みえ教育ネットワーク

2017-12-22 学校が危ない!

2018春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会


学校が危ない!
ブラック部活・長時間労働 我が子や先生は大丈夫?f:id:mie_net:20171222205324p:image:w150:right


2018春を呼ぶ!
みえ教育ネットワーク教育研究集会
記念講演は、あの内田良先生
とき 2018年2月10日(土)
10:00〜
ところ 津市河芸公民館


 1年間で部活動を休むのは、わずか数日だけ。朝練・放課後、さらに土・日も。時に、学業よりも熱意が注がれる中学、高校の過酷な部活動・・・。 内田良さんは新刊「ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う」(東洋館出版社)で、過熱化した背景に学習指導要領の改訂があると指摘。「週に3日、土日は禁止」などの総量規制で「ゆとり部活動」を提言しています。

 部活指導に悩む教師や、我が子が心配な父母、学校教育に関心のあるすべてのみなさんに聞いてほしい講演です。当日内田先生の書籍販売もあります。

 日程など詳しくは下記要項をご覧下さい。

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2018年 春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク第13回教育研究集会

<集会テーマ>
子どもたちの豊かな成長と
  教職員のいのちと健康を守る学校づくりを
    〜子どもと先生の苦しみに向き合う〜
記念講演

 学校の日常を「見える化」する
 〜部活動改革から働き方改革まで〜


 講師 内田 良さん
プログラム
10:00〜 オープニングf:id:mie_net:20171222232412j:image:w200:right
 絵ものがたり「関の小万」
   亀山絵本と童話の会のみなさん
   挨拶・基調報告

10:30〜 記念講演
「学校の日常を『見える化』する」
〜部活動改革から働き方改革まで〜

12:00〜 質疑 諸連絡
★共済加入の訴え
    (昼食・休憩)

13:30〜 分科会
   (1)学び合いで子どもはどう変わる?!
     実践レポート 小学校と中学校から  
   (2) 新しい道徳教科書をどう使う?
     服部厚子

2018年2月10日(土)
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 10:30〜16:15
 津市河芸公民館
    津市河芸町浜田742番地

講師紹介
<うちだ・りょう>さん
名古屋大学大学院准教授
(教育社会学)
1976年、福井市生まれ。名大経済学部を卒業後、名大大学院教育発達科学研究科で児童虐待を研究。2012年度の中学校武道必修化を前に、死亡事故が多発していた柔道事故防止を啓発した。
 14年から年間約8500件の事故が起きていた組み体操事故の危険性も訴え、16年に文部科学省が注意喚起を促すなど大きな話題に。

主催;みえ教育ネットワーク <連絡先> 大原敦子 津市寿町7-50 みえ平和と労働会館 059-223-2615

2017-11-26 「外国語の学習は早いほどよい」は本当か?

小学校英語の早期化・教科化は大問題


「外国語の学習は早いほどよい」は本当か

 みえ労連・みえ教育ネットワークが10月に実施した14市教委との懇談では「小学校英語」が話題となりました。「時間数が増えるが、それをどうやって生み出すか苦慮している。15分×3のモジュールもありかなと・・・」「先生も児童も負担は大変だ。」「来年度から先行実施。先生方の負担を減らすために教委として15時間の指導案を作成中」などの苦労が語られました。「クレスコ 2017年12月号」で江利川春雄さんが小学校英語の問題点を鋭く指摘しています。以下引用します。

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  改定学習指導要領 外国語の問題点
          江利川春雄(和歌山大学) 

小学校英語の早期化・教科化は大問題

 改訂学習指導要領の外国語(実質は英語)に関する方針は、明治以降の150年に及ぶ日本の英語教育史上、特筆すべき大改悪と言えよう。

 その第一が、理論的・実践的な根拠も、人的・予算的な準備もなしに、小学校の外国語活動を3・4年生に下ろし、外国語を5・6年生で教科化したことである。この方針は、2013年4月の中央教育審議会答申には盛り込まれておらず、決定過程に外国語教育の専門家は参画していない。ところが、翌5月に安倍首相の私的諮問機関である教育再生実行会議が方針化し、翌6月の「第2期教育振興基本計画」で閣議決定された。官邸主導の典型で、恐るべき暴走である。
 
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 「英語学習は早く始めるほうがよい」という主張は、学問的な根拠や実証データが乏しく、幻想にすぎない。英語圈で暮らした子どもでさえ、帰国すると数力月で英語を忘れてしまう。日本では日常生活で英語を必要としないうえに、英語と日本語とは言語の特徴が大きく異なる。

 そのため、文字によって読み書きの練習を重ね、文法学習によって文の仕組みを理解しないと定着しにくい。文法の理解に必要な抽象的思考力は中学生の頃から顕著に発達するので、小学校で1年かかった英語力は、中学生なら数力月で獲得できる。そのため、本格的に英語を学んだ子と学ばなかった子との差は、中学2年生頃にはなくなってしまう。

