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2008-08-02 「バカの定義」補足 - マクロではなく、ミクロのお話

[][] 「バカの定義」補足 - マクロではなく、ミクロのお話 16:58

下記エントリーに対し、貴重なコメントをたくさんいただき、ありがとうございます。いただいたご意見などをふまえ、少々補足したいと思います。・・・

別の視点から、「バカ」の定義 - Tech Mom from Silicon Valley

LD(学習障害)、ADHD、アスペルガー症候群など、種々の「障碍」について、こういった「レッテル貼り」はあまり意味がない、というご意見はもっともだ。この問題と毎日毎日、生活の中で格闘している私の頭の中では、その次のステップへと進むことがあまりにも当然のことなので、敢えてそういう言い方をしていなかった。書き足りなかったことをお詫びする。

LDという名前をつけることは、「字が汚いけれど、LDだからいいんだ」と開き直ることではない。「あなたの言っていることが理解できないけれど、私はアスペだからいいんだ」と思考停止するならば、むしろ有害だろう。

しかし、「LDであり、またどこにどういう問題があるLDが原因で、字が書けないか」ということがはっきりわかれば、「ではその問題にどう対処すべきか」という次のステップがわかる。まずは、最初にその認識がないと、次に進めない。そのことが重要なのだ。

具体的に例を挙げよう。わが息子がなんらかの問題を抱えていることがわかったのは小学校2年のときだ。それまで、ひらがなを何十回練習しようが、英語のスペルを何十回練習しようが、全く覚えられず、見ながら書き写すことすらできず、無理やり書いても異常に崩れた字しか書けないことに私はイラだっていた。「あんたがまじめに覚えようとしないからだ」と何度どなりつけ、何度子供が泣き喚いて荒れまくったことか。何がいけないのか、どうすればいいのか、全くわからなかったのだ。

2年生のとき、読みの達成度テストを学校で行った。2年生で読めるべきレベルの文章を一人づつ音読させ、全体のうちいくつ単語を読み間違えたり読めなかったりしたか、読むのにどれだけ時間がかかったか、最後に内容について質問していくつわかったか、などいろいろな要因に分解して、それぞれの要因が学年全体のうち何パーセントのところにいるか、というのを細かくはじき出す。

そこで先生に言われたのが、「読めない単語の数が多く、notとかonのような小さな単語を読み飛ばすことも多く、読むのにものすごく時間がかかるので、途中でイヤになってしまう。しかし、読み終わりさえすれば、読解はほとんど完璧で、内容はちゃんとわかっている」ということであった。そして、「読み」に問題がある子供向けの専門家による訓練を学校でやることになった。「なんらかのLDである」ということを学校(正確に言えば学区)が認めて、予算がついて、特別サポートが始まったわけだ。

この「LD認定」は、終わりでなく始まりだった。ようやく、問題のありかが少しわかった私は、ではどうすればよいのかを探すべく、ディスレクシアについての本を読んだりウェブサイトをあさったり、学校の専門の先生やディスレクシアの子供をもつお母さん仲間に話を聞いたり、といった調査作業をはじめることができた。そして「視覚発達障害」ではないかと気づき、セラピーで改善できることがわかった。その後の経緯は、何度かここに書いているので、「視覚発達障害」カテゴリーの過去エントリーを参照してほしい。(ただし、「書く」ことはいまだに問題があり、これまた日々格闘中である。)

もしあのまま、「どなりつけと泣き喚きの日々」が永遠に続いたとしたら、先生もそんな彼を「怠け者」と呼び続けたら、いったいどうなっていただろう。世をすね、親や先生を恨み、攻撃するようになったとしても、全く不思議はない。*1

そういうわけで、私が身をもってある程度知っているのは、ディスレクシアと視覚発達障害だけなのだが、他のアスペやADHDにしても、たとえ完全に「治る」ことがなくても、それぞれの子供の状態に合わせて、効果的な指導の仕方や、どうしてもできない部分をカバーするための「ストラテジー」が種々研究されている。専門家は、子供の問題のありかや、進歩の具合などを見ながら、いろいろのセラピー、カリキュラム、ストラテジーを組み合わせて指導する。場合によっては、試験を受けるとき、問題を読み上げたテープを使ってもよいとしてくれるなどの「アジャストメント」をすることもありうる。

前回のエントリーで「眼鏡というものがこの世の存在していて、ありがたいと思った」というコメントをいただいたが、全くそのとおりで、検眼して近眼とわかれば、眼鏡をかければよい。完全に目が治るわけではないが、ツールを使えば、弱点をカバーしてくれる。種々の障碍の認定も、それへの対策も、それと同じことだ。「レッテル貼り」ではなく、「解決・改善への第一歩」なのだ。

そして、書道の価値や、きれいな字を書くためのトレーニング、あるいは斎藤孝さんの提唱されるような「音読」運動なども、それ自体を否定するわけでは全くない。「社会全体で読み・書きの基準を甘くしろ」とか、そういう話でもない。ただ、多くの親や指導者が、「こんなことは誰にでもできること」であり、それができない子は「サボっている」だけであり、いつまでたってもそれができないやつは「バカである」と思い込んでいるようであることが、問題だと思うだけだ。

