレーのテック母さん」こと、海部です。

このたび、メルマガを始めることにしました。

最近ブログの更新も滞りがちな中、メルマガを始めようと思ったのは、「発達

障害・学習障害」の情報発信をやろうと思い立ったことがきっかけです。私は

この分野の専門家でもなんでもありませんが、二人の息子がそれぞれに問題を

抱えて、そのために右往左往してきた体験談を、他の親御さんの参考にと思っ

てブログに書いています。なんとか定期的に、届けるべき読者に届ける仕組み

がないものか、とずっと考えていたところ、ちょうどシアトルでまぐまぐのお

手伝いをされている、友人の佐川さんからお声をかけていただきました。

当初はその分野に絞ったメルマガにしようと思ったのですが、まぐまぐの皆様

と議論する中で、実は一般的な子育ての話に通じるところがありそうだし、ま

た女性の家庭での役割などについてのエントリーを読みたがっている人も多そ

う、という感触もあったので、間口を広げて「生活編」とすることにしました。

教育・家庭の話が中心ですが、本業のIT・通信や経営の話も、ブログではいろ

いろ気を使わなければいけないためにめんどくさくなっているようなモノを書

くかもしれません。

こうして考えてみると、昨年末に日経ビジネスオンラインに書いた、「ネット

はオープンからクローズドへ」という流れに私も加担している感じがします。

(^^ゞ

なにしろ、中身も分量もあまり厳しくキメキメにせず、まずは緩めに始めてみ

たいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。

<続き>

海部美知のTech Mom from Silicon Valley 生活編

2012-01-08 発達障害のサイエンス

[][] 発達障害のサイエンス 11:42

このところ、たまたま立て続けにこのあたりの話を人としたので、ちょっと我が家の息子のセラピー状況をまとめておくことにする。

これまでの経緯は下記のカテゴリー参照。我が家は二人の息子(現在上は高校生、下は小学生)が両方とも、それぞれ問題を抱えていた。長男は症状としてはディスレクシア的だったが、ビジョンセラピーで乗り越えている。そのあたり、経過は下記を参照されたし。

[発達障害] - Tech Mom from Silicon Valley

[学習障害] - Tech Mom from Silicon Valley

[視覚発達障害] - Tech Mom from Silicon Valley

次男は、広汎性発達障害と一応診断されているが、ADD的なところもsensory processing disorder(感覚処理障害?日本語の正式名称は知りません)的なところも混ざっている。最初に手をつけたのは「聴覚処理障害」の一部で「ハイパーアキューシズ」と呼ばれるもの。そのあたりはこれまた過去の経緯参照。

[聴覚発達障害] - Tech Mom from Silicon Valley

その後、聴覚以外の部分での問題がどうしても解決されず、病院では診断以外の何もできず、結局近くのクリニックで「EEGセラピー」というのを実施。(これは医療行為でなく、「教育」とカテゴライズされる。)脳波を測定しながらパソコンでアニメ映画を見て、脳波がある程度の範囲を超えて上下すると、アニメ映画が止まってしまう、という仕組み。脳波が極端に低下(ボーっとする)や上昇(コーフンする)すると視覚化されて、自分で深呼吸をするなど、意識して脳波の働きを通常レベルに戻す。

前回の記事に書いたような「脳のアイドリング・レベルを上げる」という全体的なものに加え、特に弱い部分をターゲットにする。最初の検査で、彼の場合は脳のうち、後頭部の右側(人とのコミュニケーションを司る部分、ここが弱いとアスペルガー症状が出る)と、真ん中の部分(感覚を受容する左脳=I/Oと、それを処理して行動の司令を出す右脳=CPUを結ぶ通信回線、ここが弱いと感覚処理障害となる)の働きが特に弱いことがわかっていたので、この部分を読めるところに計測ノード(というのでしょうか??)を貼りつけて、トレーニングを行う。徐々に効果が出てきたかな、と感じ始めたのは10月頃。セラピー開始後約1年弱。