 近年の各種の研究結果をまとめると、以下の5点が指摘できる。
(1) 小学生の外国語の発達は、中学生に比べ 遅く非効率で、特に文法の習得でそれが著しい。まして、週1〜2時間の時間数では 効果は期待できない。

(2) 外国語学習に対する意欲は、小学生では 一般に高いが、中学・高校へと進むにつれて低下し、小学校で学習を開始した効果は ほとんど見られなくなる。

(3) 英語教育をおこなう環境が未整備の小学校では、莫大な予算と人員確保が必要だが、その措置が不充分なため、教員の負担のみが増え、小学校教育全体を劣化させる。また、入試に英語を課す私立中学校が増え、塾通いが過熱し、英語格差が早期化するなど、子どもと家庭の負担も重くなる。

(4) それでも実施するなら、国語教育などと連携し、ことばのおもしろさ・深さ・恐さに気づく「ことばの教育」に力点を置くべき。

(5) 効果が見られないなら、早急に廃止・縮小し、限られた予算と人員を中学校に振り向けるべきである。

 問題山積にもかかわらず、政府が小学校英語の早期化・教科化を進める一因には、財界からの要請に加えて、国民の間に賛成意見が根強くあることへのポピュリスム的な迎合がある。

 『日本経済新聞』(2016年2月14日付)の調査報道によると、英語教育の早期化に賛成する人は78%で、特に小学生の親世代が多い30代女性では9割を超えている。その背景には、「外国語の学習は早いほどよい」という思い込みの浸透がある。そのため、この問題では、保護者に対する粘り強い啓発活動が必要になる。

中・高生の負担増と格差拡大
 小学校英語の早期化・教科化は、中学・高校の英語教育に深刻な影響を与える。学習すべき英単語は小学校で600〜700語程度と定められたが、非現実的である。中学校では現行の中2レベルからとなり、小学校の単語数に1,600〜1,800語が加算され、合計2,200〜2,500語となる。現行の1,200語程度と比べ、生徒が接する単語数は実に2倍になる。仮定法が入るなど、学習内容も高度になる。

 高校ではさらに2,000〜2,200語程度を追加し、卒業段階で4,000〜5,000語程度に引き上げられる。これは、現行と比べて3〜7割も増加し、国立大学上位校の入試問題の水準に匹敵する。

 しかも、中学・高校とも、学問的・実証的な根拠もなしに、英語の「授業は英語で行うことを基本とする」と定めてしまった。これでは、英語がわからない、嫌いという生徒が急増するだろう。
 こうした無謀な方針は、2013年4月に自民党の教育再生実行本部が打ち出した「結果の平等主義から脱却し、トップを伸ばす戦略的人材育成」、つまり上位1割ほどの英語ができる「グローバル人材」育成に重点化するという格差政策の一環である。

 私たちは、子どもの実態と教育要求を第一に考え、教員の裁量権と教育の自由の原則に立って、新学習指導要領を批判し、実践的に乗り越えていく必要がある。

主体的・対話的で深い学び?
 某市の教育委員会が、私が登壇するイベントの後援をキャンセルした。私が小学校英語の早期化・教科化に反対しているかららしい。私は根拠に基づいて意見を述べている。
 
 行政は根拠に基づいて私に反論すべきだろう。没「主体的」に国策追随に走る忖度体質。異なる意見とは「対話」しない。これでどうして「主体的・対話的で深い学び」の旗を振れるのか。振るのは尻尾ばかりなのか。

 だからこそ、私たちは教え子を再び戦場に送らないために、職場の仲間や地域住民と、主体的・対話的で深い運動を進めていこう。 (和歌山大学教育学部教授)
 以上、引用終わり

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江利川先生には2017年2月4日「みえ教育ネットワーク教研集会」で講演をしていただきました。

2017-11-09 教員の負担減らしたい

土曜授業の見直し、部活動の制限・・・教育委員会との合意広がる


みえ労連/みえ教育ネットワークが14市教育委員会と懇談

 みえ労連/みえ教育ネットワークは10月24日〜11月9日にかけて三重県内の14市教委を訪問し懇談しました。

 事前アンケートに基づく懇談内容は多岐にわたりますが、「教職員の過重労働軽減」は大きなテーマであり、土曜授業の見直し、部活動の休養日設定などでは教育委員会と組合との立場を超えて共感的な話し合いが出来ました。

 ある市では教育長さんが出席し「土曜授業は教員・子どもの負担大きい。これまで(県のガイドラインを受けて)年間8回実施していたが、近隣市町とも相談し年間3回に見直すことにした。」

 「中学校の部活動はものすごく負担が大きい。下校するまで何もできない。もっと国や県が考えるべき。総量規制は必要だ。そうでないと『うちの先生サボっている』と見られる。」などと語りました。