一応言っておくと、これは必ずしも日本だけの話ではない。アメリカだって、ちゃんとしたスペルや文法で文章を書けない人を「教養がない」と見下す傾向はなきにしもあらず。字のきれいさ自体は、昔からタイプライターで書くので、日本ほど問題にならないと思うが、テストのときは手で書くし、先生によっては、伝統的なペンマンシップを重要であると考える人はいるのだ。

上記のように、ウチの子供の問題はそういうことだったが、別の子は別の問題を抱えており、その対策も、本当に一人一人違う。だから、マクロの塊の議論はしても仕方ない。親や先生といった、その子を日々見ている立場の人がミクロ的に考えるしか、解決の方法はない。

ただ、ディスレクシアの日本での事例が多く収録されている本(下記)を読んだ限り、(少なくともその本が書かれた時点では)ディスレクシアの存在そのものを知らないために、先生が「ディスレクシアではないか」という親の相談を頭ごなしに否定し、その子供を単なる「怠け者」と決め付ける例が多く見られたし、親である私自身だって、最初は子供のことを「単なる怠け者」と思っていた。「視覚発達障害」はますます知られていないし、まだ名前のついていない、別の発達障碍もあるだろう。だから、親や先生は、「単なる怠け者あるいはバカじゃないこともありうる。そうだとしたら、別の指導方法があるかもしれないので、考えてあげてほしい」し、例えば友人・上司・部下などがそうなら、問題のありかがわかれば、周囲の人間も、それなりに対策を立てることができる。

そういった、ミクロの話として聞いていただければ幸いである。

*1:いただいたコメントのリンクをたどっていたら、「醜形恐怖症」という病気があると知った。もしかして、秋葉原の大量殺人犯は、これだったかも。単なる可能性の話だが、もしそうだったとして、誰かが早くそれに気づいて、精神科に連れて行ってきちんと対処していたら、この事件は起きなかったかもしれないのだ。

kin3hamakin3hama 2008/08/03 04:58 教育現場での「LD認定」、たぶん日本には無い制度でしょう

LD、ADHD、学校の先生達は、その意味を理解しているとは思いますが、子供を持つ親であっても、その言葉すら聞いた事がないという人達が大勢だと思います。ましてや、さいきんは「モンスターペアレント」と呼ばれる自己中心的な要求を学校側につきつける親が増えています。クラスにいる「落ち着きの無い子」のために、授業が滞るのは許せない、と訴える親もいると聞きます。

親の育て方が悪い、昔はこんな事は無かった、どちらの言い方もLD児を持つ親にとっては、追い詰められるだけで、何の救いにもなりません。

発達障碍を一つの特性(プロパティ)として理解して、学校でも職場でも受け入れていく事は、多様な生き方(Diversity)を認める社会への一歩のような気がします。

jo-tarojo-taro 2008/08/03 17:47 このブログを通してLDというものを知りました。
ためになりました。

growersgrowers 2010/04/11 02:20 こんにちは。ブログを移動したのと、日本の多くの方にLDを知って頂きたいため、再び記事にリンクさせていただきました。どうぞよろしくお願い致します。

テレエッチテレエッチ 2010/09/12 02:48 テレエッチ http://www.eromobi.net/cate83.php <a href="http://www.eromobi.net/cate83.php">テレエッチ</a>

2008-07-31 別の視点から、「バカ」の定義

[] 別の視点から、「バカ」の定義 20:51

これに付け加えて。

社会問題アレルギーと「バカ」の定義: 国民宿舎はらぺこ 大浴場

愛知で18歳のフリーター君が中学時代の担任を刺した事件。日経新聞によれば、きっかけは、彼が宿題として提出したノートが「字がきたない」といって怒られ、殴られたこと。もしかして、この子は「ディスレクシア」(読字障害)または「ディスグラフィア」(書字障害)みたいなLDがあったんじゃなかろうか、と私なんぞはすぐ思う。ウチの子の場合、頭は悪くないのに、字をきれいに書くということがものすごく難しく、どんなにがんばってもある程度以上はできない。それで殴られたら、イヤになるよな。実際、ディスレクシアや、ウチの子のような視覚が原因のLDのために、学校でバカ扱いされて世をすね、非行に走る子は多い、との話もある。*1

少し前に、小学校の屋上の明り取り窓の上で飛び跳ねて、落ちて亡くなった小学生。もしかして、この子はADHDだったんじゃなかろうか、とつい思う。じっとしていられなくて、周りから見ればアホみたいなことをついやってしまう。本人はその衝動をコントロールできない。かわいそうに。

ネット上で物議をかもしている「没落エリート」の「B」型、学歴は高いけれどコミュニケーション能力の低い「高学歴就職難民」。この人たちの少なくとも一部は、もしかしてアスペルガー症候群ではなかろうか、とふと思う。シリコンバレーにはこの手の「変わり者」がたくさんいる。

ホントにそうかどうかは知らない。でも、見方によっては「バカ」と一言で片付けられているこういう人々は、本当は別の見方では「バカ」じゃないのかもしれない。

エジソンやアインシュタインも、ADDだかディスレクシアだかアスペだか、なんだかいろいろあって、子供のころはこの種の「バカ」扱いされたらしい。スティーブ・ジョブスもビル・ゲイツも、コミュニケーション能力には大いに問題がありそうで、嫌われ者毀誉褒貶の激しい人々だから、ややアスペがはいってそうである。

