かきつはた




常ならぬ 人國山の 秋津野(あきづの)の 杜若(かきつはた)をし 夢(いめ)に見るかも



                           万葉集 巻7−1345



    人国山のあたりの秋津野の、たおやかに咲くかきつばたを夢に見たのです。







18日、福島県いわき市にある、願成寺 白水阿弥陀堂を拝観して参りました。
天気予報と睨めっこして、やや安定したお天気が二、三日続く様子に、行くなら今でしょ、と老夫婦のお出かけです。
事前に阿弥陀堂の案内をあれこれ調べますと、ここの浄土庭園の夏の古代ハス、秋の紅葉の情報ばかり。
でもって花は期待せずに行ったらば、なんと! カキツバタが美しく池の畔を彩っているではありませんか♪
5月もこんなに綺麗な花が咲くのに、何で宣伝しないのかなぁ? 勿体ないなぁ。


国宝に指定された簡素な阿弥陀堂には、阿弥陀三尊像と持国天多聞天
ようやくお会いできました〜と阿弥陀さんをしげしげ眺めておりますと
「はい、ではここでご説明いたします」 と突然声が!
おや、お堂の隅にお坊様が座っていらっしゃる。暗くて気が付かなかった。
藤原清衡の娘 徳姫が、岩城国守 岩城則道に嫁ぎ、永暦元年(1160)3月この地に願成寺を建立。
夫の没後、冥福を祈って阿弥陀堂を建て浄土式庭園を造ったこと。、
お堂の造りや、華やかだった装飾のこと、仏像のこと、奥州平泉の泉の字を分けて白水という地名になったこと
など簡単に話して下さったのでした。


阿弥陀堂を辞して浄土庭園を廻っているうちに、俄かに雷雲が空を覆いゴロゴロと鳴り始め、雨もぽつりと落ちてきました。
朝の天気予報では所により雷雨と云っていましたから仕方ないのですが、何もこんな時に予報当たらなくてもいいのに。
次第に雨は激しくなり、本坊や山の坊のお参りは諦めてバス停の時刻表を見たら、次のバスは1時間後。ゲ! そんな!!
雨宿りする場所も無さそうだし、どうしよう・・・と顔を見合わせていると、奇跡的に空のタクシーが通りかかりました。
これも阿弥陀さまのお引き合わせでしょうか。南無阿弥陀仏・・・