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2011-05-11 ビンラディンと「アラブの春」と日本赤軍の末路

[][] ビンラディンと「アラブの春」と日本赤軍の末路 13:40

今日の日経ビジネスオンラインのこのコラムは、私が想像していたとおりのことを専門家が事実を示して説明してくれていて、面白かった。

ビンラディンは“タレント政治家”だった:日経ビジネスオンライン

ここ一連、エジプト・チュニジア・リビアなど北アフリカの民主化運動のことを、「アラブの春」というのだ、と友人に教えてもらった。「プラハの春」からきているのだろうが、なかなか風情のある言葉だ。

そういえば、これらの国で「反米」というスローガンは出てこない。ビンラディン殺害に関しては、アメリカでももうそろそろ、あまりニュースにも登場しなくなった。「報復するぞ」という声明が出たらしく、相変わらず飛行機周りなどは警戒が続いているし、オバマの支持率は絶賛急上昇中だが、まぁそれだけの話だ。

一方で、アメリカの報道では「イスラム圏の人たちのビンラディンや反米テロに対する支持は、もはや大幅低下している」ということが言われている。調査したのはアメリカの会社で、どこまで本当かはわからないといえばそのとおりだが、ではビンラディン殺害に抗議する反米デモが起きているかというと、そうでもないようだ。

上記記事にあるように、要するにビンラディンはもう人気がなくなってしまい、「反米」もすでに流行遅れになってしまっているということなのだろう。アラブの若者にしてみれば、911であれだけアメリカを派手にやっつけたのに、その後10年たっても自分たちには何のいいこともない、反米と言ってるのに他のところばかりで爆破事件を起こし、それで死ぬのはムスリムばかり、先進国に住むアラブ系の人々は露骨に差別されて不便この上ない、ということで、いい加減イヤになっていても不思議はない。

昨日も、サンフランシスコ空港に着陸しようとした飛行機で、「アッラーは偉大なり」と叫びながらコックピットを開けろと騒いだアラブ系の男が逮捕された。武器を持っていたふうでもなく、共犯者がいたようでもなく、一体何をしたかったのか理解不能。ただひたすら、メーワクなだけだ。

「報復テロがもっとひどくなったらどうするんだ」という声も少々聞こえるし、テロリストの組織は今でもあるのだが、彼らに対するイスラム圏大衆の支持基盤はなくなってしまっている、と考えてもよさそうだ。

思えば、70年代は国際テロリストといえば、イスラム原理主義ではなく、日本人だった。その日本赤軍は、どんどん先鋭化していくうちに大衆の支持を失い、結局リンチ事件とかあさま山荘事件とかを起こして自滅していった。

アメリカの有名な政治風刺コメディアン、スティーブン・コルベアが、こんなことを言っていた。「ブッシュは、テロリストを殺すことでアラブを民主化しようとしたが、実は彼は順番を間違った。アラブが民主化したら、テロリストを殺すことができたのだ。」

「アラブの春」が、テロリストの自滅をもたらしてくれればいいと思う。

hshowhshow 2011/05/11 20:17 日本赤軍と連合赤軍は全然別の組織です。言わんとしていることはわかるけど。

2011-02-01 邦人保護と「パラダイス鎖国」の関係

[][][] 邦人保護と「パラダイス鎖国」の関係 10:25

これは、ずっと疑問に感じているが、私の中では結論が出ていないことをつぶやいているだけの話。

今朝テレビのニュースでは、エジプトから脱出してアメリカに戻ってきた人を映していた。日本人も、例によって政府の出足が遅いとか批判されながらも、どうやら無事に欧州に向けて出国されているようで、よかったと思う。(ただ、この「チャーター機」がどこの飛行機会社かは、いくつか記事をググっただけでは出てこない。たぶん、日本の航空会社ではないのだろう。また批判されるから、ということでわざと書いてないのだろうか??)