こういう人たちはそれでは、世の中の厄介ものとして生きるしかないのかというと、そんなことはない。こういう人がものすごい能力を発揮することだってあるのだ。逆に、大天才ほどそういう気がある。たとえ大天才になれなくても、なんとかプチ変人ぐらいにはなれるかも。

確かに、バカと言われても仕方ない人々もいる。社会現象が云々などという話も興味がない。塊として議論したって意味がない。一人一人、事情は違うんだから。

でも、もしあなたがこういう種類の「バカ」と呼ばれる子供の親や指導者だったら、せめてあなただけでも、信じてあげてほしい。本当はきっと、その子はバカじゃないのだ。特に子供のうちは、周囲の「バカ」扱いが原因で、一生立ち直れなくなることもある。逆に、誰かが信じてあげれば、「バカの悪循環」から抜け出すことができるかもしれない。

「バカ」とは何か。最近、私にはますますその定義がわからなくなっている。

*1:知り合いの子の話だが、その子はLDじゃなくて、字を書いたり細かい作業をしようとすると手が震える機能障害があり、日本ではよく先生に「字がきたない」と文句を言われ、友達にも言われることが多かった。ところが、家族の転勤でアメリカに来てからは、誰もそのことを言わない。日本語補習校でも、先生がある日「字が汚い」と言ったら、隣の席の子が「○○くんは、これでいいんだよ!」と弁護してくれたんだそうだ。そりゃそうだ、だって自分じゃどうしようもないんだから。全く、日本じゃ、なんでそれほど字がきれいでなきゃいけないんだ!それで人格が決まるんか!と、私はすぐ怒ってしまう。それで、この傷害事件に過剰反応している。

KK 2008/08/01 02:28 「字が汚い」のを自分では気にしているが、怒られた覚えは無い。怒られた人も見た事は無い。
地域にもよるのではないか?

石川石川 2008/08/01 06:35 肉体的訓練でだいたいのことがわかります。それと、サバイバルするのは結局は肉体です。日本人の身体がアメリカ人の身体にならないということはありませんし、また、日本は日本で強い身体をしていたわけです。ところが、肉体重視をバカだという風潮が日本に根付いてしまった。また、適応障害がある場合、精神的訓練よりスタンスの長い肉体訓練の方がいいのではないでしょうか。たぶん、頭脳だけだと50歳でアウトです。それも脳の一部だけしか使っていないので、酷使されて、頭脳疲労でいずれは善悪の判断もつかなくなると思います。ネットというのは、広い大地や国々との交流には役に立つと思いますが、日本だけなら有害でしょう。なぜなら、簡単に会えるのに会わないのだから。フェイス・トウ・フェイスが人間の基本です。肉体の顔が重要なんですよね。

774774 2008/08/01 07:47 > 「バカ」とは何か。最近、私にはますますその定義がわからなくなっている。

話がずれるんですけど、
最近同じようなことを感じることが多いです。
「バカ」に限らずキーワード的に扱われる言葉は、
なんらか問題の存在を広く知らしめる役目は果たすのだけれど、
定義せずにキーワードのまま放っておくと、
逆にその問題解決の障害になりやすいんじゃないかと。

「キーワード」=「使っている人や聞いた人が分かったようなつもりになる言葉」だろうなあと。

jackjack 2008/08/01 08:19 私は近眼なのですが、この記事を読んでふと眼鏡というものが存在していてよかったと思いました。
この世に眼鏡がなかったら、今頃私は文字も読めないバカ、みたいな扱われ方をされている、なんてこともあるのかもしれないなーとか。
発達障害って、病気であるということが重要なんじゃなくて、対応するためのツール(薬とか方法論とか知識とか)が存在しているということが重要なんだろうなと思いました。
字の汚さについては……日本の場合、「習字」ってのがたぶん諸悪の根源……ていねいに書けばだれでも読みやすい文字は書けるはずみたいな精神論とか。芸術レベルはともかく、習い事とか授業だと、手本に似せた「美しい文字」であることが目標とされますし。

ハタナカハタナカ 2008/08/02 00:35 20代の学生です。祖母が書道家でした。
まず、字の書き方で頭の良し悪しが決まるとは思いません。
字が汚い生徒を馬鹿と決めつける教師が馬鹿だと思います。
しかし、一方で先天的な障害(字を奇麗に書くかどうかという観点で)がある子に合わせて、皆が字を奇麗に書かなくて良くなるというのは、車いすの子供(先天的に走れないから)がいるクラスは徒競走をしてはいけません。と言っているように聞こえます。極端ですが。

スティーブ・ジョブズが学生時代(中退後でしたか)、カリグラフィを勉強したことが、彼の美的センスを刺激し、マッキントッシュの今を作っていると言われるように、3種類(漢字、平仮名、片仮名)ある日本語の字体を小さいうちに使いこなせるようになることは、ある意味、美的センスを養う基礎教育にもなると思います。

26文字のアルファベットでしか物事を表現できない英語圏の人たちに比べて、数万字を様々な字体で表現に用いる日本人は、表現の世界で大きなアドバンテージがあると思うのです。

