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Tech Mom from Silicon Valley このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-07-05 世界は何色に見えているのだろう

[][] 世界は何色に見えているのだろう 14:29

こんなはてブ人気エントリーを見つけて、昔のことを思い出した。

目の見えない人に「青」という色を説明しなさい【働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwww】

30年以上も昔の話になるが、私が初めて交換留学生としてアメリカに来たときのこと。田舎町だったのでアジア人は全くおらず、基本的には白人ばかり。ホストファミリーのお父さんはイタリア系だったので茶色の目だったが、お母さんはアイルランド系で、私と一番歳の近かったホストシスターも、緑と灰色が混ざった「アイリッシュの目」を受け継いでいた。

彼女の目をある日つくづく眺めながら、「この目で見たら、世界はどんな色に見えるんだろうか?」「私が緑色のサングラスをかけているような色に見えるんだろうか?」と不思議に思った記憶がある。

でも、考えてみれば、彼女の立場で考えれば、彼女に見えている世界が普通なのであって、私の目を見たら「黒いサングラスをかけているような色に見えるのかな?」と不思議に思うだろう。

目の色のついている部分はレンズではないので、関係ないと言えばそれまでだ。しかし、それだけでコトはすまない。

例えば、オレンジ色のレンズのスキー・ゴーグルをした瞬間は、雪の色はオレンジに見える。でも、しばらくすると、いつの間にか雪はやっぱり白く見えるようになる。あちこち、ちょっといつもと違う色に見えるのは確かだけど、かけた瞬間の「すべてオレンジ」の世界とは違う色になっている。目にはいった光の色は、そのまま見ているようでいて、実は脳で修正されている。

それに、「色」というのはあくまで「光」であって、「形」のような確実なものでなく、ひどく曖昧なものだ。日本ではいい色だと思っていつも着ていたダークグリーンのスーツを海外出張に持って行き、乾燥して光の強いカリフォルニアやベネズエラで着てみたら、えらくくすんで汚い色に見えた。それで、その地で合うようなはっきりした色の服を買ったら、今度は日本では派手すぎて着る気にならなかった。外界の光の具合によって、色は異なって見える。

だから例えば、私が「この青、きれいな色ね」といって指差した絵や花の色は、「そうねぇ」といって答える隣の友人が見ている色とは実は違うのかもしれない。「青」という名前は記号であって、友人が「青」という記号に照合している脳の中の色データベースは、私の脳のデータより薄いのか濃いのか緑に近いのか赤に近いのか、その人の脳の中をのぞけない限り、絶対にわからない。ましてや、違う場所や違う国や違う目を持った人たちは、同じ「青」といっても、違う色を実は思っているに違いない。

そう考えれば、色の組み合わせの趣味が人によって違うのもよくわかる。自分の趣味が理解されないと怒っても仕方ないというのがよくわかる。

これは色や視覚だけにとどまらない。味覚や嗅覚も同じ。人によって感覚も違うし、同じ人でも外界の環境によっても違うように感じられる。カリフォルニア産の赤ワインは、カリフォルニアの乾燥した気候で飲めばおいしいけれど、梅雨時の日本に持って行ったら匂いも味もどろんとした感じになってしまって、いまいち楽しめない。日本では香りで食べる松茸は、メキシコ産がこちらでも入手できるけれど、乾燥した当地では香りがそれほど強く感じられず、ただのキノコになってしまって、ありがたみが減ってしまう。

ホンダに勤めていた頃の話。これも大昔の話だから時効だろう。アメリカのディーラーから、「xxx(どのモデルだったか忘れた)の新車でいやな匂いがする」とクレームがあり、日本の工場だったか研究所だったかで原因究明しようとしたのだが、何をどうやってもいやな匂いなどしない。それで「別に、問題はないようだが?」と返答すると、アメリカ人の営業担当から「おまえらに、アメリカ人がどんな匂いが嫌いか、わからんだろーが!」と一喝された、というエピソードがあったのも、ついでに思い出した。