以前、イランのときだったか湾岸戦争のときだったか、邦人保護のためにJALを飛ばそうとしたら(組合に?)拒否され、トルコに助けてもらった、ということがあったが、その時「これは一体、どう考えればいんだろうか??」と思った。

私の住むアメリカは日本の同盟国だし、クーデターや革命が起こる心配もないからいいのだが、世界の中ではそういう危険のある国のほうが多いぐらいだ。80年代、日本企業がアメリカばかりを相手にガンガン輸出していた頃でも、貿易摩擦はあったが、少なくとも身の危険を感じることはなかった。しかし、そのころ私の勤務先であったホンダでは、世界の隅々まで、途上国相手にも手広く商売をやっていて、従業員が種々の危険に巻き込まれることはあった。ホンダはすでに大企業だったので、自前でかなりの問題を解決することはできたのだが、そういう準備のない中小企業や個人だったら、そうはいかなかっただろう。そのために、商社があったともいえるわけだが。

時は移り、もはやアメリカだけが世界の中心ではなくなった。中国や新興国に商売のチャンスがたくさんあるわけだが、そういう国に出かけていって、日本人が危ない目にあったとき、セオリーでいえば、今でも自衛隊は助けに来てくれないはずだが、それで私の認識はあっているだろうか?私の感覚でいえば、これまでエジプトは比較的安定していて欧米寄りで、都市化も技術もそこそこ進んでいて、人口も(8000万ぐらいで成長中)大きく、BRICSとそれほど違わない国、というイメージを持っていたのだが、そういう国でさえ、今の状況なわけだ。中国はご存知のとおりで反日デモがよくあるし、リスクは常にある。

その昔、仕事で時々ブラジルに行っていた頃、リオデジャネイロの港に自衛隊の練習船が寄港したことがあった。そのとき、港に日系ブラジル人がたくさん集まって日章旗を振って大歓迎していたのを見て驚いた。もしブラジルで暴動が起こってこの方々が危なくなっても、自衛隊は助けてくれないのに、この片思いは何なんだ??

私も「パラダイス鎖国」などと言って「グローバル化」を提唱する一人ではあるが、この本でも書いたように、「日本人は日本にいるのが一番安全」という事実は厳然としてある。アメリカ人なら、世界のどこにいてもアメリカ軍が助けにくるが、日本軍は助けに来ない。民間企業であるJALなどにやらせようというのはしょせん無理だ。一方、華僑などは、昔からそんな枠組みのはるか外にいてオウンリスクで世界中に散っているが、そのかわりに自分たち同士で身を守るノウハウがいろいろと蓄積されている。

日本政府も近頃は「グローバル化推奨」の方向になっているようだが、それをバックアップするための邦人保護対策がないのでは、「無責任」なんじゃないだろうか?それが本来の国の政府としての役割の一つじゃないのだろうか?トルコに助けてもらった頃からさんざんいろいろ言われながら、それが未だにできない(自衛隊の海外派遣への抵抗が大きい)というのは、結局日本国民はそれを望んでいないということなのだろうか?「安心」なアメリカが沈み、「リスクの大きい」新興国が浮上してきたここ10−20年ほどの間、日本が世界の中で相対的地位が沈んだのも、遠因の一つとしてこういう話はあったのではないだろうか?「パラダイス鎖国」が「清潔」とか「メシが美味い」とか、そういうレベルならばまだかわいいのだが、「身の安全」という話が実は要因として結構大きいのだとしたら?

それとも、ソマリア沖で日本の自衛隊が日本船を護衛するようなことはできるようになっていて、それを批判する声はあまり聞いたことがないので、事態は少しずつでも先に進んでいて、それほど悲観する必要はないのだろうか?

「海外在留邦人」の一人として、私なら「グローバル化推進+邦人保護政策推進」の積極策でやってほしいところだが、どこの党もそんな政策について話しているのは聞いたことがない。在留邦人など人数が少ないから票にはならないのだが、ボディーブローで日本の経済にそれが効いているかも、と思うが、さて、次の選挙の海外投票ではどうしたものだろうか・・・?それともそんな迂遠なことは諦めて、日本の棄民傾向を仕方ないと受け入れ、産業界が自前で「華僑的」にやっていくしかないのだろうか?