 私たちは名古屋大学・内田良準教授の「部活動は週3日でいい」などの見解も紹介しながら、「総量規制をいっしょに実現しましょう」と話しあいました

 そんな中で三重県教育委員会の「県部活動ガイドライン策定委員会」が8日、「中学校では週2回以上の休養日」などとする中間案を出しました。注目すべき動きです。以下伊勢新聞より引用します。

    **********以下伊勢新聞11月8日付より引用***********

 部活休日、中学で週2 三重県教委中間案、高校は週1以上

 教員の長時間労働を是正するために公立中学・高校の部活動の運営を考える「三重県部活動ガイドライン策定委員会」が7日、津市栄町1丁目の県職員研修センターであり、県教委が中学で週2回、高校で週1回以上部活動の休養日を設けるよう求める中間案を示した。委員からは「現状に合わない」「柔軟に運用できる文言にすべき」などの意見が相次いだ。最終案をまとめ来年度から運用を始める。

 策定委は市町教育長会や校長会、体育文化団体、PTAなどの代表ら13人で構成。県競技力向上対策課の職員がオブザーバーとして参加する。開催は全3回の予定で、年度内の策定を目指している。今回は9月の初会合以来2回目の会合となった。

 中間案では部活動の休養日や活動時間の設定を各校に要請。1週間に休養日を中学校で2日、高校で1日以上設定し、休養日のうち1日は土日とすることを求めた。平日の活動時間は中学が2時間以内、高校が3時間以内とし、休日はいずれも4時間以内と定めた。

 県教委の中間案に対し、県立四郷高校長の阿形克己委員は「土日に遠征試合や大会が入っている場合があり、土日に必ず休養日を設けるのは難しい。部活動が進路決定に絡んでいるのも事実」と指摘した上で「実態を踏まえると柔軟なものにすべき」と述べた。

 一方、四日市市教委教育長の葛西文雄委員は「学校で5日制が始まったころに部活動も週に1回は休もうということになったが、いつの間にか活動時間が以前よりも増えていた」と分析。「これまでの流れをしっかりと受け止めた上でやっていく必要がある」とした。

 県教委は委員の意見を踏まえて中間案に修正を加え、12月中旬から1カ月間、意見公募を実施。その後第3回の策定委を開く。

 *********** 以上引用終わり ***********

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      ↑ 中日新聞11月8日

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      ↑ 伊勢新聞11月8日

2017-10-17 掲載拒否は「不公正」 日本の民主主義は死んでいない 

梅雨空に 『九条守れ』の 女性デモ


 この俳句を「公民館だより」に載せるのはいかがなものかと考えた公民館長がいた。しかし裁判長ははっきりと次のように言った。

        掲載拒否は「不公正」 

 こんなことで裁判までしなければならないのは困った時代になったものだと思う。しかし判決は「公民館側が『思想や信条を理由として掲載しないという不公正な扱いをした』」と断罪した。まだ日本の民主主義は死んでいない。

 以下10/13 朝日新聞デジタルより引用します。

「九条守れ」俳句訴訟、掲載拒否は「不公正」 地裁判決 

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 集団的自衛権の行使容認に反対するデモについて詠んだ俳句を「公民館だより」に掲載することを拒まれたのは、憲法が保障する表現の自由などに反するとして、作者のさいたま市の女性(77)が、公民館を所管する市に慰謝料を求めた訴訟の判決が13日、さいたま地裁で言い渡された。

 大野和明裁判長は公民館側が「思想や信条を理由として掲載しないという不公正な扱いをした」などとして原告の訴えを一部認め、市に5万円の支払いを命じた。

 判決などによると、女性は2014年6月、集団的自衛権の行使容認に反対するデモに参加した経験から「梅雨空に 『九条守れ』の 女性デモ」という句を詠んだ。所属するサークルの秀作は地元の公民館だよりに掲載されていたが、たよりを発行する三橋公民館(さいたま市大宮区)が「世論を二分するテーマのため、掲載できない」と拒否。

 女性は表現の自由に反し、掲載を期待する権利を侵害されたなどとして、句の掲載や損害賠償200万円の支払いを求めて提訴していた。

  大野裁判長は、不掲載の判断をした公民館長らが過去に教員だった経験から「教育現場で憲法に対する意見の対立を目の当たりにして辟易(へきえき)し、一種の『憲法アレルギー』のような状態に陥っていたのではないかと推認される」と指摘。

 憲法に関連する文言が含まれた句に抵抗感を示し「理由を十分検討しないまま掲載しないことにしたと推認するのが相当だ」とした。

2017-09-09 教室のエアコン設置すすむ 

〜三重県内29市町アンケート調査〜

   
小学校100% 2010年5市町 → 2017年12市町
中学校100% 2010年5市町 → 2017年13市町

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 みえ労連・みえ教育ネットワークが行った三重県内全29市町へのアンケート調査で、普通教室のエアコン設置が去年に引きつづき進んでいることがわかりました。