他人の感じ方は自分とは違う、というのは当たり前の話なのだが、これほどまでに根本的な感覚の部分から、人というのはそれぞれ違うものだ、ということを、つい忘れがちになる。特に、同じ日本人同士だと、つい同じように感じるはずだと思ってしまう。でも、アメリカ人と日本人ほどの違いでなくても、日本人同士でも他人ならば、個体が異なり環境が異なるのだから、感覚は少しずつ違っていると思ったほうが自然だ。「なぜ、こんな簡単なことがわからないのか!」と怒りそうになってしまったら、「この人の世界は、何色に見えているのだろうか」とちょっと考えてみることにしている。

NaokiChibaNaokiChiba 2009/07/06 00:02 とっても面白い話ですね。特に、同じものでも、場所が違えば、感じ方が違う部分。

テニスが好きで、いつかウィンブルドン観戦に行きたいと思っているが、その名物の苺を日本にて、クーラーの効いたウェッジウッドティールームで食べたことがある。全然、美味しいと思わなかった。甲子園の高校野球観戦の名物「かち割り氷」も同じだろう。やはり、その地で味あわないと良さが分からない。

ビールの冷たさの話を聞いたことがある。イギリスでは、昔、冷やして飲む習慣がなかったそうだ。むしろ日本でそういう習慣が始まったと聞いた。日本の夏こそ、冷えたビールは美味しいのかも知れない。

今年の夏は、流しそうめんを始め、日本でこそありがたみを感じられる食べ物を堪能したいと思っている。

とおりすがりとおりすがり 2009/07/07 04:49 35mm一眼レフの時代だと、「ホワイトバランス」なんてボタンが付いている機種があったり、ネガの方がカラーリバーサルより調整できる範囲が広いとかで、そういうのが実感できたんですけどね。

石川石川 2009/07/18 15:58 http://ja.wikipedia.org/wiki/色彩論

こちらを参照してみてください。ゲーテの理論です。

石川石川 2009/07/18 16:16 ちなみに、日本語は「色」です。英語は「形」です。英語感覚をもっている人は、日本語で「形」が描けると錯覚します。日本語しか使えない人は、その錯覚の「形」も、色として捉えます。大きな誤解のもとです。伝わる人には伝わるなんて、まずないでしょうね。形として理解できないわけですから。三味線でバッハを演奏するようなものです。あと、日本語、あるいは日本文化の「色」は、国際的には評価が高い。ところが、日本の「色」に対する理解が浅くなってしまうのは残念なことです。ま、「色」と「形」の差異を埋めるのが、色即是空の「空」なんでしょうね。

natorcanatorca 2009/08/03 01:07 ホンダでの、匂いの話の落ちを知りたいです〜!

あんどうあんどう 2009/08/12 17:41 色の感じ方に関しては人種よりも男女差のほうが激しいみたいですよ。
http://www5.plala.or.jp/nijiya231-9288/HATAKE/seisa/hatake_0830_sikikaku.htm

2008-09-30 ワーキングマザーの孤独

[] ワーキングマザーの孤独 20:50

今日のジャパン・ソサエティのパネル・ディスカッションは、とても楽しかった。モデレーターはコンサルタント(Gallasus)の橋本ちかさん、パネルは武田薬品サンフランシスコ社長のメアリー・ハーク・フレンショウさんと、グーグル社内弁護士しょうじ・あきさん(ごめーん、みんな漢字を知らないのだ・・・)と私の3人で、「Women in Workforce - lessons from Silicon Vally」というタイトルでしゃべった。(Japan Society Northern CaliforniaとJETROの共催。お招きいただき、ありがとうございました。)

それぞれに、日本とアメリカの間で働く場において、女性やワーキングマザーであることの苦労と、逆によいところや面白さ、どうやって問題を切り抜けているのか、など、共感できるところが多かったし、また質問も、これから就職しようという女性、奥さんが似たような苦労している男性、などなど、いろいろな立場からの質問があり、議論が盛り上がった。

その中で、特に私の印象に残ったやりとりがこれ。(抄訳)

メアリー「仕事以外での人間関係や仕事以外の活動をうまくキープできるようなバランスが欲しいものだ。多くの場合、男性はそれをキープして、例えば仕事を替わるときなどでも、その人脈を活用している。」

アキ「そうそう、私は、仕事と子育てという2つの柱だけで24時間いっぱいになってしまって、『自分』という3番目の柱まで時間がまわせない。どうか、若い方は、私のまねはしないでほしい。」