うーん、よくわからない・・・

とりあえずとりあえず 2011/02/01 13:03 日本は既得権益保護の国なので脳硬直した政府に新しい事を期待しても無理なんです。 既得権益層が死に絶えるのを待つしかないかと。

通りすがり通りすがり 2011/02/01 13:38 現行法では自衛隊機や自衛隊員を他国に送り込んで邦人を保護しようとすると、自衛の範疇を超えてしまい相手国に脅威をあたえることになるから民間機での救出しかできないと聞いたことがあります。PKOや海賊からの護衛活動のようにそのつど都合の良い法改正がひつようになるかと。

名無し名無し 2011/02/01 21:40 輸送の安全が確保される場合に限り自衛隊による邦人救出は可能です(自衛隊法84条)。そうでない場合は安全を自力で確保しなければなりませんが、多くの場合それには武力行使が必要となります(安全を脅かす要素を除去するのだから)。しかし、自衛隊は軍隊ではないので、武力行使の根拠となる法律がなければ出来ません。たとえば、周辺事態法が適応される日本の周辺地域と、日本から遠く離れた地域では自衛隊に「出来ること」が異なります。貴方がどのような事態を想定されているのか分かりませんが、当該地域が戦闘地域か否か、日本の周辺地域か否かという条件なしで、またケースバイケースで一々立法することなしに邦人救出できるようにしてくれということなら、まずは自衛隊を軍隊にすること(憲法改正)必要です。

doku_fdoku_f 2011/02/02 16:54 ちょっと本文からはそれますが参考までに、エジプトから脱出した邦人の方からの聴き取りレポートをお知らせしておきます。
http://togetter.com/li/96140

KK 2011/02/03 17:51 自衛隊自体は準備している。しかし、イスラエルの様に相手国の了解も得ずに強行着陸とはいかないしね。

自衛隊:国外の災害想定、邦人の救出訓練−−愛知・小牧基地
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110119dde041040056000c.html

まさまさ 2011/02/04 11:28 グローバル化して行く上で、身が危険に晒されるのはしょうがないかな?と思う。アメリカは国がどこへでも来てくれそうな気がするが、はたして、他の国もそうだろうか?アメリカだけのような気がします。やはりオウンリスクで出ていくしかないと思う。

KK 2011/02/04 14:04 「軍用機」による邦人救出はそう簡単なことではない 旅するデジカメ・札幌発<見る・残す・伝える>/ウェブリブログ
http://tabidigi.at.webry.info/201102/article_2.html
<イランイラク戦争>テヘラン残留邦人脱出はどう行われたのか? 旅するデジカメ・札幌発<見る・残す・伝える>/ウェブリブログ
http://tabidigi.at.webry.info/201102/article_3.html

ほんこんほんこん 2011/02/04 15:37 いいかげん”パラダイス鎖国”っていう一ミリも流行らなかったタームをしつこく使い続けるのやめません?

KK 2011/02/06 20:14 エジプト騒乱に見る各国と航空会社の自国民保護態勢比較:イザ!
http://hillaryland.iza.ne.jp/blog/entry/2137973/

>ちなみに政府専用機を飛ばした国はないよ。国によっては、政府専用機を飛ばすことによって、機体が標的にされてしまう可能性が増えるからね。

2010-11-21 イギリスは「グレースフルなる衰退」をしているのか

[][] イギリスは「グレースフルなる衰退」をしているのか 10:54

池田信夫先生の記事を読み、この本を読んでみた。たいへん面白かった。

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

私はたまたまこれまで縁がなく、英国を初めて訪れたのは今年の夏だった。世界を歩きまわるのが趣味だった若い頃から一転、子供ができてからは身の自由がなくなったので、全く初めての国に行くというワクワク体験は15年ぶりぐらい。それも仕事でもなく、家族の面倒を見るdutyからも解放され、一人きりで、朝起きて今日は何をするか好きなように決められ、さらに気のおけない古い友人たちと会うこともできたという、人生最高の休暇だった。