 エアコン100%設置の市町は小学校12市町(去年9市町)、中学校13市町(去年11市町)です。

 9月7日付の中日新聞は、2年前に全教室にエアコンを設置した伊勢市明倫小学校を取材し、「以前は暑くてつらかった。今は授業にも集中できる」という子どもの声や、「ここ数年、猛暑で校舎内は危険なほど暑くなる。冷房のおかげで、体調を崩す子がいなくなった。アトピーの子も多く、汗をかく環境は酷だ」という校長先生の声を紹介しています。

 私たちは毎年行う市町教育委員会との懇談で、この問題を取り上げてきました。多くの市町でエアコン設置が進みつつあることをうれしく思います。とは言え、三重県全体ではエアコン設置は34.4%で、全国41.7%に及びませんし、滋賀県77.9%と比べると大きな遅れがあります(文科省調査/9月7日「中日新聞」)。
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↑「中日新聞」9月7日記事

 三重県知事や三重県教育委員会は、学力テストで全国平均云々を言う前に、子どもの学ぶ環境を整えることが先決ではないでしょうか。

2017-08-24 山梨市の職員不正採用 それにしても情けない話です!

   起・承・転・結の妙味 中日新聞コラム欄に学ぶ

 以下の記事は、中日新聞8/23より引用しました。(もとの文章に起・承・転・結の文字はありません。)


「あたりき車力車引き」「言わぬが花の吉野山」「見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」。言葉遊びの「無駄口」。一種の語呂合わせで、何かの一言に語呂の良い言葉を加え、おもしろさや威勢の良さをまぶす。映画の寅さんがよく使っていたが、最近はあまり聞かれない。

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▼「親ばかちゃんりんそば屋の風鈴」。親の欲目や過保護を冷やかす、この無駄口はまだ使われている方だろう。『蕎麦(そば)の事典』によると宝暦(1751〜64年)ごろ、江戸の町に屋台に風鈴をぶら下げたそば屋が登場したとあるが、これとの関係か。


▼「親ばか」も控えめな風鈴の音ほどなら笑いの種にもなる。されど、ここまでくると親ばかの親とばかの順をあべこべにしたくもなる。山梨県山梨市の職員不正採用事件である。

▼中学校長が自分の息子を市役所に採用してもらおうと当時の市長(収賄容疑で逮捕)に現金八十万円を渡したとして贈賄の容疑で逮捕された。

▼子どもを等しく扱うべき立場を忘れ、わが子ばかりはと裏口採用を頼む校長とそれを請け負う市長。古い社会派ドラマも顔を赤らめる展開である。これが二十一世紀の日本とは、頭を抱える。


▼いたたまれないのは採用された息子だろう。息子の将来を心配したのかもしれないが、とどのつまりが息子を傷つけている。その「あたりき」がなぜ分からなかったか。風鈴の音が寂しく聞こえる。

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 前山梨市長、補欠枠を急きょ導入 校長息子採用で? 
 山梨県山梨市の職員採用を巡る汚職事件で、前市長の望月清賢容疑者(70)=収賄容疑で逮捕=が昨年の試験時に急きょ補欠合格制度を導入していたことが、市関係者への取材で分かった。

 同県甲州市立中校長の萩原英男容疑者(57)=贈賄容疑で逮捕=から現金を受け取った後、補欠合格としていた萩原容疑者の息子の採用を正式決定していたとみられることも判明。警視庁は、望月容疑者が市長権限を使って制度変更した上、現金授受が採用確定の後押しになったとみて調べている。

 市関係者によると、昨年9月18日、マークシート方式の1次試験を実施。萩原容疑者の息子を含む31人が通過した。11月6日には市長面接と小論文の2次試験があり、13人は合格ラインに達していたが、息子は含まれていなかった。
 警視庁は22日午後、望月容疑者ら3人を送検した。
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2017-08-05 福島は 今!

放射能汚染の中での学校再開……!


 今の福島を簡単にレポートします。
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 いわき市のJRいわき駅前をスタートに、四倉町(よつくらまち)、広野町(ひろのまち)、楢葉町(ならはまち)、富岡町(とみおかまち)、大熊町(おおくままち)、双葉町(ふたばまち)(大熊と双葉は、通過だけ)、浪江町(なみえまち)、南相馬市、相馬市、飯舘村、川俣町(かわまたまち)………と、北上し、最後の福島市まで見てきました。