質問者(男性)「第3の柱を実現するためには、どうやっているのか?」

アキ「それがわかれば教えてほしい・・」

私「私も同感だけれど、一つささやかな解決策は、ブログを書くこと。絵を描くとか、なんとか、自分のやりたいことにまとまって時間を割くことはできないけれど、私は文章を書くことが気晴らしでもあるので、短い時間でブログを書き、自分を表現できるし、それを面白がってくれる人がいると、楽しみになる。ブログやその他のネットのツールを使えば、比較的短時間で自分なりの人脈をつくり、育てることもできる。」

アキ「そういえばそのとおり。自分もブログはやらないけれど、SNSで自分の友達とのつながりをキープできる。」

思わず出た答えだったのだけれど、、あとで思い返してみると、「はた!」と気づいた。「なんでお金にもならない(いや、少しはなってるけれど)ブログにこんなに一生懸命書くのか?」と周囲に不思議がられながらも、相変わらず一生懸命書いてるのは、確かに、クライアントに頼まれたことしか書けない報告書でなく、自分の書きたいことを書く、という「気晴らし」の意味もある。そしてそれだけでなく、ワーキングマザーの隠れた敵である「孤独」から逃れるささやかな手段なのだ、と気づいたのだ。

時間が最大の「希少資源」であるワーキングマザーにとって、一緒にお茶をすることで、ママ友をつくる時間はない。PTA活動などに参加して、友達を作ろうと努力したことが何度もあるが、いつもその後、強烈に忙しくなって結局途中でほっぽり出す羽目になった。仕事を通じた知り合いや友人はいるけれど、気の置けない友達を作ったり、その友達と遊びに行ったりする時間も気力もない。カリフォルニアに引っ越してきた当初は頑張ってやったけれど、人の出入りが激しく、親しくなった友人ほど、すぐにどこかに引越してしまう。ネットワーキングの集まりに出ようとすると、その夜は亭主が家にいるか、他の予定はないか、子供のお稽古事などとのコンフリクトはないか、その日の夕食と宿題をどうするか指示を出し・・・などといろいろ配慮がいるので、結局面倒になる。地理的に近くだろうが遠くだろうが、友達のことを気にかけて電話したりメールしたりする気力はなかなか出ない。だんだんと縁遠くなってしまう。

気がつくと、友達が近くに誰もいない。特に子供のいる女性は、自分に何かあったときに頼れる人をなるべくたくさんつくっておこうという本能があるせいか、友達が近くにいない孤独は、ひどく不安だ。

私にとっては、そんな不安を少しでも解消するのが、ブログやSNSなのかもしれないなー、と思った。ブログやSNSに何か書いておけば、誰かが私のことを知っておいてくれる。細いつながりかもしれないけれど、何もないよりずっといい。そういうことなんじゃないか、と思った。

eakaseakas 2008/10/01 05:17 男は仕事=自分と考えているかも。
何にせよあまり多くを課してストレスや疑問を感じるよりは、ぬるくゆるく楽しんだ者勝ちじゃないですかね。

佐川佐川 2008/10/01 22:03 「ブログやSNSに何か書いておけば、誰かが私のことを知っておいてくれる。」...私も全く同感です。

kuboyumikuboyumi 2008/10/02 23:28 とっても共感できました。私の場合は、24時間、目が離せない子供を授り、まるで子育てが、フルタイムジョブのようなもので、今日朝から、しゃべった言葉は、他人に迷惑をかける、話せない息子にかわっての謝罪。「すみません。うちの子、障害児で」と「だめでしょう?」しか、なかったな。と思った日もあります。我が家のように、ダンナ単身赴任の母子家庭だと、もう自分の時間は、皆無で孤独でした・・。

2008-05-13 「税金を上げろ」という住民運動

[][] 「税金を上げろ」という住民運動 10:03

学校のPTAから、今日も今日とて一斉メールが来ている。中味を亭主に説明した。

私「パーセルタックス(市に対して払う不動産税)を上げろ、という話で、タウンミーティングがあるんだって。」

亭主「え?誰が?シュワルツネッガーが上げろって言ってるの?」

私「いや、そうじゃなくて、これはウチの市の・・・」

亭主「市当局が言ってる?」

私「いや、そうじゃなくて・・・州の教育予算が足りなくて、毎年毎年大騒ぎで寄付金集めしているよね。でも、これはもう一過性のものじゃないから、パーセルタックスを上げて、継続的にお金が集るようにしよう、って、ウチの学校の親たちが運動を始めているんだよ。」

