楮(こうぞ)  万葉名 たく



𣑥繩(たくなは)の 永き命を 欲りしくは 絶えずて人を 見まく欲れこそ


   万葉集 巻4−704  巫部麻蘇娘子(かむなぎべのまそをとめ)



𣑥繩のように長い命を欲したのは、絶えずあなたを見たいと思えばこそです。


 𣑥繩とはコウゾでなった縄のことです。

コウゾ(楮)はクワ科の落葉低木。
𣑥はコウゾの繊維で織った布を意味するそうです。



いつも通る道の崖の中程に桑の木が多く生えている場所があります。
この日も通りがかりに「熟した桑の実があるかしら」と見やりますと、何やら丸くて赤いものが目に入りました。
おや、桑の木に違う実が生ってる、と目をパチクリ。 色も形も大きさも木苺に似た実です。
葉っぱは桑に見えるけど・・・もしかしてコウゾ? こんなところに?
帰って図鑑で調べましたら、確かにこれはコウゾの実なのでした。
植物園に行かなければ見られないと思っていた植物が、こんな道端にさりげなく存在していたなんて。
赤い実を一粒つまんで食べてみました。甘くて少し生臭く感じました。
図鑑によりますと、春には葉の伸びるのと同時に繊細な花が咲くとのこと。次の春にはぜひ見たいものです。




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この日は6月14日。
神奈川歯科大学ジャカランダがそろそろ見頃かもしれない、と見に出かけました。
三度目の正直? 中々見事、ようやく花盛りのジャカランダに出会いました。
桐の花に似てやや小振り、紫がかった青がとても綺麗です。 この南国の花、日本の梅雨空に似合うかも。
初めてここを訪れた時、三浦半島のある町の関係者の方がお一人熱心に見ていらして
「できればジャカランダの並木道をつくれないかと見学に来たんです」と仰ってましたっけ。
その後、この計画はどうなったのか気になります。何時の日か素敵なジャカランダ並木が出来ますように。



ヴェルニー公園のバラはそろそろお仕舞いです。