 6年過ぎて、震災の爪あとは、かなり消えていました。しかし、がれきの処理や河川や海岸の堤防の工事などは、まだ行われていました。 

 福島の復興を妨げているのが、放射能汚染です。各所に、放射性廃棄物の黒い袋の山が置かれていました。
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 放射線測定器を持参しましたが、普段わが家では、0.08〜0.12マイクロシーベルトを示していますが、大熊町か双葉町の国道を通った時は、バスの中でも5.53マイクロシーベルトを示し、警告のバイブが振動したのには、驚きました。(右の写真)

 6年経って、ざっと70倍の放射能です。JRの駅や、放射性廃棄物置き場などには、赤の電光で、はっきりと分かる線量計が置かれていますが、その値が、地面と比べると10分の1程度で、住民に不安を与えない値を表示しているように感じました。

 相馬市は、近くの真野ダムの水を水道水にしているそうですが、その水は、基準値内ですが、そのダムの底のどろは、2万6859ベクレルのセシウムがあり(毎日新聞 2016.9.25報道)、元高校教師のガイドさんは、あきらめ顔で、笑っていました。

 相馬市のNPO法人「 野馬土(のまど)」は、福島産のお米の放射能検査を全袋検査したり、農地の土壌の放射能検査をしたり、いろいろな活動で農業の復興のために尽力されていました。

 稲作も始まっていましたが、収穫されたお米は、備蓄米として政府が買い上げ、結局は、古米となって、家畜のえさになるのだと、ガイドさんの話でした。

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 最後の3日目に訪れたのが、飯舘村(いいだてむら)の役場(右の写真)。昨年7月に再開され、仕事をされていましたが、住民は、ほとんど見られませんでした。ちなみに、役場近くの除去土壌等保管場所の空間放射線量の表示は、0.22マイクロシーベルトでしたが、地面の線量は、2.12マイクロシーベルトという約10倍の値でした。

 現在、 学校は、避難先のプレハブ校舎で授業が続けられています。この狭いプレハブ校舎で6年間を過ごすことになる子どももいるそうです。来年4月に避難先の学校を終了し、飯舘村で学校が再開されるそうです。そのために現在の飯舘中学校を整備し、中学校1校・小学校3校・認定こども園を集約した施設となるそうです。校舎だけでなく、野球場・陸上競技場・屋内運動場・テニスコートなども併設する大規模な施設として、約60億円をかける一大プロジェクトです。
   
 関連のホームページによりますと

 「避難前の2010年度には幼稚園、小学校、中学校あわせて679人の子どもがいました。それが、どんどん減って、2017年度には139人になるはずです。原発事故がなければ村の学校に就学が予定されていた人数の約21%になります」これが来年4月の飯舘村での学校再開時には、「現時点のアンケート結果では50人くらいの子どもが帰るといっています。ただし、もっと減るでしょうね」(中井田教育長)という。

  また、菅野典雄村長は、「子どもを強制的に帰すつもりはない。それは保護者が決めるべきだ」として、現状の困難さは、認識しているようだ。とにかく、村に学校がなくてはならない、と述べている。

   さらに、ホームページの引用を続けます………

  国は放射線量の安全基準を0.23マイクロシーベルトとしているが、疑問視する声は多い。飯舘村役場の前では原発事故直後には44マイクロシーベルトという高い放射線量が計測されている。除染作業によって、それに比べれば低線量になっているとはいえ、「完全」に安全とは言い切れないのだ。山がほとんどを占める飯舘村では、そもそも除染作業ができない場所も多いのだ。  ……… 以上、ホームページから引用。
https://news.yahoo.co.jp/byline/maeyatsuyoshi/20170330-00069229/

 ガイドさんの話では、補償金が東電から出ている家族ともらっていない家族との対立は、すごいもので、親同士の対立から子ども同士の「いじめ」へと発展しているそうです。
 また、甲状腺ガンの発症も深刻です。チェルノブイリと比べると線量は低いから、何ら因果関係は無い、というのが御用学者や政府の見解ですが、10年後、20年後どうなっているかは、分かりません。住民のみなさんの不安は、相当なものでしょう。

  直接、学校などの施設を視察することはできませんでしたが、放射能汚染という目で見ることができない公害に悩み続けておられる福島の皆さんのご苦労を垣間見ることができました。今後も福島の皆さんに寄り添い、福島の放射能公害には、注視していきたいものです。皆さんも、この夏季休業を利用して、福島を訪ねてみては、いかがでしょうか。(元教員/四日市市)

 追伸
 2017年8月31日 中日新聞記事より

 飯舘村の教育委員会の調査 2017.8.30(0歳〜14歳 736人のうち408人から回答)
   来年4月から飯舘村に就学する……52人(13%)
              しない……318人(78%)
             迷っている……38人(9%)
   

2017-07-27 教職員も時間外労働時間の上限規制を行うべき!

教職員も時間外労働時間の上限規制を行うべき!


