『ルール』 古処誠二2002/06集英社


1970年生まれの著者がよくここまで書いた、と唸る。
しかもこれはミステリ作品ではない(ミステリ色はあるけど)。

人間が人間として留まるための「ルール」。
自衛官という経歴が全く作用しなかったことはないだろうが、本当によく書いた…。

『少年の密室』で筆者が一番問題にしていたその人間のプライド。
それがここでも、一番大切なものになっている。
そしてそれが形成された一因も記されている。

私にも、苦手なプロットはある。これもそのジャンルには入るが、結局殆どの登場人物に感情移入出来てしまったからか、スピードを緩めず読まされてしまった。
文章は淡々としているし、癖もなく、派手な起伏もないのだが。


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しかし『未完成』を先に読むべきだったかも…。

余り、若手ミステリに造詣が深くない私なので、今日まで下記のお三方(と作品)のイメージが重なっていました。メフィスト賞の弊害でしょうか?
今となってはそれぞれの作品の違いもあり、そんなには重ならないので、安心。

*『木製の王子』麻耶雄嵩
*『少年たちの密室』古処誠二
*『ハサミ男殊能将之