GARDEN CITY LIFE

緑丸と申します。日々、アンテナに引っかかったことを綴っていこうと思います。

うちのクラスの天海さん

うちのクラスの天海さん

すっきりぽんP


上半期20選シリーズが終わるまで、
新作動画については自重しようと思っていたのですが、
こればかりは例外にせざるを得ない。

既に様々な方がブログで紹介されており、
いちいちその視点の的確さに、唸らされてしまいます。
ごく一部ですが、ご紹介。
「うちのクラスの天海さん」がいろいろと素敵すぎた
(胡桃坂氏:世界の片隅で、愛を呟きたい)
語り手は、すべからく嘘をつく
(Vinegar56%氏:すごろく妄想格納庫(延長戦))
すっきりぽんP「うちのクラスの天海さん」は二回見ましょう
仕切り直しまして今一度、すっきりぽんP「うちのクラスの天海さん」は二回見ましょう
(カズマ氏:続・空から降ってくるので)

自分が思ったことも、既に解説済であったりしますので、
後出しじゃんけん的な感想になるかと思いますが、
とりあえず綴ってみます。


主人公の少年と天海さんの関係については
「距離感」をキーワードに、ブログでも色々言及されてますが、
自分の印象として、
クラスメイトという認識はあるけど、普段はお互い、
必要最低限のこと以外は会話を交わしていない関係なんだろう、と思いました。

少年にとって天海さんは、初めのころは
「なんか目を引く存在」でしかなかったんだろうけど、
修学旅行トークでの周りの反応で、それだけに留まらない感情を、
初めて自覚したのではないかなー、と考えます。
たぶん、少年が天海さんのことを気になる、というのを、
同級生男子も、このとき初めて知ったのでしょうね。
そこで冷やかしに入らないところが、妙にリアルです(笑)


そしてきっと、少年は、
クラスメイトの中で初めて
「アイドル・天海春香」に接した存在。

イベントの舞台であるパセコは、たぶん地元からはちょっと離れていて、
行って行けないことはないけど、
友達に声を掛けて来てもらおう、とまで考えるほどには
近所ではないと思うんです。

そんなところで、(天海さんにとっては)偶然、クラスメイトがいたものだから、
そりゃー天海さんとしては「あんれまー」となってしまっても、仕方ありません。

この物語は少年視点ですが、
この瞬間、天海さんにとっては、
少年が「同級生の中でのファン第1号」として
インプットされたのではないか、と考えます。


そのバックボーンがあってこそ、
ドムドム」のやり取りが活きるのではないかな、と。

実は自分も、ドムドム常連なのは天海さん達ではなくて、
むしろこの少年の方なのではないかな、とうっすら感じており、
天海さんがトモコをはじめ友達を探しにわざわざドムドムにやってきた、
という展開に違和感を覚えていました。

が。ここはVinegar56%氏が論証されましたとおり、
天海さんが探していたのは少年である、と見るほうがしっくり来ますし、
自然です。

ここから、Vinegar56%氏は語り手の視点による文章論?を展開されており、
それもなるほど納得、と思わせるほど素晴らしいものだったのですが、
自分の感想はもっと単純で、そもそもこの動画は少年視点であり
天海さんの内面(心情)については述べられない形で構成されているので、
すっきりぽんPがそこまで考えて展開を組み立てたのかは存じ上げませんが、
結果、様々な錯覚をもたらし、
視聴者の想像を膨らませることができたのではないかなー、
といった感じで捉えています。

ともかく、「同級生のファン第1号」である少年に、
「アイドル」として本当にやりたかったことを、いい席で見てもらいたい、
という感情が、天海さん側にはあったんだろうと思います。


いい席で、と思ったのにも、個人的に理由がありまして。
ライブの翌朝の少年の独白。

聞けばクラスの半数以上はライブに来ていたらしい。

つまりライブの最中、
少年はクラスメイトの誰とも顔を合わせていなかったことになります。

(二度見して、ここが勘違いであることが分かりましたので、訂正します。
「天海さんから直接チケットをもらったので、
クラスメイトがすぐ近くにはいない、別の席
(でも、天海さんからはよく見える場所)に
いたと思われる」
ということにさせて下さい。)

学生にそんな高い席は中々買えませんし、
天海さんの渡したチケットは、たぶん、
最前列に近いSS席(または関係者席)だったのではないかなー。

天海さんにとって少年は、大切な「同級生のファン第1号」なのですから、
いい場所で見てもらいたかったのではないかと思うのです。


だからこそ、天海さんは、翌朝の教室、少年に気付いて「ゲッツ」をする。
それは、「観に来てくれてありがとう」という感謝のしるし。


おそらく、これ以上、少年と天海さんの実際の関係は
縮まることはないのでしょう。
むしろ、普通に考えれば、一学生とアイドル、ということで
格差は広がる一方。

でも、少年はますますクラスメイトの天海さんのことを
(機会は減っても)目で追うことでしょうし、
天海さんはクラスメイトではじめてファンになってくれた
少年のことを忘れないはず。

たぶん、その思いは、思春期の互いの心に刻まれて、
決して喪われることはないと思うのです。


そのあたりの切なさが、いちいち上手いなあ、青春しとるなあ、と、
自分にとっては遥か昔となってしまった高校時代の空気感を
リアルに思い出させてくれた、素晴らしい作品でした。


(追記)
余談ですが。
この少年、ライブの翌朝、クラスメイトとの会話の中で、
「自分が天海さんからチケットを貰ったこと」や、
そもそも「自分がライブを見に行ったこと」を、
話したんでしょうかね〜。
なんか、話に出してないような気がするし、
もしそうなら、凄くその気持ちが分かるな〜。

それもまた、青春ですね。