まぁ、そういった非日常高揚感の中で見たので、初めて見た英国の風景は、もしかしたら事実よりも美しく歪曲されて私の目に映っていたのかもしれない。お気楽ミーハー観光客をやっていたので、キレイなところしか見ていないのも事実。それでも、町中がディズニーランドかと思うほど、隅々まで古い時代のままのケンブリッジ、郊外通勤列車から見る美しい田園、その昔ビートルズの映画で見たままのロンドン市街など、郊外も街中も、お伽話の絵本のような風景が続く。例えばニューヨークやサンフランシスコなど、アメリカの大都市なら、薄汚い地域がどうやっても避けられないほど膨大に広がっているが、たまたま私の動線の中にはそれが見えなかった(もちろん、ロンドンにもあるのだが)。あるいは日本の古都、京都や鎌倉だったら、お寺や史跡周辺以外の部分は、普通の都市と同様、空調や防災の機能を備えた普通のビルが立ち並んでいるが、ロンドンの中心街はそれすらない。それでも金融・商業・ファッション・文化施設などが集中した大都市で、便利で生活水準は高い。

イギリスはどうして、こんなにキレイなのか。一説には、イタリアと同じで、老大国となって「観光立国」が今や至上命令で、ロンドン・オリンピックに向けて大整備やってるから、という話も聞かれた。それにしても、地価の高いこの大都市でこんなに効率の悪い建物や仕組みを残したままで、どうやってこれが成立しているのか、本当に不思議だった。何百年にもわたって蓄積した富がインフラとして固定化された結果だろうと漠然と思うけれど、現在では(少なくとも相対的には)「衰退」している国で、どうやってそれをうまくやっているのか。

通信で「graceful degradation」という用語がある。日本語でなんというのか知らないが、無線において、回線速度が遅い環境の場合に、機器側が自動的に対応して処理スピードを合わせて落としていくことを指す。その用語を使うと、日本が衰退するのは仕方ないが、どうせやるなら「グレースフル」にやりたいものだなぁ、と常々思っていたが、イギリスはうまいこと「グレースフルなる衰退」をできているんじゃないか、と思ったわけだ。

それをどうやって戦略的にできるのか、という回答がこの本で得られるかと思って読んだのだが、残念ながらその部分はあまり言及されていない。「衰退論」の部分は、「果たしてイギリスは衰退しているのか」という点だけに絞られていた。本自体は、近世から産業革命に至るイギリスで、「消費」や「生活」面から見てイギリスがなぜ発展したのか、という点については非常に面白く、例えば「産業革命の初期、大量生産された製品はおもに生活用品で、それを買ったのは主婦であって、彼女らはどこでをれを買うお金を得て来たか」といった、社会構造や家族といった観点からの分析や、「中核と周辺」「世界構造」といった分析モデルもわかりやすい。いろいろと参考にしたい部分が多いが、「グレースフルなる衰退」のモデルについては、継続検討ということになりそうだ。

石川石川 2010/11/21 16:18 あのダイアナさえも、大貴族であって、で、皇室を、日英で比較すると、経済的には大差があったりするんですよ。ま、どこの国も、自国を美しくプロパガンダしていて、やたら騙されているのは日本人みたいですよ。だから、グローバルで勝てないわけです。外国勢力がしていることを日本がするとしたら、日本の技術を使えば、間違いなく庶民は金持ちになれるってネットでプロパガンダすることでしょうかね。絶対にしそうもないけど。あと、歴史の中で培われた経済力というのは、歴史が変わらない限り、移譲されることはないんです。イギリスは、国際社会の中では歴史的支配権はほぼ失っってしまったけど、自国の歴史は、何一つ変わっていない国です。フランス革命を見て、学習してですね、フランスのようにならないように先に手をうったわけですし。笑。で、歴史を変える力をもっているのは、一般市民です。権力者ではありません。日本でいえば、官僚でもなく、政治家でもなく、大企業の経営者たちでもないんです。彼等がいくら努力勉励しても無駄です。笑