 地方公務員の勤務時間は一日7時間45分、週38時間45分。それを超える時間外勤務をした場合は、労働基準法第37条に則り、時間外勤務手当、休日勤務手当を支払うことになっています。

 ところが同じ地方公務員である教員は、どれだけ働いても「残業代」は0円。その代わりに給料の4%にあたる給料(残業手当に換算すると7〜8時間分)が支給されます(給特法=公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法1971年)。教員はどうせみんな残業するだろうから、あらかじめ4%分を多く払っておく。だから時間外勤務手当は払わないよ、ということです。

 1971年と言えば、46年も前の話。今では時間外勤務は当時の10倍。過労死ラインと言われる月80時間以上の残業をした教員は小学校33.5%、中学校57.6%(2016年文科省調査)。

  過酷な教育現場を変えるためにこれまでの給特法体制を見直し、教職員も時間外労働時間の上限規制を行うべきというキャンペーン(署名活動)が始まっています。

 以下呼びかけ人からのメッセージ。署名の方法など詳しくは教職員の働き方改革推進プロジェクトのHPをご覧ください。→ https://www.change.org/u/715442171

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呼びかけ人からのメッセージ
「パパを返して!」

 昨年夏、Aさん(当時40代前半)は、生まれてくるわが子の顔を見ることもなく、脳出血で亡くなりました。当時、長子は2歳、妻のお腹の子は6ケ月でした。Aさんは、土日の部活動指導も含め、長時間労働があたり前となっていました。 現在、仲間が公務災害申請にむけて勤務の実態を調べていますが、とても時間がかかっています。なぜなら、この学校には、タイムカードも、ICカードもなく、教職員が何時間働いたか、その記録が存在していないからです。

 現在政府がすすめている「働き方改革」では、民間労働者には、時間外労働の上限規制(罰則付き)が設けられます。しかし、教職員は時間外労働の上限規制の「例外」としました。すでにマスメディアで報道されたように、国際調査(14年TALIS)では、日本の教員の労働時間は、調査に参加した国・地域で最長でした。

 また、文科省勤務実態調査でも、この10年間で時間外労働が急増していることがわかりました。過労死基準である月100時間以上働く教員は、小学校55.1%、中学校79.8%、高校46.4%(15年連合総研)でした。民間労働者のうち過労死基準以上働く人の割合がもっとも高い情報関連29.6%(16年過労死白書)と比較すると、ずばぬけて高くなっています。

 なぜ国は、教職員の時間外労働を上限規制の「例外」にするのでしょうか?教員は、どれだけ働いても「残業代」は0円。その代わりに給料の4%にあたる給料(残業手当に換算すると7〜8時間分)が支給されます。

 この制度がはじまった1971年頃と比べ、時間外労働は5倍に増えています。教員に残業代を支払う必要がないため、いくらでも仕事を増やすことができます。学校現場では勤務時間が適切に把握されず、過労死基準に当たる100時間以上働くのが「常識」となっているのです。

 亡くなったAさんの学校がそうであるように、労働時間をタイムカードなどで記録している学校は1割に過ぎません。また、実質的な休憩時間は10分と、学校は労働時間の「無法地帯」となっています。

 「忙しくて授業準備ができない」、「休憩もなく心のゆとりをもって子どもと接することがなかなかできない」といった嘆きが、現場からたくさん聞こえてきます。

 しかし、教職員はそんなことを社会に向かって言いません。黙って、耐えています。 医学研究では、教職員は慢性的な疲労におちいり、イライラし、集中力が低下した状態であることがわかっています。

 そんな状態で子どもの前に立っても、よい授業や丁寧な言葉かけはできません。教職員の長時間労働を解消し、心身ともに健康な状態で子どもたちと接することは、教育の質を高めることにつながります。

 これから、国は、教員の働き方や業務のあり方について検討するとしています。そのなかで、まずは、過労死基準を上回る長時間労働が横行する学校の「常識」を変えるため、直ちに時間外労働の上限規制を設けるべきです。

 最後に、冒頭で紹介したAさんのご遺族の手記です。

 ピピピッ。夜7:00になると主人が使っていた腕時計のアラームが鳴ります。仕事の目処をつけて帰宅する目標のためにセットしていました。 「ただいま〜」とどんなに仕事が大変でも、何があっても当時2歳の娘には、とびっきりの笑顔で話していました。「今日はママと何してたの? 今度試験休みがあるからどこに行こうか? ○○ちゃんはどんな大人になるのかな?
  いつまでパパとお風呂に入ってくれるかな? ママのお腹にいるのは妹かな?弟かな?どっちかな?楽しみだね〜」 

 私たちの大事なパパは昨年の夏に倒れ、意識が戻らないまま亡くなりました。当時長女は2歳、お腹の子は6ケ月でした。あれから8ケ月たちますが、私達家族は立ち直れません。 休日もほぼ部活動で家族の時間がほとんどありませんでした。一生懸命仕事をしていた主人は生徒さんや保護者の方々からも信頼していただいていました。すごくありがたい事です。