プラクティカルな面で見れば、これから字を書いて人に見せる機会も減っていくでしょう。メールにしろブログにしろ、フォントはほとんど同じで、書いた文字のような味は出ません。これはある意味、大きな損失で、日本人全体が大味なアメリカ人化していく傾向だと思います。

だからこそ、そういう五感のセンスを磨くフィジカルな訓練は子供達にもっとしっかりとやってもらうべきだと思います。

最後ですが、文字を疎かにした国というのは、漢字を簡易表記化してしまった中国にも見られるように、若者の思考の厚みを大きく損なってしまうと危惧しています。

fukufuku 2008/08/02 07:59 集団が円滑に生活するために、個人の持つ傾向に「〜障害」「〜症候群」など名付けて分類することは本当に必要なのでしょうかね?
その先に進むためには、必要な社会の過程である気はしますが。

yrtmmyrtmm 2009/01/10 00:32 わが子は、たぶんディスレクシアだと思われます。ウィスク検査で言語概念が極端に少ないと1年生の頃言われました。今、3年生ですが2年生くらいの言語だと思います。読みは、かなり疲れるようです。指でたどりながら読まないとだめです。
1年生の頃、学校生活に慣れずとても情緒不安定で、相手の心が理解できなかったり、自分を理解してもらえないことで、手が出ることがありました。毎日のように学校に通いいろいろと先生と対応しましたがわが子にかかりすぎた先生が他の生徒に目がいかなくなり学級崩壊となりました。他にも落ち着きのない子が数名いたため拍車がかかったのです。保護者たちに一斉のつるしあげをされずいぶん泣きました。まるで何もしていないかのように噂を流され中傷を受けました。2年3年の担任の先生の対応で、今は楽しく頑張っています。それでも、学校のサッカークラブに入ろうとすると1年生の時の保護者たちにボイコットされ、入ってきてほしくないとの妨害もまだまだあります。結局、企業が運営するクラブチームに入りました。本人は、いろいろな学校の子がいて楽しいと言っているのでこれでよかったと今は思っています。発達障害の子は、暴力をふるう子で危害を加えると思っている保護者もたくさんいます。対応次第でそんな風にならないんだと言ってもあまり理解してはもらえません。
アメリカのように日本も対応が進めばいいのですが・・・

2008-05-08 「ビジョンセラピーは儲かる」でもいいんじゃないか

[][]「ビジョンセラピーは儲かる」でもいいんじゃないか 20:51

私の学習障害についてのエントリー(「視覚発達障害」「聴覚発達障害」のカテゴリー参照)を見てくださった日本のお母さんから、メールをいただいた。その方は、お子さんがディスレクシアだそうで、学習障害に関するブログを運営されており、日本でビジョンセラピーを提供しているクリニックのリストも掲載されている。とても参考になるので、下記を参照してほしい。

学習障害児(ディスレクシア)の支援のために - 楽天ブログ

日本でビジョンセラピーが受けられるのは、下記の場所だそうだ。

  大阪医科大学LDセンター

  Joy Vision

  特別視機能研究所

  かわばた眼科

さて、我が家の子供たちは二人ともビジョンセラピーのお世話になったわけだが、これがえらく値段が高くて苦労した。20回のセラピーに途中と最後と終了後半年の3回の診断を合わせて4000ドル以上(40万円)。次男坊のときは、さらに聴覚のセラピーでまた1200ドルの出費もあった。しかし、ちょうどその前後に私は本を書き始め、そのために通常の仕事を他にアウトソースするなどして収入が減ったこともあり、借金などでやりくりし、スケジュール的に無理な仕事を敢えて受け、吐きそうになるまで働いている。

一方、このグロワーズさんのブログには、ビジョンセラピーを提供されている方から「アメリカでは高いそうですが、日本ではまだ普及していないこともあり、お安く提供しています」というコメントがはいっていた。それは親からしたら涙が出るほどありがたいことなのだが、一方で「ちょっと待って・・・」とも思う。

ウチの子供たちが通ったビジョンセラピーのクリニックには、3人のお医者さんと5人ぐらいのセラピストがいる。アシスタントも含めて、全員女性である。特にお医者さんがたを見ていて、つくづく思う。もし私が、今大学にはいるぐらいの年だったら、ビジョンセラピー専門の眼科医になったらいいだろうなぁー・・・

お医者さんもセラピストも、子供をもつお母さんばかり。だから、子供の扱いも慣れているし、親の大変さもよくわかる。外科などと違って、命にかかわらないので医療過誤訴訟のリスクも少ないし、ストレスも少ない。完全アポイント制、急患もないので、ライフワークバランスの点ではバツグンである。一方、専門性が高く、アメリカでもまだ数が多くないので、需要は高く、競争もそれほどではない。ある程度高い値段をチャージして、安定した収入を得ることができ、本当に人助けになって感謝される。優秀な女性にとって、こんないい仕事はないと思う。

日本では、まだまだビジョンセラピーのクリニックが少ない。上記のブログでも、全国でたったの4ヶ所しかリストされていない。この数を増やすには、まず私などもがんばってブログに書いたりして、ビジョンセラピーが助けになると、なるべく多くの人に気づいてもらうことも必要だろう。その一方、優秀な専門医を増やし、彼らにがんばって周知活動をしてもらう必要がある。だから、多少高い値段をチャージしてもいい、とにかくどんどん優秀な人に専門医になってもらい、ノウハウの蓄積が多いアメリカにも来てがんがん勉強してもらい、お客を増やすべく、どんどん営業してもらう。