そう、我々日本人の感覚では、「税金とは、お上が下々から徴収するもの」であって、「住民が自ら、税金を上げてくれと運動する」という事態は想像しにくいのだ。論理を飲み込むのに、ちょっと時間がかかる。でも、アメリカではこういうこともある。わが市では、数年前にも同じような運動をやって、新しいパーセルタックス導入に成功している。

そもそも、学校の予算のうち、だいたい3分の2を州が、残りを市が負担する、というのがこれまでの通例だったようだが、ここ数年、州が赤字削減のために教育予算をカットするという話が毎年出て、そのたびにわが学区でも大スクランブルで、手紙キャンペーンで反対運動をしたり、足りない分を寄付で集めたりしている。毎年真っ先に、予算削減でカット対象になるのが、「学校の図書室」(ライブラリアン)、理科の専門の先生、音楽の先生、そしてリーディング・スペシャリスト(読むことが遅れている子供を特別にケアする先生)である。もう、ほとんど毎年恒例の話。

恥ずかしながら私は、なぜ毎年カリフォルニア州の予算がこんなに赤字になるのか、ちゃんと調べたことはない。バブル崩壊の頃は、企業の業績悪化で、法人税が減ってるんだろうと思っていたが、なぜ去年・今年もそうなのか、完全に納得はいっていない。学校でこういう問題のミーティングに行って質問しても、実はちゃんとした答えは返ってこない。だから、「州政府はこうすべきだ」というビッグ・ピクチャーは見えていない。PTAで運動をやっている人も、実はそうじゃないかと思う。「理科の先生がレイオフされるのをなんとか防がねばならない」という目の前の問題を解決しようというレベルで考えているだけだ。

寄付金ならば、自発的に寄付する人だけがやればいいので問題は少ないのだが、税金となると、子供のいない家庭は反対する。反対する人を説得できるように頑張ったり、賛成者をなるべくたくさん動員するなどの、ポリティカルな活動が必要になる。

反対者に対する論理として強力なのは、「資産価値の維持」。学校のレベルと、不動産価値のレベルは、直結している。現在、ここにも書いたように、わが学区は、最近評判がよくなったらしく、引っ越してくる人が増えている。つまり不動産価格が上がる。たとえ子供がいなくても、学校のレベルを維持することには、共通のインタレストがある、という論理だ。そして、学校のレベルが下がれば、不動産価値が下がり、低所得の住民が流入し、治安が悪くなる。この負のスパイラルにはいったら、持ち直すのは大変である。だから、協力してちょうだい・・

ある意味で、「お金持ち学区」の論理、でもあろうと思う。まぁしかし、苦労して家のローンを払っている身としては、学校のレベルが下がるのも、低所得住民が流入するのも、正直言って困る。社会全体の「全体最適」から考えたらいけないのかもしれないけれど、とにかく自分の身を守らなきゃいけない。

だから何、ということもないのだけれど、日本では「年貢」発言で大臣がつるし上げられているという話を読んだのと同時に、この話がメールボックスにはいっていたので、どっちもどっちの「なんだかなぁー」と思った次第。

石川進石川進 2008/05/13 19:18 日本の場合、税金ではない名目の事実上の税金が多いからでしょうね。給食費なんかは、所得に応じての税方式の方が良さそうなんですけど。海部さんはアニメ「巨人の星」で、飛馬が給食費で疑われた回はご存知ですか。こういうことがずっとこじれたまま、結局うまく運用できないのが日本の現実です。あとは、源泉徴収と自己申告が複雑な税体系、日本ならではというのもあるでしょう。

5番5番 2008/05/13 21:55 >お金持ち学区

アメリカでは不動産価格で学校教育が良くなるという話は本当なんですね。噂では聞いておりました。昔テレビ番組の中でお金持ち高校の卒業パーティは地元の一流ホテル大広間で、一方貧乏地区(マイノリティが多い)は学校の体育館でというのを見たことがあります。これを見ると、日本の総中流政策も悪くないのではないかと思ってしまいます。効率性は落ちますが。