脳波トレーニングの効果がようやく出てきたみたい - Tech Mom from Silicon Valley

その後、PACEという集中力トレーニングを続けている。こちらは、短期メモリー、集中力の維持、音と字の結びつき、といった部分を、レベルを徐々にクリアしていくゲーム的に仕立てたトレーニング。いろいろなものがあるのだが、例えば上下左右に向いた矢印がランダムに並んでいる表を「右、左、上・・」などと順番に読んでいく、などというのは、以前長男がビジョンセラピーでやったものと似ている。目的が違うのでやり方が少し違うが、共通の要素があるようだ。

次男は、この矢印のものや、縦に並んだ一桁の数字に「2」を足した答を次々と読み上げていく、といったものが超苦手で最初のうちは苦労していたが、3ヶ月ほどやってきて、だいぶ慣れてきた。(余談だが、なぜか暗算の足し算・引き算が非常に苦手で、未だに指折り数えないとできない。一方、掛け算は日本語で九九を覚えたのだが、詩のように語呂の良いものを暗記するのは得意なので、掛け算・割り算はクラスでもトップクラス。この訓練で足し算の暗算もできるようになったら嬉しいと期待中。)

行動面では、秋の先生との面談のときには、だいぶよくなってきたものの、未だに集中ができないことが多く、できていないことを指摘されるとフラストレーションから「死んだほうがまし」といったネガティブなことを言うことに先生方は懸念を示して、サイコロジストを紹介されたりした。家ではそんなことはないので、あれは演技だと私は思っているのだが・・

まぁでも、ほんの少しでも進歩があると、急に光が差したような気がするのが母親というもので、今日も今週末締め切りのプロジェクトのための文章を少し書かせたのだが、自分で時間を決めて、携帯電話でアラームをセットし、その時間になったら作業を始め、ちゃんとしたフル・センテンスで自分の考えを書き下し、スペルもかなりできた。(スペルチェッカー使用、ほんの5行ですが・・(^^ゞ)書き終わったら、友達に電話していい、というインセンティブがあったというものの、それだけでも今日の私はなんだか気分がよい。

相変わらず、果たしてセラピーの成果なのか、単に成長しただけなのか、はっきりと判断がつくわけではないが、発達障害・学習障害の「脳のはたらき」というサイエンスとしての分析と、それをもとにした対策という分野は、引き続きとても興味深い。

@kuboyumi さんの話によると、例えば自閉症の人の就業支援体制といったものは、実はアメリカより日本のほうが優しいといった事情もあるようで、何でもアメリカのほうが良いということではないらしい。こうした「社会面」でのサポートも引き続き必要なのだが、発達障害の人を「仕組みのほうをやりくりして受け入れる」のと並び、「サイエンスやIT技術を活用して、現在の仕組みの中でもなんとか機能できるようにする」というのも必要。「スポーツのトレーニング」と似たような感覚で、アスペルガーやADHDの人が自力で普通に、既存の教育や職業のシステムに適合し、彼らの抜群の集中力やクリエイティビティを発揮できるようになれば、本人たちも幸せだし、また社会のイノベーションもますます進んでいくはずだと思っている。

はーさんはーさん 2012/01/09 17:40 釈迦に説法かもと思いましたが一応書きこませていただきます。
気を悪くされたら申し訳ありません。

>行動面では、秋の先生との面談のときには、だいぶよくなってきたものの、未だに集中ができないことが多く、できていないことを指摘されるとフラストレーションから「死んだほうがまし」といったネガティブなことを言うことに先生方は懸念を示して、サイコロジストを紹介されたりした。家ではそんなことはないので、あれは演技だと私は思っているのだが・・