そうやって参入する人が増えて、多すぎるようになれば、値段の競争も起こるだろうが、それまでは、ある程度「市場価格」の値段を堂々とチャージしてもらってもいいんじゃないかと思う。高い値段が払えないご家庭に対して、分割払いやなんらかの公的援助などができるような配慮も必要になるだろうが、基本的に、この新しい分野でどんどん勉強して研究して推進して、周知して分野を確立できるだけの、お金がまわるようにしてあげたいと思う。

セラピーをやるほうも、最初に高いお金を払うと、無駄にしてはいかん、とがんばってやる。半年間、毎日家庭セラピーを毎日やらせるのは、親も子も大変だ。途中でくじけてしまった人も知っている。我が家では、こんだけ必死になってお金を払ったんだから、無駄になっては大変・・・というセコい考えで、私は必死になって子供たちにやらせた。

両方の意味で、「市場原理」を無視しないほうがいいんじゃないかと思う。アメリカ的な考え方だと批判は覚悟の上だ。でも、たとえお金で苦労していても、私は的確な指導をしてくれる、優秀なお医者さんを信頼していたし、そういうクリニックが毎週通える近所にあったことに、深く深く感謝している。そういう環境を作り出すには、「ビジョンセラピーは儲かる」で大いに結構じゃないかと思う。優秀な女性医師候補が、「美容整形よりビジョンセラピーのほうが儲かるから、そっちを専門にしよう」という世界をまず作るべきじゃないかと思う。

ちなみに、今日は次男坊Tの学校で、「IEP」(Individualized Education Planning、問題のある子供の対策を専門家を交えて話し合うミーティング)があって行ってきた。(下記エントリーで「対策会議」といっているもの)

豊かな時代の教育とは:「こいつらにはやっぱかなわねー」と思うこと - Tech Mom from Silicon Valley

2月にやったオーディオ・セラピーと、最近終ったビジョンセラピーの様子を報告したのだが、いつものように、スピーチセラピストの専門の先生が、彼のオーディオ・セラピーの前にやった診断を見て、すぐに反応。「静かな状態なら、両耳ともほぼ100%聞き取り理解できるのに、雑音がはいると右が80%、左が60%にまで落ちるのね。60%はひどい。これは、確かに雑音が苦手で大変だ。教室で、アンプの補助をつけてやってください。」と即座にアドバイス。1年生の教室には今はないけれど、秋に2年になると、2年生の教室には、アンプ(先生がマイクを使って話し、その子供の手元でスピーカーをつけて聞き取れるようにする)の設備があるので、それを使おうということになった。また、当面1年生の間、担任の先生は、「今の席だと、私が彼の左側にいるような位置になる。右側から私の声が聞こえる場所に替えよう」と決定。

そして、いろいろと彼の教室内の問題行動がいつ起こるか、何が効果があるか、などを話し合った。一番問題なのが「書く」課題を与えられて、自分でやらなければならない場合だ、ということに絞り込めたので、その科目だけ、学校内にある「ラーニング・センター」という一種の「特殊学級」に行くことになった。一般クラスにはいらず、特殊学級にずっといる子もいるが、苦手な科目だけをそこで個別指導を受けることもできるので、我が家の長男Sも、「書く」ことはそこでお世話になっている。ここの先生も、とてもよい先生だ。

こういう対応はアメリカでは普通なんだろうと思っていたけれど(上記エントリー参照)、どうもそうではないらしい、と最近思うようになってきた。隣の学区ではIEPの対象児童が一人もいないとか(ありえねー!)、IEPをリクエストしてもなかなか開いてもらえないとか、他の学区の話を聞くと、どうも大変そうだ。わが学区は、学習障害対策が特にしっかりしていると近所で有名らしく、そのおかげか、ここ数年、州統一テストの学校平均スコアがすごく上がっていて、そのために引っ越してくる人が増えているらしい。それでますます、予算が足りなくなって困っている。(それで、またどっさり寄付だよー・・・でも、我が家なんてしっかり恩恵にあずかっているので、仕方ないのだ・・・)ヤレヤレ、だけれど、どうもそういうことらしい。

KK 2008/05/09 04:11 日本だと、普及したら保険の対象になるのではないの?

LullyLully 2008/05/09 05:37 ウチの娘は、歯列矯正で65万かかりました。保険のきかない治療は、高くつくよネ。

グロワーズグロワーズ 2008/05/09 16:40 ご紹介ありがとうございます。
考えさせられました(^^)
ビジョンセラピーですが
様々な理由があって残念ながら日本でも保険の対象にはならないようですよ。

kuboyumikuboyumi 2008/05/10 20:28 私も海部さんに同意します。我が家に自閉症がおりますが、日本では、福祉で儲けてはいけないという風潮がまだある気がします。もうけないということは、ボランティアレベルで。ということですので、専門性を問う場合、質がどうしても??になってしまいますね。我が家のようにたくさんの複合障害になってくるとたしかに高くつきますが、そのお金を100%親が払わないでいいシステムを作ってゆけばいいわけで、専門性のあるものは、儲かる。という業種は、やはり、質がいい物の供給が可能になってくると思います。

