苔・こけ



結へる紐 解かむ日遠み 敷栲(しきたへ)の わが木枕(こまくら)は 蘿(こけ)生(む)しにけり


                        万葉集 巻11−2630



あの人が結んでくれたこの紐を解くのは遠い先なので
私の木の枕には苔が生えてしまいました



古代、男女が旅などで別れ別れになる時に、お互いの下着の紐を結び合い
次に会って相手に解いてもらうまでは身に着けたままにしておく、という習わしがありました。


           *          *           *


今日の苔のお庭は、鎌倉扇ヶ谷(おおぎがやつ)の奥まった所にある海蔵寺です。
此処は、いつ訪れても手入れの行き届いた清々しい佇まいのお寺で、境内には本堂、
簡素な薬師堂、鐘楼、そしてどっしりした茅葺屋根の庫裡があり、四季折々に清楚な花が咲き
静かで心が安らぐので、ちょくちょくお邪魔させて頂く、鎌倉で私が一番好きなお寺です。
本堂の裏手には、山の斜面を巧みに利用した美しい回遊式庭園があって、こちらは非公開ですが、お堂の脇の大きな『やぐら』の前から垣間見ることができ、この日も植木屋さんがが入って作業している姿がありました。
ご住職と植木屋さんが、長い時間と手間をかけて造りあげたお庭なのだそうです。



 


 


 



『鎌倉 海蔵寺』のアルバムをスライドショーにしました。26枚で5分弱かかります。
ご興味がありましたらご覧下さいませ。
こちらからどうぞ。
デジブックの表示方法が少し変わったようです。私は以前の形の方が好きなのですが・・・