イギリス在住イギリス在住 2010/11/21 18:16 >イギリスはどうして、こんなにキレイなのか。

オリンピック開催地とは反対側の西ロンドンに住んで3年目ですが、美しい街並みと自然を維持する為に税金が使われている事に幸せを感じます。

アメリカも東海岸のニューイングランド地方は美しいですよね。

歴史好き歴史好き 2010/11/21 19:15 現代の衰退するイギリスについては私もあまり著作を見かけたことがありませんが、18世紀にアメリカ独立による北アメリカ喪失以後のイギリスの変貌についてはいくらか見かけたことがあります。
そちらの方を参照してみると何か示唆が得られるかもしれません。

イギリス在住イギリス在住 2010/11/21 19:42 >現代の衰退するイギリス

あれ・・・、進行形なんですかね?(笑)

JJ 2010/11/22 02:46 >もしかしたら事実よりも美しく歪曲されて私の目に映っていたのかもしれない。

そうだと思いますよ(笑)。海外への出国や家族からの開放感があったのでしょう。欲求不満の主婦としてスケベのことも期待していたのでは。

イギリス在住イギリス在住 2010/11/23 11:01 イギリスは歴史のある国だと感じていますが、衰退していると感じたことがありませんでした。どちらかと言えば活気があると思ってました、、、。でも、私の印象を一言で言うとしたら、良く言えば柔軟な国、悪く言えばいい加減な国です。

nfnf 2010/11/24 08:07 イギリスはこれまでの移民の積極的な受け入れの効果もあって現在人口が増加しているだけでなく、今後の増加予想もあって、21世紀半ばにはドイツを追い抜くのではないかとの予測もありますし、クレジット・クランチ前の経済発展はなかなかのものだった上、クランチ後も不動産の低迷がいち早く底を打ち、現在はすでに3%のインフレ率になっているなど、イギリスにいてあまり「衰退中」と感じることはありません。むしろ、感覚的には19世紀の大繁栄後、20世紀半ばまでのどん底を経て現在復活中、といった感じなのではないでしょうか。
ちなみに、イギリスの景観の美しさは、もちろんかつての富の蓄積による要素は大きいと思いますが、それだけでなく、それを守ろうとする国民のコンセンサスに基づいて行われている各種規制の厳しさや、それによる生活の不便さに対して驚異的にまで我慢強い国民性に基づくもので、日本人にはちょっと真似のできないものではないかと考えています。アメリカ型消費文明・効率的サービスの快適さに慣れきった日本人には、イギリスは美しくはあっても決して「住みやすい」とは言えない国です。

2010-07-27 ある潮目。「中国疲れ」と日本の立場。

[][][] ある潮目。「中国疲れ」と日本の立場。 23:44

軍事や政治の面で、あるいは他の産業やアメリカ全体でもそうなのかどうかはわからない。でも、このところ、ITやネットの世界では、日本をめぐる世界の潮目が少し変わってきているような気がしている。ま、あくまでもシリコンバレーから見た話、でしかないけれど。

相変わらず、「ジャパン・パ(pa)ッシング」ではある。日本が「牙城」と思っていたゲーム業界ですら、日本の存在感の低下が著しいそうだ。いろいろな「中の人」から、その話を聞いている。だいぶ前(2006年)にアニメとマンガの話を書いたときだったか、「ゲームは違う」というコメントをいただいたと記憶しているが、ついにゲームまで国内向け優先のパラダイス鎖国化しているという話をあちこちで聞く。子供・ファミリー向けにはWiiとDSが相変わらず強いが、全体としてはXboxとiPhoneとオンライン・ゲームとソーシャル・ゲームが勢力を伸ばしつつある中で、日本のゲーム・ソフトは相対的に地位が低下しつつあるように見える。先日、日本の若い方々が来て、こちらのティーンが何のゲームで遊んでいるかを聞いて、あまりに日本と違うので呆然としていた。