お医者さんと母親が両方いるなら話は別かもしれませんが、その場に母親がいない場合「母親に言えない本音」が出た可能性もあると思います。
少なくともそういう言葉が口をついてでるということは、少なからずその気があるということです(実際に実行にうつすのとは別です)。
子供は親に愛されたいがため気を使って本音を言わないくらいのことは当たり前のようにするので、子供が本音を言えるよう、親は「一切の評価・アドバイス無し」で子供の話を聞く時間を取るように務めたほうが良いと思います。
以上、親に本音を言う度失望して、一切本音を言わなくなった子供(と言っても30overのおっさんですがw)の経験上の言葉でした。

2011-10-15 脳波トレーニングの効果がようやく出てきたみたい

[][] 脳波トレーニングの効果がようやく出てきたみたい 13:31

またしばらくご無沙汰していたが、我が家の次男T(10歳)の「EEGセラピー」の効果がようやく出てきたようなので、レポートしてみる。とある友人からご自身のお子さんに関して相談を受けており、彼女の参考になるようにかなり詳しく書くので、長くなるがご容赦願いたい。

これまでの経緯は下記を参照してほしい。

「sensory processing disorder」(感覚処理障害?)のお話 - Tech Mom from Silicon Valley

ADDを「瞑想」で治すトレーニング、というワケか! - Tech Mom from Silicon Valley

聴覚セラピー開始、「マイアヒ」で果たして学習障害が治るか!? - Tech Mom from Silicon Valley

オーディオ・セラピー AIT終了後の経過 - Tech Mom from Silicon Valley

聴覚問題その後の経過と「書く」ことの苦しさ - Tech Mom from Silicon Valley

Tは、ADDとアスペルガーと聴覚処理障害が少しずつ混じっているような感じで、一応病院では「広汎性発達障害(PDD-NOS)」と診断を受けているが、「なんだかよくわかんないけど、一応自閉症スペクトラムの傾向は見られるね」というぐらいで、療育も今まで学校でやっているのを続ければいいと言われただけという、ボーダーラインのケースである。

ちょっと見たところだたの落ち着きのない子供で、一対一で勉強を見てやればできるのだが、学校の教室のように他の子供がいるところでは全く機能できない。先生の指示が理解できず、ぼーっとしているだけでタスクに全くとりかかれない。以前のように、机の下に隠れたり床にごろごろ転がったりする異常行動はもうないけれど、授業についていけないので、引き続き、授業時間の半分ほどの間、特別教室のお世話になっている。家でも、自分が好きなゲームやレゴなら何時間でも集中できるが、そうでない日常の行動、例えば歯を磨くとか着替えるとか、もちろん宿題も、特に好きでないがやらねばならないことを自分から進んでやることができず、いちいち私が言わないとできない。時間の感覚がなく、「何時になったら何をしろ」という指示がまったく守れない。文句を言えば「ちゃんとやった」とウソをつく。でも確認するとやっぱりできていない。できるまで何度でもガミガミ言わないとダメ。疲れる。はぁー・・明らかにADDというわけでもないし、明らかに自閉症というわけでもないし、明らかにディスレクシアというわけでもないし、なんだかわからないが、明らかに他の子と違うし、担任の先生は扱いに苦労する。友達づきあいでも、突然KYな行動をとって嫌われることがある。そんな子である。

EEGについては上記過去エントリーを参照。大雑把に言えば、「瞑想」のように、脳の働きを意識的に安定させる訓練で、「脳波トレーニング」とでもいうようなものだ。

我が家が通っているクリニックは下記のとおり。

Bay Area - California Learning Disorder Drug Free Treatment | Mind Builders - Attention and Achievement Center

週三回クリニックに通うのは、車で送り迎えする親にとっては大変だが、本人は1時間、アニメ映画を見ていればいいだけなので、本人はけっこう楽しんで通っていた。だいたい1年ぐらいやるのかな、と思っていたのだが、やり始めても何も普段の態度に変化がなく、親は「本当に意味あるのかなぁ?高いお金払っているのに騙されてるんじゃ?」などと疑心暗鬼になってしまった時期もあった。