K.TK.T 2008/08/11 13:40 こんにちは。子供が、音に(ドライヤーの強風の音や、花火・生のピアノの音、トイレの流す音など)過敏に反応を示し、嫌がる
ことが多いので、聴覚過敏なのかと、心配しています。そういった症状が見られる場合、早めに病院に行くべきなのか、迷っています。子供自身まだ小さいので、検査を受けるのは難しいような
気もするので・・・。何かご存じでしたらアドバイスをいただけるとうれしいのですが・・・。もし、お目にとまりましたら、よろしくお願いいたします。

michikaifumichikaifu 2008/08/11 19:35 K.Tさん、
そうですねぇ、子供さんが小さいと、聴覚検査は正直ちょっと難しいですねぇ。でも、お母さんの直感で「これはおかしい」と思うのは案外正しいことが多いと思います。まずは、定期健診などの機会を利用するとか、専門家に電話でまず相談してみるとかはいかがでしょうか?聴覚は視覚に比べると、セラピーが確立していなくて、治るのはますます難しいようですので、治すことより、「対策」「ストラテジー」を中心に考えてみるほうがいいかもしれません。

K.TK.T 2008/08/11 21:57 早速のお返事、有難うございます。定期健診では、そのうち
治るので、気にすることはない・・・とのことでしたが、気に
なっているので、どういったことを糸口にして、どういった
専門家にかかるのがいいのか、わからず困っています。
も少し詳しくお話できれば・・・と思ったのでよろしければ
直接連絡をとる方法を教えていただけないでしょうか?
ご迷惑でしたら、この話題はスルーしてください。
お忙しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。

michikaifumichikaifu 2008/08/12 11:17 このブログの右上のほう、私の顔写真の下の「michikaifu」というラインをクリックすると、私のプロファイルにはいり、メールアドレスがあります。そちらにメールください。

YY 2010/04/22 08:59 こんにちは。娘のLDの件でネット検索していたところ
偶然、こちらのページを見つけました。
ちょうどJudithのところにも行ってきたところです。
とても詳しく書かれており、勉強になりました。
Mountain View在住の女児の母親ですが、もし差し支えなければ
ご子息の通われたVision Therapyの先生の名前を教えていただけませんでしょうか?どうもトラッキングもできていないようなのです。よろしくお願いいたします。

YY 2010/04/22 08:59 こんにちは。娘のLDの件でネット検索していたところ
偶然、こちらのページを見つけました。
ちょうどJudithのところにも行ってきたところです。
とても詳しく書かれており、勉強になりました。
Mountain View在住の女児の母親ですが、もし差し支えなければ
ご子息の通われたVision Therapyの先生の名前を教えていただけませんでしょうか?どうもトラッキングもできていないようなのです。よろしくお願いいたします。

michikaifumichikaifu 2010/05/09 19:33 Yさん、

気がつくのが遅れてスミマセン。ウチでお世話になったのは、San CarlosのFamily Vision Careです。

http://www.familyvisioncare.org/

お嬢さんに効果があるといいですね。頑張ってください!

YY 2010/05/12 10:15 ありがとうございます!!
偶然、他のドクターに勧められ、2週間前にそこの予約を取り、今週、視機能テストを受けて来ました。Tracking, Eye-teaming, Focusing、すべて問題あり、と言われ字が重なって見え、さらにその字がぼやけて見える、その上CAPDの問題もある、だから字が読めないと説明を受けました。今月、AITをスタートするので、来月からビジョンセラピーを開始する予定です。低い平均台を怖がって歩けない理由も解けました。まだ5歳と幼いので、とりあえず10週のセラピーをしてみよう、との話でした。本当にこちらのホークページは勉強になり、助かりました。住まいがMountain Viewなので、どちらも通うのが少し大変ですが、「どうして私はみんなみたく字が読めないの?」と泣きながら訴えてくる娘のためにも、親子で頑張ろうと思います。
ベイエリアに住んでいて良かった、とも思いました。
本当にありがとうございました!!

2007-12-27 そろそろ、ビジョンセラピー折り返し点

[][] そろそろ、ビジョンセラピー折り返し点 09:50

次男坊Tのビジョンセラピーが始まってそろそろ2ヵ月半。20週間の予定で、まもなく真ん中の時期で、進歩の状況をレビューすることになる。そのため、今週から、週に一回のセラピーのときに、少しずついろいろなテストをする。

長男も同じビジョンセラピーをやったが、彼はもうちょっと年長のときに始めたこともあり、またもともとの症状も弟より激しかったので、セラピーを始めて2週間ぐらいで、目に見えて効果があった。前のように、キレたり暴れたりしなくなったのである。弟はもともとそれほど激しくないので、なかなか効果が表れないなー、とちょっと心配していた。時々、学校で友達につっかかったり、授業中にがたがたするなどの問題行動がなかなか解消していない。弟のほうは、視覚のほうだけでなく、聴覚にも問題があり、授業中にざわざわする騒音がどうしてもガマンできないらしいので、これはどうも仕方ない。

