目標にすべきは交通事故そのもの抑制

日本では死者数の減少を目標にして事故対策をしてはならない:日本人の意識と交通事故:道路構造改革
のページのデータが少し古くなっています。
ここ数年で死亡事故の抑止は進んでいますが、相変わらず負傷者が異様に多い状況は変わっていません。


平成25年度版、交通安全白書(やはり交通安全化白書でないと違和感がありますが)から
欧米諸国の交通事故発生状況のデータを抜粋して、
人口あたりの交通事故死者数と負傷者数をグラフ化してみました。
死者数にばかり目が行っているため、負傷者数の方はありませんでした。

死者数は  人口10万人あたり
負傷者数は人口1000人あたり 


グラフで見ると、どの先進国も負傷者数は死者数と同じくらいか少なくなっています。
しかし日本だけは負傷者数の方がかなり多くなっているのがわかります。


日本がまず目指すのは、ドイツやイギリスのようなグラフの状態にするために、
負傷者数を3分の1〜半分まで減らことです。


死亡したかどうかは結果であり、救急体制など他の要因で減らすことができるため、交通事故の実態を表しているとは言いにくいです。そして死なくても体の障害や脳の高次機能障害など後遺症を抱える人が累積していきます。個人も大変ですが、社会的損失も甚大です。


負傷者数は交通事故の生の状態が反映されます。ハインリッヒの法則で言えば、死亡事故は多数のヒヤリハットと重大ではない事故の上にあるものです。やはり、目標にすべきなのは負傷を伴うような交通事故そのものであり、これを抜本的に減らすことに力を入れるよう頭を切り替える必要があります。