特に夏休みの初め頃、テニスのキャンプに参加させたところ、インストラクターの指示をあまりに聞かないために「もう来ないでください」と言われたときは本当にショックだった。これまで、指示に従えないときは、部屋の隅でぼーっと座っていたりなど「黙ってふさぎこむ」感じだったのに、今回は先生に対して攻撃的に言い返したのだ。その直前に、夏休みの間に勉強を少しでも追いついておこうと、上の子が通う塾に行かせようとして相談したら、レベルを見るためのテストを受けた段階で「指示に従えずタスクにとりかかれないので、ウチでは見られません」と断られてしまった後のダブルパンチだった。それで、セラピーの医師にも相談したりしたが、脳波のテストをすると進歩が見られるので、もうちょっと頑張れと言われるばかり。

悩みつつ、「言い返す」というのはもしかしたら、脳の働きが変化している過渡期なのかも、とも思った。それまで、彼との対話はほとんど、私が質問したら彼がポツンと答えるのみで終わり、たまに彼のほうから出る話は、彼の頭の中にあるファンタジーの世界(スターウォーズやゲームのことなど)が脈絡なく出てくるばかりで、リアルの世界に関する言葉のキャッチボールがほとんどできなかった。なので、「言い返す」というのは、ちょっとずれているけど対話がかみあってきたという意味かもしれないし、そういえば私との対話も少し変わったような気がする。何がどう、ときちんと説明できないが、長年のつきあいのある母親には感じられる微妙な変化だった。それで、夏休みの間は淡々とそれまでどおりセラピーを続けていた。(聴覚セラピーについてはかなり前にすでに終了済み。)

それが、夏の終わりから秋の学年の初めにかけ、少々変化があらわれた。

カリフォルニア州では、学年の終わり近くにあたる5月に、州統一の標準テストがあり、その結果は新学年開始直前ぐらいに自宅に郵送されてくる。そのテストの結果が、驚くほど「よかった」のだ。前年は、通常と同じテストを受けたところ、英語(=国語)も算数も、5段階の最低レベルでほとんど何もできていない状態だったので、それに私がショックを受けてスクランブルし、EEGセラピーを始めたという経緯があった。今年はそういうわけで学校と相談し、「簡易版」のテストを受けさせてもらった。「簡易版(modified)」とは、テストの内容は通常どおりだが、分量をかなり減らしてあるバージョンだそうだ。で、今回の結果は両方の科目とも「最高」レベルだった。項目ごとの内訳を見ても、引き続き「書く」ことは苦手なのだが、他はどれも上々の位置につけていた。

これには本人も親も驚いた。信じられなかったので、本当に内容は学年標準どおりなのか、と再度先生にも確認したが「そうだ」と言われた。要するに、前年はあまりに分量が多くて「あー、もうダメだ、できない」と思ってシャットダウンしてしまったのが、「できそうだ」と思えばスイッチがはいるということらしい。

そう、スイッチがはいるか、はいらないか、が彼の場合ポイントなのだ。脳波トレーニングの主眼は、「アイドリング状態の脳波レベルを高める」ということだった。(脳波を計測する部位を特に働きの弱い脳の部分に設置し、ピンポイントで訓練する。)普通、人の脳は、何もやっていないときでも、ある程度の「アイドリング状態」で動いており、何かをするために集中するときはそれが高まるわけだが、彼の場合はその「アイドリング」の回転数が異常に低いため、タスクを行うための回転数まで上げる(=スイッチがはいる)ために、普通の人よりも何倍もエネルギーがいる。自分の好きなことならすぐにそれができるが、好きでないことにとりかかることができないのはこのためだそうだ。*1