でも、とにかく視覚に関しては、昨日一つテストをしたところ、セラピー前にやった時点よりも、大きく進歩があった、とセラピストが話してくれた。並んでいる文字列を順に目で追っていくテストだが、これが以前は、どうしても目が文字列にフォーカスせず、視点があちこちに飛んでしまい、本人もすぐに疲れてジタバタした。それが、今回はずっと改善され、また最後まで落ち着いてテストをすることができたそうだ。

そういえば、急に自転車に乗るのが上手くなった。これまでは、最初の踏み出しはできるのだが、頭がグラグラしてすぐにバランスを崩してしまっていた。そのため、自転車の練習をしようと誘っても嫌がった。ところが、先週練習をさせてみたら、見違えるようにスムーズに乗れるようになっている。自分では気がつかないけれど、自転車に乗るというのは、目で遠くのほうにフォーカスを置いて、それを軸に体でバランスを取っている、ということなのだな、と改めて思った。本人は急に自信をつけ、楽しくなって、毎日自転車を乗り回している。

こういう効果は、気がついたら本人にも話して、「セラピーを毎日頑張ってるから、よくできるようになったね。」と励まし、ヤル気を持続させるようにしている。

ところで、彼に聴覚の問題があるというのは知っていたが、治るものかどうか調べてもよくわからなかったので、そのままにしてある。しかし、今回ビジョンセラピーを始めた最初の日、セラピストが彼を見るなり「この子は、聴覚問題があるんじゃない?」と私に聞いたので驚いた。セラピストは、聴覚のほうも経験があり、彼女自身のお嬢さんも「ハイパーアキューシズ」の問題があったという。そして、聴覚もセラピーがあって、改善することは可能で、逆に早くやっておかないと、だんだんに耳からはいってくるものを脳で遮断して聞かないようになってしまう、といわれた。今はビジョンをとりあえず先に済ませ、そのあと聴覚の診断のほうにかかろうということで、近所の専門家のリコメンデーションももらっている。これはラッキーだった。

年明けに、ビジョンの中間アセスメントをやる予定で、その後徐々に暇をみて、聴覚の専門家のほうもアポイントを取ろうと思っている。

なお、「視覚」「聴覚」の学習困難については、右のカテゴリー欄からクリックするとこれまでのエントリーが読めるので、興味のある方は参考にしてほしい。

みきみき 2007/12/30 05:50 娘たちが、ビジョンセラピーをしています。
日本では名古屋や神戸の眼鏡屋さんで受けられます。
立体的に見えるようになり、運動や勉強が以前より出来るようになりました。
とても喜んでいて、自信にもつながっています。
いい先生に出会えたことに感謝しています。

まきこまきこ 2008/01/22 12:34 コネチカット在住で子供が3人います。
真ん中の子が4歳半で英語も日本語も全く普通に話すのですが、アルファベット「A/B/C」だけを覚えさせてランダムにテストすると
どうしてもうまく言えないのです。
もしかしてその手の障害かな・・・と、ネットで調べてみたら
当サイトにだどりつきました。
去年の夏に外斜視をなおす手術を受けてるのですが、これと目の問題も結びつくのでしょうか?
なんだか誰かに話したくてここに書かせていただきました。。。

2007-10-12 次男坊にも「視覚問題」- 「聴覚」だけでなく、またまたビジョンセ

[][] またまた「視覚問題」が - 「聴覚」プラス ビジョンセラピー 20:38

我が家の子供たちの学習障害については、しばらく特に発展がなかったのだが、次男坊のTがこの秋から小学校1年生になり、ちょっと動きがあった。

Tは「auditory processing problem」(聴覚プロセスに問題)があると指摘されていたのは、以前下記のエントリーに書いたとおり。ここには症状名を書かなかったが、軽い「hyperacusis」(日本語名は知らないが、「聴覚過敏症」といった感じ、「ハイパー・アキューシズ」と読む)もあるのでは、と、学校のスピーチセラピーの先生に指摘されている。

「目」のお次は「耳」の発達障害 - Tech Mom from Silicon Valley

これはどういうことかというと、特定の音に対して異常に過敏で、その音が聞こえると非常に不快になりイライラする。Tの場合、人がたくさんいてざわざわしているのがダメで、特に体育館やカフェテリアなどの全面硬い表面でエコーの大きい広い場所が苦手である。例えば、先日サンフランシスコのチャイナタウンで、あるレストランに入ろうとしたら、絶対にイヤだと言い張って逃げる。仕方ないので、数軒先の似たようなお店に移ったら、そこならいい、という。メニューも匂いも似たようなものなのに、なぜか?と不思議に思っていたら、最初の店はすごく大きな店で、人のざわめきがエコーしまくっている、2軒目はもっと小さくてエコーがほとんどない、という違いに気がついた。

これがあるので、たくさんの子供がいる教室では、それだけで不快感で疲れてしまうらしい。それで、音から逃げるために、壁ぎわにはりついたり、誰もいない外に隠れてしまったりする。すぐに疲れて、ごろごろ床に寝てしまったり、不安になって指しゃぶりをしたりする。最近はイライラして他の子を突き飛ばすこともある。こういうときは、自分でもコントロールできない、と本人は言っている。こうした行動は、騒音のない自宅では全く起きないので、最初保育園でこうした行動を先生に指摘されたときは本当に驚いたが、数年かかって、ようやく上記のようなことがわかって、少しは彼の行動を理解できるようになった。