日本では年貢だそうで、幹事長も言っております。まあ気持ちはわかります。みなさん税金にたかっている(税金で生活しているのは役人ではないの意)。その蛇口元が政治家ですから言っていいることは半分正しい訳です。「お前らが口を開けるから税金が上がるんじゃ。」

rainrain 2008/05/13 23:33 「お金が足りない」から即「寄付が必要」になるあたりがわかりやすいから一般市民も行動しやすいんでしょうね。
日本だと「お金が足りない」・・・「で、何が変わるの?」って感じで政治が日常に与える影響を実感しづらい気がします。

the48the48 2008/05/14 02:09 税金は無駄遣いしているという概念から排除しないと日本では難しいでしょうね。

KK 2008/05/14 07:50 軍関係の話しか知りませんが、アメリカの税金無駄遣いは豪快です。
新造されたばかりの戦闘機が廃棄されていたr。

ちゃこちゃこ 2008/05/16 10:37 ほんとにほんとに。ここアラメダ(やはりSF近郊)でも総額$4百万の学校予算カットが州政府から急に出たといって大騒ぎ。先日もシュワルツネガーが来るというので抗議デモに、3歳の娘と犬といっしょにいってきたよ。
カリフォルニアはこんなにお金持ちの州なのに毎年赤字でやんなりますね。一番の根本原因は30年前レーガン州知事の元でできたProposition 13だそうですが、これは一度不動産を買っちゃったらその買った価格で不動産税が決まって、その後ほとんど値上がりしない、というやつ。何10年も前に家買ったお年寄りには、税金の値上がりなくていいのだけど、インフレがあっても税収入は上がらないからその後財源は、ネットバブルでもない限り苦しいのだそうです。シュワルツネガーが州知事になった際、ウォーレン・バフェットに補佐役を打診したら、「まずProp13をなくさなければ、引き受けない」という返事だったそうで、でも毎年寄付・税金引き上げで大騒動してるときにこの根本を見直す、という論議をほとんど聞かないほうが、不思議です。

2008-04-15 レモネード・アントレプレナーシップ

[][] レモネード・アントレプレナーシップ 13:01

この間の日曜日、夏のように暑い日だった。私は体調が悪くてぶっ倒れていた。こういうときに限って、亭主は出張中。友達何人かに電話してみたけれど、ちょうど春休みの初めだったので皆不在。ほっといたら子供たちは一日中Xboxに張り付いている。かろうじて起き出して昼ごはんを食べさせながら、「午後はゲームじゃなくて、何か外でしようね」と話し合い、プールに行こうかということになった。でも、私の体が言うことをきかない。「じゃあ、出かける前に、ちょっと一休みするね」といってベッドに倒れこんだまま、動けなくなった。

ああ、起きなきゃ、プールに行かなきゃ・・ともうろうとした頭では思うのだけど、金縛りにあったように体は動かない。子供たちは車で運搬しないとどこへも行けないという、アメリカの親の一番つらい場面だ。

しばらくすると、キッチンでガタガタ音がしだした。兄(6年生)と弟(1年生)が、「そのまな板を出して」「イエッサー!」とかやっている声が聞こえる。ああ、レモネードを作り出したな。少し前に、お隣のおじさんが、庭になったレモンを大量にくれた。それで先日、二人にレモネードの作りかたを伝授した。グルメの兄は、「砂糖だけじゃなくて、蜂蜜を入れたらどうかな」など試しながら、なかなかおいしいレモネードができるようになっていた。

しばらくしたら、玄関のドアを開け閉めしたり、何かを運び出したりしている音がしてきた。兄がベッドルームに飛び込んできた。「レモネードを売ることにしたよ。」ああ、そうか。前回も、売りたがっていたけれど、あの日は寒くて断念した。今日は暑いから、ちょうどいい、と思ったんだな・・・「いいよ。」とだけ返事をした。

なんとか起き出して、状況を見ると、もうすでに必要なものは全部そろっている。プラスチックのジャグに氷を入れたレモネード、ジャグとセットの涼しげなプラスチックカップ(彼らは学校でしっかりエコ教育されているので、紙コップは使わない)、「Lemonade 50cents」と大きなフォントで印刷した紙、折りたたみテーブル。「だめだ、そこじゃなくてこっちに貼り付けろ」など、兄が相変わらず弟を指図してやっている。おつり用の25セント硬貨だけは彼らが持っていなかったので、私が用意してやった。