上述の「簡易版テスト」の場合は、「タスクに要する回転数のレベルを下げてくれた」ということになる。だからうまくスイッチがはいったわけだ。

その直後に、クリニックで脳波の計測をしたところ、アイドリングが「通常レベル」まで上がったとの結果が出た。医師からは、もうEEGを続ける必要はなく、今度は集中力を高めるための「PACE」(Processing And Cognitive Enhancement)というトレーニングに移行するように、と言われた。

PaceLearningSkills | An opportunity to start a tutoring business and to help others succeed

詳しい内容は上記を見て欲しいのだが、リストされている矢印の方向や数字などを読んだり、リストの中から特定の文字に◯をつけたり、カードを使ったゲームなど、だんだんにレベルアップしながら集中を持続させる訓練だ。以前やった、長男のビジョンセラピーにも似たようなものが多く含まれており、これはなんとなく感じがわかったし、効果もほぼ予想でき、現在やり始めているところだ。

学校の授業中は、相変わらず関係ない本を引っ張り出して読んだりする問題があるようだが、家での行動については少々変化が見られる。いつもではないが、自分から宿題にとりかかったり、歯磨きなどをできる頻度が増えた。宿題も、今まではやり始めても5分おきに声をかけないと続けられなかったが、声かけの頻度がだいぶ下がった。特に難度の高い、「自分で文章を考えて書く」というのが、(上の子もそうだったが)手書きでなくパソコンで書けば、短いものなら、苦労しながらも自分で書き始めて書き終われるようになった。中身はもちろんメチャクチャなので、ついついダメ出しをしたくなってしまうのだが、私としては、まずはこうしてタスクを自分で遂行できるということを奨励したいので、規定の段落数さえ書けていればOKで、ゲームやっていいことにしている。

先週は、「秋祭りで出すブース・ゲームの提案書」というのを書いていた。義務ではなく、やりたい人だけやればいいのだが、友達と二人で週末家に集まり、アイディアを出しあいながら書いていた。木曜日には、先生が赤を入れてくれたものを書きなおしていた。すべて、私がやれと言わなくても、自分で楽しそうにやっていた。書き直しは、寝る直前になって翌日が締め切りだと自分で思い出し、頑張ってパソコンに向かってやり、今年度からウチの小学校で使い出した「ウェブ・ロッカー」(個人別クラウド・ストレージ)にアップしていた。その甲斐あって、提案書は採用になったらしい。

こうした一連の自発的な行動は、これまでの状況から見ると劇的な変化だ。もちろん、これはゲームという「好きなこと」をやっているのであり、友達と一緒だし、面白いから楽なのだが、それにしても最後までちゃんと続いて提出できていることが私には驚きである。

会話もだんだん噛みあうようになってきた。「speaking of which(そういえば)」というのが彼の最近のマイブームで、それまでの会話の流れに関係のある話題を出して来られるようになり、別の人同士が話している会話の流れに割り込むときも、ちゃんと関係のある話題ではいってこられる。今日学校であったこと、来週の予定などといった、リアルの話が自発的にできる。友達と電話で延々会話ができる。

果たしてこれが、セラピーの成果なのか、標準テストでよい成績をとって自信ができたためか、単に時間がたって成長しただけなのか、それはわからない。おそらくは、すべて少しずつ関係あるような気がするが。

まだまだ、忘れている宿題や課題もどこかに隠れていそうだし、おそらくはこの先もずっと集団行動は苦手なヤツになるだろうし、相変わらず大きな音はダメで映画館に行くときは耳栓持参だが、なんだか少し光明が見えてきた気がしている。とにかく、最低限のタスクをこなせて授業になんとかついていきさえすれば、少々成績が悪くても、人づきあいが苦手でも、行動がちょっとヘンでも、ここシリコンバレーは「アスペルガーの帝国」なので、何かしら仕事は見つかるだろうし、なんとかなると思っている。

