巳年を迎えて

 初日の出が辺りを照らしたのは7時近く、
でも我が家に「明けましておめでとうございます」の挨拶はありません。
「おはようございます」といつも通りの朝が始まります。
昨日作りおいた野菜中心の煮物、揚物、酢の物などを
器に盛り付けます。そして母達にもお供えを。
空は碧々と澄んで、陽光が部屋の奥まで差し込みます。
庭に残る紅が、辺りを明るくしています。

心に寂しさは宿ったままですけれど、沈んでいるのを
母が喜ぶはずがありません。
弟夫妻と電話で「元気を出しましょうね」と励まし合いました。
母が旅立ってまだ一か月足らず、
皆の心に安らぎが戻るのには、もう少し時の助けが
必要なのでしょうけれど。


 昨夜はボストンの娘たちと年越しそばを一緒に食べました。
Skypeを通じてですが。
午後はやきものに費やしました。
釉薬の整理と母と約束した菓子器の本焼きとに。
弁柄で梅を描き、志野釉薬をたっぷりかけて窯入れしました。
焼き上りは夜中になるでしょうか。


 来客も新年会も無い元旦の何と静かなこと、
長閑ですけれど、何か手持無沙汰、
夕食の後に珍しく息子達と映画を観ました。On Demandで。
タイトルは「素敵な金縛り」あまり観たことのないコメディでした。


 いつしか夜が更けて11時を回りました。
窯の様子を見に外に出ると、月が煌々としています。
明日もきっと晴天なのでしょう。
9時間をかけた本焼きが、ようやく終了です。