しかし、タダでもらったレモンのほか、材料費は砂糖と蜂蜜ぐらいしかかかってないのに、50セントは高くないか?とちょっと思ったけれど、彼らに任せることにした。そこはうまく考えていて、「売上げの一部は、学校でいま募金を集めている白血病協会に寄付するんだ」そうだ。

私がついてやらなければいけないのだろうけど、まだ体が動かない。家のすぐ前に店を出してやっているのは窓から見える。暑いのであけっぱなしのドアから、声もよく聞こえる。何かあれば、兄が携帯で電話するだろう。だいたい通るのは近所の人ばかりだろう。いいや、任せよう・・・・

その後、また私の記憶は途切れ途切れだが、「Lemonade, 50cents!」と弟が大きな声を張り上げているのが聞こえる。ときどき、お客さんが来ているらしい話し声が聞こえる。

1時間半ほどで、作った分は完売したらしく、二人は戻ってきた。夕方近くなって、ようやくベッドから起き出した。予想通り、キッチンにはレモンを絞ったあとの皮が散乱し、床は砂糖がこぼれ、玄関には折りたたみテーブルを放り出したまま。「片付けなさい!」と一喝する力が戻るまで、怖くて起きられなかったのだった・・・

片付けを手伝いながら、経緯を聞いた。お友達とお父さんがたまたま通りかかって買ってくれた話、近所の人が何人か買ってくれた話。まだ6歳の弟が「レモネード、買ってください」と言えば、そりゃ近所の人は断れないよね。特に、「売上げは寄付します」という殺し文句がついて、それで断ったら正しいアメリカ人とは言えないよね。(笑)近所の人にしても、子供がレモネードを売るというのは「日常のほほえましい風景」。「近所のおばあちゃんが、1ドルもくれた。」「今日は暑かったから、パーフェクトだったんだよ。」兄弟は興奮して話していた。

CEOである兄は、売上げのうち1ドルだけを寄付することにし、あとは山分け、ということに決定。「え、なんだそりゃ!」と思ったけれど、彼らのお小遣い稼ぎというインセンティブもないといけないだろうし、まぁこれも、任せることにした。

アメリカの子供が最初に試みる伝統的アントレプレナーシップ、「レモネード売り」。これもまた、のどかなアメリカの風景。

caesarkazuhitocaesarkazuhito 2008/04/15 23:58 私でも買っちゃいますね(笑)
とても美味しそうです。
それにしても、文章を読んでいるだけで、ご兄弟の仲の良い姿が目に浮かびます。

himazubloghimazublog 2008/04/16 14:17 日常の風景ではあるのですが、興味深いブログ・エントリーになっていますね。やはり目の付け所が大切だと感じさせられました。

mikeexpomikeexpo 2008/04/17 05:43 アマゾンに失礼なレビューを入れましたmikeexpoと言います。
よろしくお願いします。
いつも、池田先生のブログは拝見しておりまして、新著のことを知りレビューも入れた次第です(もちろん、梅田さんの「ウエッブ進化論」も大好きです。)。
書いたとおりで、こちらに来ないことにはあの著書の中身は理解できないだろうなと思って、やって参りました。

このレモネードの話はおもしろいですね。
やはり、アメリカってすべてがビジネスなんですかね?
世界三大投資家のひとりのジム・ロジャーズは、子供の頃ピーナッツを炒って、野球場で売るのが人生最初の金儲けだ、と語っていました(齢65の方ですが、今でもそのピーナッツ炒り機械を大切に取っているそうです)。

日本の子供って、むかしも今もそういう遊び方はしないよね。

まさに、パラダイスなのかね。日本は。

(小生ブログは下記)
http://blogs.yahoo.co.jp/mikeexpo2000

RonronRonron 2008/04/18 03:20 > 売上げの一部は、学校でいま募金を集めている白血病協会に寄付するんだ
売上げのうち1ドルだけでも寄付するのは凄いですね。うちの子なら、間違いなく全部ゲームに使われちゃう…。
今度、レモネードのレシピをアップしてください。