*1:余談ながら、自分でもそういう状態になっているな、と思うことが時々ある。いろいろたてこみすぎて鬱っぽくなることがあり、そのときには家事や仕事をするために、普段の何倍も気力が必要と感じる。そういうときには、特に複雑な脳の働きを要する「料理」が一番先にできなくなる。

HIDEKIHIDEKI 2011/10/16 07:49 いつもアメリカの最先端の自閉症治療を書いて頂きありがとうございます。
我が家にも10歳のアスペの娘がおり、とても参考にしています。
ぜひ、良いアプリの開発もお願いします。

ばばばば 2012/05/14 11:00 最近、うちの長女(アメリカでは1年生、日本では2年生)がCentral Audiotory Processing Disorderの疑いがあるといわれました。
恥ずかしながら医療職として働いて20年以上ですが、このCAPDという言葉初めて聞き、何のことやら分からず、Website検索でここにたどり着きました。Bay Areaに在住しております。セラピーのこと、大変興味深く読ませていただきました。これからもよろしくお願いいたします。

2010-11-06 ADDを「瞑想」で治すトレーニング、というワケか!

[][] ADDを「瞑想」で治すトレーニング、というワケか! 22:36

先日のエントリーで、我が家の息子が「感覚処理障害」の診断を受けたことを書いた。何十ページにもわたるテスト結果の分析をよく読むと、彼の脳の働きで弱い部分というのはわかるのだが、これは果たして「ADD」なのか、「感覚処理障害(Sensory Processing Disorder、以下SPDと略す)」なのか、「アスペルガー」なのか、判然としない。分析結果では、あえてどの名称も付けていない。脳波テストの部分ではアスペルガー傾向があるとされ、機能分析の部分では、明らかに聴覚処理に問題があるということはわかるのだが、全部少しずつ当たっているのかもしれない。どれも脳の働きの問題なので、根っこのところでは結局同じで、人によりいろいろと現象が混じって現れるということなのかもしれない。非常に興味深い。

さて、それで早速今日から、EEGトレーニングとよばれるセラピーが始まった。(もう一つの、特別に処方したCDを聴く「聴覚トレーニング」はすでに開始済み。) EEG(electroencephalogram)というのは、どうやら頭に電極をつけて脳波をはかることを指すらしい。今日見ていると、子供たちは、脳波を測るときの電極をつけて、パソコンの前に座る。パソコンにはアニメ映画が流れている。脳波の範囲を指定しておき、その範囲を超えて脳波が高くなったり低くなったりすると、アニメが止まる。止まると、子供は自分でリラックスして気持ちを集中するように意識する。脳波が範囲内に戻ると、またアニメが動き出す。今日見た様子と、パンフレットに書かれている説明を読むと、どうやらそういう仕組みらしい。

そういう話を聞いて、これってもしかして、「瞑想」と同じ理屈なのでは??と思って少しナットクした。坐禅やヨガで瞑想をするときは、これを自分の意識の中だけで行い、実際に「脳の活動」がどのぐらいなのか見えない。EEGトレーニングでは、これを「脳波」で測り、映画が止まるという現象で「可視化」して、それを受けて自分で意識的に脳の活動をコントロールする仕方を訓練する、ということじゃないかと思ったわけだ。

ただでさえ子供に坐禅など無理、ADDの子供じゃますます到底無理なワケだが、脳波測定による可視化と映画という「ごほうび」を組み合わせて、自力で脳の活動をある程度コントロールするやり方を訓練しよう、ということか。なるほどー、面白い。子供のほうは、映画が見られるのと、帰りに近くのハンバーガー屋でおやつを食べられるので、クリニックに来るのは楽しみらしい。

処方によると、これだけではないかもしれないが、この種のセラピーを100時間ぐらいやらないといけないらしく、週3回通っても2年近くかかる計算になる。さて、うまくいきますかどうか。