 でも子どもの記憶には残らない。長男は父親に会えずに産まれました。 主人は教員という仕事に誇りをもっていました。やりがいも感じていました。でも、すごく疲れていました。自分の命を縮めて、家族に寂しい思いをさせて、子どもにとって「ひとり親」にして・・・。そこまでしないとできない仕事は辛すぎます。

 ピピピッ。今日も腕時計のアラームが鳴ります。でも、パパは帰ってきません。永遠に・・・。
「教職員にも時間外労働時間の上限規制を行うべき!」という、声を政府に届けましょう。

呼びかけ人

主宰団体「教職員の働き方改革推進プロジェクト〜学校にも働き方改革の風を〜」

青木 純一(日本女子体育大学教授)
安藤 哲也(特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン代表理事)
内田 良(名古屋大学准教授)
大内 裕和(中京大学教授)
尾木 直樹(教育評論家・法政大学特任教授)
工藤 祥子(全国過労死を考える家族の会 公務災害担当)
小室 淑恵(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役)
白河 桃子(少子化ジャーナリスト 相模女子大学客員教授
高須 裕彦(一橋大学フェアレイバー研究教育センター)
竹信 三恵子 (和光大学教授)
長沼 豊(学習院大学教授)
樋口 修資(明星大学教授)
広瀬 義徳(関西大学教授)
広田 照幸(日本大学教授)
本田 由紀(東京大学教授)
むかい ゆか(元教員、教育心理研究家)
山口 俊哉(過労死遺族)
油布 佐和子(早稲田大学教授)

2017-05-29 長時間過重労働……教員の叫び

「休憩ない・休日ない・時間外手当ない・やること際限ない・・・」 あるのは残業と過労


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  中日新聞が教育現場を取材し、見出しのような教員の叫びを報じています。私たちみえ教育ネットワークは組合結成当初から教員の長時間過重労働の改善を要求のトップ項目に掲げてきました。勤務時間をしっかりと把握せよ、そのために職員室にタイムレコーダーの設置を、と訴えたこともあります。ここにきて、マスメディアが教員の長時間労働を取り上げることが多くなりました。中日新聞5月28日付を紹介します。

【以下引用】
  「休憩ない・休日ない・時間外手当ない・やること際限ない・・・」あるのは残業と過労 
    
       主因の部活 時間短縮を

<なくそう長時間労働> 「過重労働の無法地帯」教師の声 
  長時間労働の是正が目指される中、全国の教師たちがインターネットで知り合い、自らの働き方改革に向けて意見を交わしている。教師たちは「自分たちの疲弊が、教育の崩壊につながりかねない」と危機感を強めている。今月中旬の土曜日に名古屋市内であった有志たちの集まりで、教師たちの生の声を聞いた。

  「自分で労務管理しないと、過労で倒れそう。他校の状況を知りたかった」。富山県から駆けつけた30代の中学校女性教諭は、参加理由をこう話した。

  インターネットでは現在、全国の50人ほどが会員制交流サイト(SNS)などを通じて交流しているという。部活動の指導などが教師の長時間労働の主因の一つになっているという認識で一致し、先月「部活改革ネットワーク」を結成。情報交換などを続けていくことにしている。この集まりには、ネットワークに参加する中部、北陸地方の有志8人が参加し、初めて顔を合わせた。

  富山県の女性教諭は、ストレスから心療内科に通院した時期もある。教職員組合に状況を伝えたが、労働環境は改善されないままだという。訴える場のなさを感じていたところ、ネットで同じ思いの教師たちと知り合った。この日は、午前中に部活動で生徒を指導した後、駆けつけた。

  規定勤務時間は平日午前8時15分から午後4時45分。だが、実際にはその後、部活動などで帰宅は毎日午後8時すぎ。休日も部活動があり、ゴールデンウイークは5日のうち3日がつぶれた。

  公立学校の教員の給与は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」で定められている。どれだけ働いても毎月、本給の4%が「教職調整額」として一律に支給されるだけで時間外手当はない。

  生徒と交換する連絡帳に交友関係の悩みが書かれていても、返事を書く余裕がない時もある。「教師が疲弊したら、不利益を被るのは子ども。部活の時間短縮を呼び掛けたい」と思いを語った。

  今春、教諭になったという20代男性も、1カ月余りで改善の必要を強く感じ参加した。男性は、愛知県内の小学校に勤務。「疲労はすでにピーク。ずっと仕事を続ける自信がない」と話した。

  給食や休み時間も子どもから目が離せずに緊張が続く。労働基準法は45分間の休憩時間を定めているが、教師の場合、放課後も部活動や職員会議がある。担任するクラスには、夕飯を食べられないなど家庭に問題がある子もおり、帰宅後も気が休まらない。「親までケアしなくてはならないケースもあり、やることは際限なくある。この状況を自分たちで改善しないと」と危惧する。