日本は、うまいこと製造業ベースの経済を作り上げ、製造業の雇用効果が大きいおかげで雇用が安定し、国内市場が大きいおかげで、部分的にはある程度の参入障壁を作って国内からの雇用流出をある程度回避して(完全ではないがアメリカほどではない)、パラダイス鎖国化することでうまく回ってきた。その昔の「輸出は悪」時代の雰囲気を作ることで、アメリカもそれに手を貸してくれた。そういう時代が終わりつつあるんだろう。

それは変わらないのだけど、ちょっとだけ変わっているのは、だんだんみんな「中国疲れ」してきているのを堂々と発言するようになってきて、相対的にアジアのパートナーとして日本がちょっとだけ見直されているような気がする、という点。

「中国疲れ」現象については、衆目の一致するところだろう。当地ではグーグル対中国の対決あたりから、そんな雰囲気が顕著になってきたと思う。もちろん、今でも中国は「潜在大市場」だし、重要な製造基地だし、無視はできないのだが、かつての「日米貿易摩擦」と同じ現象に加え、特に「IP(知的財産権)」が重要な上位レイヤーのIT分野では、中国と付き合うためのコスト(IPや情報を盗まれたり開示を強要されたりするリスク、中立的な裁判制度の不在、政府の恣意的な影響力など)が大きすぎる、と考える向きも多い。

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その点、中国と比べれば、日本は悪く言えば「安全パイ、言う事きいてくれる相手」、よく言えば「契約や法治の概念が整った先進国で話が通じる相手」だろう。「日米」の比較に中国という第三の軸を導入すると、日米はむしろ似ている、という話は拙著「パラダイス鎖国」にも書いたけれど、アメリカでも同じことを考える人がいるようだ。

たとえば、日本でも話題になった、Salesforce.comのMark BenioffがTechCrunchに寄稿した一文。ここではベニオフは中国については触れていないが、やたら日本を持ち上げている。なぜ、ベニオフがこれを書いたのか、なぜ首相に会いに行ったかなどについて私は知らない。しかし、深読みしようと思えばできる。

Why Japan Matters: iPad Mania, Cloud Computing, And Social Intelligence | TechCrunch

なぜ日本市場が重要か: iPad騒動, クラウドコンピューティング, そしてソーシャルインテリジェンス | TechCrunch Japan

世界の中で一時より存在感の低下したアメリカが、リスクの多い中国とつきあう上で、味方をさがすとしたら、おそらく一番適任なのが日本なのでは・・・あるいは、実は日本のほうが、IP問題の懸念が少なく、リッチなユーザーが多い、より良い市場なのでは・・・(個別の企業に関して、他にも私がこのように感じた例がいくつかあるけれど、申し訳ないがここには書けない。)

モバイルの「ハードウェア」の世界では、欧州が新興国を従えた「旧植民地」構造で、細分化したままの米国を数で圧倒して勝ちを収めた。(このあたりの事情は、WirelessWireの連載コラムを参照)モトローラのインフラ部門をノキア・シーメンスが買収することになり、かつてのノーテルのインフラ部門はエリクソンが買収済み、ルーセントはアルカテルと合併済みで、通信の屋台骨である携帯通信のインフラ・メーカーは、ついに北米から消滅した。(チップは別の話として・・)

にもかかわらず、モバイルの上位レイヤーのパワーは、シリコンバレーに集中しつつある

IPとクラウドを軸とした、ネットとモバイルの「上位レイヤー」における世界のパワーゲームの中で、日本の企業はどのような立ち位置を取るべきか。「敵失に乗じるだけか」「アメリカの思い通りになるのはイヤよ」などと言っている場合ではなく、製造業にいつまでもこだわっている場合でもなく、この潮目をどううまく利用して、(少なくとも)IT産業においてどのような次世代に向けた戦略をとるのか、考えないといけないように思っている。