2010-10-31 「sensory processing disorder」(感覚処理障害?)のお話

[][] 「sensory processing disorder」(感覚処理障害?)のお話 12:04

最近、我家の「学習障害/発達障害」関連のアップデートをしていなかったが、アフィリエートで売れる本などを見ていると、この問題に興味のある読者がけっこう多いと思われるので、最近の新しい進展について記録しておきたい。

我家の二人の息子はそれぞれに問題を抱えていたが、現在8年生(中学2年)の長男Sは数年前にビジョン・セラピーを行って劇的によくなり、今も整理整頓ができないとか、少々の「ディスグラフィア」的傾向があるとか、完全ではないが、一般的な「苦手」レベルにまで収まるようになっている。(ビジョン・セラピーについては、「視覚発達障害」のカテゴリーを参照のこと。「ディスグラフィア」はこちらのエントリー参照。)

おかげさまで、先月あった「IEP」*1ミーティングにおいて、「Sはもう個別支援の必要なし」とされ、対象から外された。(特別支援はお金がかかるので、「必要」な人にしか認められない。必要がなくなったらサッサと追い出される。)

さて、今度は4年生の次男Tである。一対一なら大丈夫なのに、大人数のクラスでは、全く言われた課題をこなせず、ガタガタしたりボーっとしたり、とにかくまるで機能しない。以前はもっとひどくて、部屋の隅や机の下に隠れて指をしゃぶって動かないとか、耳をふさいで床にごろごろ転がるとか、異常行動が多かった。これまた数年前に「ハイパーアキューシズ」(聴覚過敏)のセラピー(これについては「聴覚発達障害」のカテゴリー参照のこと。)を受けて、それほどひどい異常行動はなくなったが、それでも相変わらず教室で機能しない状態が続いている。IEPの特別支援や周囲の理解のおかげで、行動的にはほとんど問題なくなっているが、教室でまったく何も学べない状態のため、学年が上がって勉強内容のレベルが上がるにつれて成績はどんどん悪くなっている。

アスペルガーではないかと検査を受けたところ、ボーダーラインの「広汎性発達障害」と診断されたが、学校の特別支援の先生からは「sensory processing disorder(感覚処理障害、とでも訳すのだろうか、日本での正式名称は知らない、長いのでSPDと省略する)」ではないか、とかねてから言われており、その本も貸してもらって読んだ。当たるとも遠からず・・・という感じであったが、ではどう対策するか、という話になると、「accommodation(問題をなるべく小さくするために周囲が調整してあげること)」しかなく、この問題そのものを治す「セラピー」については、この本では言及されていなかった。

上記の「ハイパーアキューシズ」とは、特定の周波数に異常に敏感で、その周波数の音が体に不快感を与える現象(例えば黒板をクギでギーっとひっかく音を聞くと多くの人は不快に感じて「ぎゃぁ!」と耳をふさぐが、彼にとっては多くの人がざわざわと騒いでいる音などが同じような不快さで耳にはいってくる)。これに対して脳が自衛のために、外からはいってくる音の刺激を自発的にシャットアウトしてしまう。Tの場合も、ざわざわした教室では、脳が自衛のためにシャットダウンした状態になっている、と思われる。

SPDでは、聴覚だけでなく、触覚や嗅覚なども含めたあらゆる外界からの刺激に対して異常に敏感で、そのために受容した感覚を脳で処理する機能に問題が生じる。つまり、「ハイパーアキューシズ」はSPDの一部に含まれる。「異常に敏感」またはシャットダウン中の「異常に鈍感」という状態が両方ともあるとか、体を動かすことの快感が強いために「ガタガタする(英語でいうfidgety)」「やたらに踊る」とか、ADDと似た行動もある。(いろんな話があるので、もしこの疑いのあるお子さんをお持ちの場合、私のこの記事だけでなく、必ず他の文献も参考にしてください。英語ウィキペディアの記事はこちら。)