Hyperacusisについては、ネットでリサーチをしたり、スピーチセラピーの先生と相談したりしたのだが、どうやら治療法は確立されていないようだ。本当にHyperacusisかどうかの検査をしても治療方法がないなら仕方ない、年齢とともにだんだんよくなっていくはず、ということで、今のところは、こうした問題を担任の先生に理解して対応していただく、ということだけで済ませている。

一方、1年生になっていよいよちゃんと本を読む練習をするようになり、どうも長男のSが経験した「視覚発達障害」と同じような問題がありそうだ、ということに気がついた。何かを読もうとするとき、目が一点にフォーカスできず、あちこちに目がうごいてしまったり、文字をさかさまに読んだり(「りす」を「すり」と読んでしまう、など)する。長男Sも同じだったが、両目がちゃんと連動する機能や、文字を追いながら目を動かす機能などに問題があると、イライラがはげしく、むやみと体をうごかしたり手や足でガタガタ物を動かしたり、落ち着きがなくて集中が続かない、という症状も起きる。Tでも、こうした一見「多動症」(ADD、ADHD)のように見える症状が激しく、先生は手を焼いている。

それで、ちょうどSが、ビジョンセラピーが終わって1年後の定期検眼をすることになっていたので、一緒に弟も連れていって検査をしてもらった。どうも問題がありそう、ということで1週間後に精密検査をしたところ、やはりかなり深刻な「トラッキング」(文字を追う機能)や「コーディネーション」の問題があることがわかった。今日、その検査結果を詳しく説明してもらい、20週間のビジョン・セラピーを行うことになった。

すでにSで経験しているので、きちんとプログラムをこなせば、きっとかなりの問題が解決するだろう、ということで、これから20週間の作業は大変だが、逆に問題の所在がこれでよかった、という安心感もある。聴覚だけの問題だったら、治す方法がなくて困っていたのだが、これはとにかくやれば目は治る。

Sでも、ビジョンセラピーを終えて、劇的に状況は良くなったが、完全ではない。「書く」機能についてはまだ問題があって、「Occupational Therapy(OT)」という訓練を学校で続けている。同じように、Tも完全には治らないかもしれないが、少なくともビジョンセラピーできっと多くの問題が解決するだろう、と思う。

ちなみに、Sのケースのその後の経過を紹介しておく。下記のエントリーにまとめたように、3年生の間にビジョンセラピーを実施して、学年の終わりの「カリフォルニア州標準テスト」では、英語の成績は4段階でいうと下から2番目「basic」の範囲だった。(上から2番目「progressive」までにはいれば合格。)読む能力と書く能力がそれぞれ3つほどの分野に分かれており、すべてが標準以下だった。セラピーが終わって1年後、今年5月の4年生の最後の標準テストでは、英語の成績は「合格」である「progressive」の範囲の真ん中あたりに上がり、さらに「読む」能力のほうだけを見ると、3つすべての分野で一番上「advanced」範囲にはいっている。「書く」能力がまだ標準以下なので、全体としては「progressive」なのだが、特に「読解」(読んだ内容を理解する)ではほぼ満点、ということで、私も結果を見て驚いてしまった。

ビジョン・セラピー経験談(上) - Tech Mom from Silicon Valley

ビジョン・セラピー経験談(下) - Tech Mom from Silicon Valley

過去のエントリーにも書いているが、アメリカでもまだビジョン・セラピーは、ADDやディスレクシアなどと比べて、あまり広く知られておらず、小児科や学校の先生も知らないことが多い。日本ではもっと知られていないのではないかと思う。もし、上記のような症状をお持ちの親御さんがおられたら、視覚を調べてみることをお勧めしたい。視覚問題なら、セラピーで治るのである。

メイミーメイミー 2007/12/29 13:59 はじめまして。Napaのレストランを探していたら、偶然このページに行きつきました。うちの息子(20歳)はアスペルガーで今SFOの近くに住んでいますが、6歳の頃オーストラリアに住んでいて、このような視覚の問題、聴覚の問題がありました。ゴミ収集車の音、洗濯機の音が特に苦手でした(自閉の子はこの傾向が強い)目のほうも字が追えなくて、それなりにセラピーをしました(かなりマイルドだったのでしょう、今は問題ないように思います)小学校低学年でセラピーやら勉強のキャッチアップで友達と遊ぶ時間が少なかったことが今となっては悔やまれます。彼の一番の問題は人とのコミュニケーションなので。6年生の時にアメリカに来て一応スペシャルエドのサービスを受けていますが、スピーチセラピーくらいしか学校ではオファーされませんでした。今はどうにか大学に行っています(一応障害者の扱いでテストの時間の延長や特別のカウンセラーはついています)。他の子よりいろいろな意味で3年は遅いですが、彼なりのスピードで成長はしています。日本語の勉強の事でつい怒ってしまう気持ちはとてもよく分かりますが、なにに優先順位を置くか、それ次第だと思います。その子の障害の重さによりますが、友だちのところでは両親が日本人にもかかわらず、家で英語で通している人もいます。PHPはご存知ですか?今はご無沙汰していますが、最初の頃はずいぶん助けてもらいました。