  名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「出退勤時間が管理されず、休憩も取れず、残業代が支払われない学校は過重労働の無法地帯。教師と保護者、世間が、労働者としての教師の立場を意識し、学校内の働き方改革を進めることが急務だ」と話す。

  <教師の長時間労働> 公立小中学校教諭を対象とした文部科学省の2016年度調査では、中学校教諭の57・7%、小学校教諭の33・5%の残業時間が、「過労死ライン」のおおよその目安とされる月80時間を超えていた。平日の平均勤務時間は11時間超で、さらに部活動の指導などで休日出勤も多いためとみられる。中学校の土日の部活動の指導時間は10年前より64分、長かった。
                                 【以上、引用終わり】

2017-05-08 「戦前回帰」怒り湧く

 三重県歴教協元委員長山口謙次さんが  中日新聞インタビューで語る



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 5月5日付中日新聞社会面に三重県歴教協 (三重県歴史教育者協議会)元委員長の山口謙次さんが登場しました。以下、引用します。

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<理念はいま 憲法施行70年> (3)教育勅語 
◆「戦前回帰」怒り湧く
 
 最近、80年ほど前の光景が、しきりにまぶたに浮かぶようになった。
 意味の分からない文章を、繰り返し読み聞かせる祖父母。社(やしろ)の前で、立ち止まっては深々と頭を下げる子どもたち…。

  津市緑が丘の元中学校教諭、山口謙次さん(88)に遠い記憶をよみがえらせたのは、戦前の「教育勅語」だ。安倍政権は四月、道徳などで教材として使うことを「否定しない」と表明。稲田朋美防衛相は「親孝行などの核の部分は取り戻すべきだ」と発言した。テレビや新聞の報道に触れるたび、山口さんは、ぞくりとした。

  父の転勤に伴い、幼い頃に転校したどの学校も、教室に天皇の御真影(ごしんえい)を掲げていた。校門脇には、御真影と教育勅語の写しを納めた奉安殿。登下校の際に最敬礼を怠ると、見張りの上級生に殴られた。

 「朕惟フニ(ちんおもうに)…」。学校でも家でも、教育勅語を「奉読(ほうどく)」して暗記した。教師は天皇を神とあがめ、敵陣で自爆した日本兵をたたえた。山口さんの夢は「壮絶に戦死する兵士」になることだった。

 旧制津中学(現津高)の生徒だった1945(昭和20)年の夏に終戦。しかし、頭にたたき込まれた教育勅語の呪縛は、簡単には解けなかったという。

  翌年11月に現憲法が公布されたが、一条の「天皇は日本国の象徴」、九条の「戦争の放棄」の意味が、当時の山口さんには唐突で理解できなかった。48年6月には、国会が教育勅語の排除・失効を決議。しかし心の中でわだかまりが消えていったのは、中学校教諭になって以降だ。

  歴史の授業を受け持ち、津の戦災調査を始めた。焼夷(しょうい)弾のかけらや焼けた建物の一部を収集。空襲の死者1300人以上の名前を確認する作業を通じ、戦争の悲惨さを改めて実感した。戦時体験を語り、「戦争展」を市内で開いた。

  山口さんの教員生活は、戦後民主主義のもとで不戦を誓い、戦前・戦中への反省から平和教育を実践していった日本社会の歩みと重なり合う。

  しかし山口さんの心の中で近年、違和感のようなものが膨らんでいた。
 2006年、改正教育基本法に「愛国心」の理念が盛り込まれた。2014年には、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を閣議決定。そして今回の、政府による教育勅語の再評価だ。

  政府は、教材使用について「憲法や教育基本法に反しない形で」と強調するが、名古屋学院大の飯島滋明(しげあき)教授(憲法学)は「教育勅語は主権在君の考えに基づき、国民主権の現憲法にそぐわない」と指摘する。
 
  足腰が弱くなり、「語り部」から身を引いた山口さん。戦争展も後進に託した。「戦前回帰」と感じる一連の動きに「犠牲者が忘れ去られていくようで怒りが湧いてくる」。

  70年前、清新すぎて戸惑った現憲法を、今は、かけがえのない存在と感じる。「私は天皇、国家に尽くすことだけを考える『臣民』でした。それが、基本的人権をもつ『個人』になれたのですから」
       
 <教育勅語>
  正式名は「教育ニ関スル勅語」。大日本帝国憲法公布の翌1890年、明治天皇の名で発布され、教育の根本理念とされた。12の徳目の中に「危急の時には、一身を捧(ささ)げて皇室国家のために尽くせ」との内容があることなどから、戦前・戦中の軍国主義教育に利用されたとされる。終戦後の1948年6月、衆院は「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている」として排除を決議。参院も失効を確認した。 
     
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   以上、中日新聞2017年5月5日付より引用しました