ゆり




  吾妹子(わぎもこ)が 家の垣内(かきつ)の 小百合花(さゆりばな)
                      後(ゆり)とし云はば 不欲(いな)とふに似む

          紀朝臣豊河(とよかは) 万葉集 巻8−1503



あなたの家に咲いている百合の花ではないけれど、後(ゆり)、あとでね、とおっしゃるのは、嫌と云うのと同じことですよ。



この歌の作者は、愛する女性にやんわりと、『だめ!(嫌よ)』 と断られちゃったみたいですね(笑)
子供の頃、『みぃちゃん、遊びましょ』 とお友達が家へ誘いにきて、たまたま都合の悪い時は 『あ〜と〜で〜』 と返事をするのが常でした。これは 『今は遊べないの』 という断りの意味で、当時の横浜の女の子たちは皆そうしていたように思います。この歌を読んで、昔を懐かしく思い出したのでした。



              ☆            ☆            ☆



7月1日に湿生花園のササユリを見に行きました。
下田の寝姿山には800株のササユリが咲くそうなので、本当はそちらを見に行く予定だったのですが、急に暑さが厳しくなって 『これは敵わん!』 と少しでも涼しい所へと方向転換です。
林の中に、ほんの数株が楚々とした風情で咲いておりました。『意外に白っぽい花なのね』 が初めて出会った感想です。自生地に咲く本来の容姿を見たいものです。
 

 

 



こちらはヒメサユリ。6月9日、湿生花園にて。
 

 



7月1日、ヒメユリも一輪咲いていました。
夏の野の 繁(しげ)みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ



暑さ厳しい折、皆さまお健やかにお過ごし下さいませ。
ではまた 後(ゆり)にも・・・



カノコユリコオニユリヤマユリ、追加しました。