以前のハイパーアキューシズのセラピーを受けた先生でも、こうした脳の反応の問題について説明を受けたが、彼女のところはきちんとした設備もなく、SPDの検査を受けても、学校に「こういう対応をしてください」という手紙を書くしかできなかったので、そこまでやらなかった。ところが、地元の子育て無料情報誌の広告で、「SPD」の診断とセラピーをやっているクリニックが、以前は遠方にしかオフィスがなかったのだが、最近我家の近所にもオフィスを開設したことを知り、さっそく相談してみた。

検査では、いろいろな刺激下で、脳のどの部位がどれだけ反応しているかしていないか、ということを詳細に調べる。前回のハイパーアキューシズ検査と同じことも再度実施。その結果、まず「ハイパーアキューシズ」は完全には治っておらず、相変わらずいくつか特定の周波数帯に異常に敏感であること、特に左の耳では、雑音がある場合の聞き取り能力が極端に低下することがわかった。(前回のときのエントリーに「数年後に効果がなくなる」というケースのコメントをいただいたが、それがまさに起こっているということのようだ。)また、脳波に関しては、「アイドリング」状態の脳の活動が通常より大幅に低いことがわかった。自然に脳が起きる状態、つまり自分が好きなことをやっているときはいいのだが、好きでないことをやるのが大変困難で、「スリープモード」から起こすのに普通の子よりも大幅にエネルギーが必要になり、「ぼーっとして何も聞いていない状態」が普通の子よりも大幅に多い、ということになる。さらに、脳の部位ごとの検査では、「アスペルガー」の傾向が認められ、また感覚の処理を司る部分の活動も弱いことがわかった。

対策は、二つに分けられる。まず、ハイパーアキューシズは、前回やったものと原則的には同じことをやるが、今回はもっと細かくTに合わせた処方をし、期間は前回の「10日」ではなく「90日」にわたって行う。このため、毎回クリニックに連れてこなくてもいいように、Tに合わせて処方した音楽をCDに録音したものを、ヘッドホンで自宅で一日2回、30分ずつ聴く。2週間ごとに検査(オーディオグラム)を行い、それに合わせてまた新しい処方のCDが出される。最初の部分をちょっと聴いてみたところ、クラシック音楽だが、右左に音が行ったり来たりする。過敏な周波数もカットしてある。これは前回の経験もあり、ある程度の効果は前回もあったし、ある程度私も理解しているので、早速始めた。今回は、日にちは長くかかるが、音楽を聴いている間、会話さえしなければ、本を読んだり宿題をやったりしてもいい、ということで、生活ペースをそれほど変えなくてよい。

もう一つは、脳の活動状況の対策で、こちらはもっと時間も手間も費用も(泣)かかりそうで、まだ検討中。週3回クリニックに通い、コンピューターゲームのように仕立てたセラピーを行う。特定部位の脳を働かせるように処方されているそうだ。少なくとも、ここまでの診断結果を見ると、これで彼の問題にすべてぴったり合致しており、問題はまさにこれ、と思われるが、このセラピーが本当に効果があるのかどうか、もう少し事例を調べてみてから、決めようと思っている。学校の特別支援の先生に聞いてみたところ、「うーん、この分野はまだ確立されているとは言えなくて、議論があるらしいのよね・・」という返事だった。(これはハイパーアキューシズ・セラピーのときにも同じ返事であったが、私はそれでもいいや、ということでやってみた。)

この「sensory integration training」の説明はこちらのページを参照。事例、コメントなど、歓迎いたします。また、上記で学校の先生に勧められて読んだ本は下記です。

*1:Individualized Educational Plan、個別対策の必要な子供に対し、校長先生・担任・特別支援教師・スクールサイコロジスト・親などが皆で協議して、特別支援の具体的な中味を決定する仕組み。対象生徒の決定や支援の中味については学区が認める必要があり、このミーティングの中味は書類化され出席者全員がサインして学区に提出し認可をもらう、アメリカで初めて見た「稟議書」である。