石川石川 2010/07/28 01:49 日本にしかないもの、タバコとか酒とか、そういうものを買いたい外国人は増えそうだよ。それは、希少価値があるから。決済が簡単になって、外国への物流ができれば、なんでも売れると思う。本人が直接来て買う観光かねても多くなるだろうな。ただし、日本にしかないもの。日本の歴史を感じるもの。日本語も人気がでてくるだろうし。ガラパゴスだから、珍しいものがいっぱいっていうのが、世界の関心を集めるでしょうね。なにも外国のマネをする必要はないわけです。たぶん、海外に住んでいる日本人は、日本に海外の常識を日本に知らせるより、海外にいる現地人のお金持ちに、日本語を教えたり、日本がどのくらいユニークな存在であるかをアピールしつつお手伝いした方が成功するかもしれませんよ。笑

WEBRONZA編集部WEBRONZA編集部 2010/07/28 02:07 今回『ある潮目。「中国疲れ」と日本の立場。』のブログをWEBRONZAトップページにリンクさせていただきました。不都合の場合、WEBRONZA@asahi.comご連絡ください。宜しくお願い致します。

                       WEBRONZA編集部

eakaseakas 2010/07/28 02:50 世界のゲーム市場はソフトとハードに分けて見る必要がありますが、
ソフトに関しては10年前は7:3で日本のソフトが世界市場を席巻していました。

当時、ちょうど世界の映画産業の経済規模にゲーム産業が追いついて来たと言われていた時期でもあり、
すかさず当時の上司に「日本市場は、もうすぐ飽和するので世界市場をメインターゲットにしましょう」、
という旨を入社2年目にして生意気に発言していましたが、周囲の誰の琴線にも響きませんでした。

そして10年後、世界のゲームソフト市場のシェアは逆転し、欧米のソフトが7:3で世界市場を魅了しています。
ま、世界のユーザーに対して関心が無い日本人が招いた当然の結果ですけどね。

>こちらのティーンが何のゲームで遊んでいるかを聞いて、あまりに日本と違うので呆然としていた。

これに関しては鈍感な日本の業界人ですら数年前から認識していた事実なんですけどね。
世界にアピールする為の唯一の道筋は自らが世界に関心を持つ、以外に無いんですよね。
でも大半の日本人は本気で純粋に日本人なんですよ。
世界で勝負したいと思っている日本人だけを集めて日本で会社を作って活動したら面白いかも知れませんね。
その点では楽天の三木谷さんの取り組みは、まさに、その号令のような感じですが。

ちなみにハードとソフトの会社別での世界シェアに関しては、ご存知のように任天堂が圧倒しています。
社員1人当たりの純利益が1億円の会社です(^^;
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/100129/02.html

KK 2010/07/29 07:27 Xboxって、売れているのアメリカだけでは?
ヨーロッパでも、PS3に勝っているのはイギリスだけで,後は後塵を拝していたような。。

Speechless in Silicon ValleySpeechless in Silicon Valley 2010/07/29 10:02 海部氏のご意見に全く賛成です。「パラダイス鎖国」の見事なフレーズのインベンションのあと更なる「中国疲れ」のインベンション。全く見事だとしか申しあげられません。
ちなみに私はアメリカ人の男友達が多いのですが、皆さん最近は中国の女性とお付き合いしている方が多いのです。彼らが言うことには「中国の女性は大変魅力的だけど、いまいち信用ができない。へたに結婚してしまうと、あとで慰謝料をがっぽり要求されて離婚されそう。」とのことです。ちなみに日本の女性は魅力的かどうかはさておいて、とことん信用できるというイメージがあるそうです。ここで『女性』を「ビジネスの相手国」に置き換えると何か意味深になってきます。

2010-03-05 ハイチに関する記事掲載のお知らせ

[][] ハイチに関する記事掲載のお知らせ 09:56

先日来、しつこくブログに書いておりましたハイチの地震による通信被災・回復状況と、通信周辺情報をまとめたものが、KDDI総研R&A ウェブにて公開されました。ちょうどチリ地震の直後でもあり、関係者の皆様はチリと対比して読んでいただけるといいかと思います。日本からの出動した通信支援部隊の件も簡単に記載しました。

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