Takuya_STakuya_S 2008/04/18 18:28 >エコ教育されているので、紙コップは使わない。
素朴なアメリカのエコ意識に関する疑問なのですが、使われたプラスチックカップは使い捨て用ではないのでしょうか?
それとも一般的に使い捨てのプラスチックカップのほうが紙コップよりも良いとされているのでしょうか?

michikaifumichikaifu 2008/04/20 19:19 Takuya_Sさん、書き方がわかりにくくて済みません。このプラスチックは使い捨てじゃなくて、こちらでよくある、屋外でパーティをするとき用の、「ジャグとコップ」のセットです。ちょっとしゃれたデザインになっていて、チョット見にはガラスみたいに見えるヤツで、普通に洗ってまた使います。

2007-11-21 姿勢をよくするための運動

[][] 姿勢をよくするための運動 10:50

まあ、いつものように不安をあおるだけのメディアの記事。

no title

快適な生活のせいで、子供の姿勢が悪くなっている、という言い古された話。そうかもしれないけど、じゃぁどうすればいいの?とか、なんとか、もちっと明るい話は書けないもんかねー・・・

最近、私が自分で経験したことから言えば、「コア・エクセサイズ」というのがいいらしい。

私も座ってパソコンに向かっている時間が長く、姿勢は悪くなりがちで、そのせいもあり、慢性的な腰痛持ちであった。それで、最近テニスのコーチに半強制的に、「トレーナーを雇って体力トレーニングをやれ」と言われて、やり始めた。で、ジムのトレーナーは「体のコアを鍛えるトレーニング」というのを中心にやり始めた。一番簡単でベーシックなのは「プランク」というヤツ。「腕立て伏せ」を手のひらじゃなくてひじで支える姿勢をとり、そのまま1分じっとしている。腰が落ちたり持ち上がったりしないように頑張るのはなかなか大変。その変形で、今度は横を向き、右ひじだけで体を横に支えて30秒、それから左で30秒・・というのを何度か繰り返す。そのほか、腹筋や背筋を鍛える運動をやるのだが、昔からやっているいわゆる「腹筋運動」ではなく、ひねり方向やバランス感覚を加えた動きをいろいろ組み合わせる。これを一週間に一回、ジムに通ってやった。

そしたら、本当に劇的に、腰痛がなくなり、姿勢を支えるのがラクになった。長年、テニスが終ると毎回腰が痛くなり、2日かけて治ると次のテニス・・みたいな状況だったのに、すっきりはっきり、テニスが終っても痛くならなくなった。仕事をしているときにも、気がつくと自然に腰が伸びている。

子供の姿勢にしても、「背筋を伸ばしなさい」と言うだけでは、背筋を支える筋肉が十分にない場合には、姿勢を支えられない。我が家の息子が、字がうまく書けない問題で、学区の「Occupational Therapy」専門家に診断を受けた際、字を書くことそのものだけでなく、姿勢を支えるための種々の運動のテストをやったので、ビックリおよび感心したのだが、そのときに言われたことだ。

結局、ウチの息子は診断の結果「問題なし」となったのだが、その一つの要因である「姿勢」については、「小さい頃から空手をやっている」と話したところ、「あーなるほど。それで彼は姿勢がいいのね。」という話になった。

姿勢のいい子供について訊くと、だいたい空手か、ジムナスティック(体操)か、水泳をやっている、という例が多いそうだ。

子供の姿勢が心配だったら、「昔はよかった」などとごちゃごちゃ言っている間に、水泳教室を探すことをお勧めする。「ゲームをやるな」と禁止するよりも、「空手から帰ってきたらゲームをやってもよい」というほうが、生産的で現実的で前向きである。

武田武田 2007/11/21 16:37 日本には、古来から、たすきがけがある。これで、いっぱつ。たすきがけをして竹刀を素振りしたら、もっとよし。

TAKAVTAKAV 2007/11/22 02:10 “コア”とありますが,その体のコアを意識するだけでも
結構違うかも知れないですよね。
自分は定期的に舞台に上がってます。
舞台に上がる時はそれっぽいことを頭に入れておかないといけなくて,
ちょっとシャキッとするようになりました。
以前はグズグズ。何の緊張感もなくて・・・エ。たすきがけ!?
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