雨の霜月入り

 秋の代名詞のような青空の日は、実際にはさほど多くは無くて、
ひどく寒い曇り空やしとしと雨の重い空という日もしばしば、
ここしばらくは雨の予報です。三連休というのに。


 でも私の心は軽やかです。
家族は皆元気、私も幾つかの懸念は皆払拭されて、いたって元気、
歩くのが遅くなった、片付けのテンポが遅くなった等々、
あれこれ変化はありますものの。


 今年もあと二か月、月日の流れは、あれよあれよという間です。
いろいろなことがあったようで、過ぎてみれば
いずれも大したことではなかったような、
要するに平穏無事ということ、有難いことです。


 先月末、一年ぶりに高鶴元先生にお目にかかりました。
恒例の新宿小田急デパートでの先生の個展の会場で。
ニューイングランドの風 XI 2014、
このシリーズがもう十一回目と気付けば、
改めてその年月の長さと時の過ぎる速さとに驚きます。
それなのに先生は少しもお変わりないどころが、
お会いする度、お若くなるような印象です。
おたよりに、お住まいの周辺に生きる動物たち、フクロウ、リス、
ウッドチャック、野ウサギ、カナディアンギース、ワイルド・ターキー
などと先生との微笑ましい交流の様子を綴っていらっしゃいました
けれど、
この度は、その動物たちをモチーフにした沢山の作品を拝見しました。
昨年、少しブルー系統に焦点を移されたかの印象を受けましたけれど、
今回は、会場に入った途端に赤の鮮烈さが、目に印象的でした。
Kozuru Redと言われる、とても鮮やかな赤です。
最初の一作、オブジェを撮った後に、

カメラが故障してしまい、動物たちを配した花入や
さまざまな仕草の動物たちの造形を寫せなかったのが、
如何にも残念です。
そう言えば、入り口の赤と紺のオブジェは、
当日の先生の出で立ち、赤いシャツと紺のブレザーそのままでした。
2年前からお願いしていた黒のマグカップを長男のために頂いて、
良いお土産も出来ました。私ピンク、次男紺と揃いながら、
長男用の黒だけが、今までお作の中に見当たらなかったのです。


 念入りにお作を拝見した後に、先生、奥様、私と同行した義妹4人で
暫く歓談の時間も頂けて、
先生の歯に衣着せぬ、忌憚のない日本論を拝聴、
笑い転げる場面もしばしばでした。
心にエネルギーを注ぎ込んで頂くのは毎回のこと、
この度は、期間二日目ということもあって、お客様がまだ少なく、
私達に取ってはまことにラッキーな訪問となりました。


 会場に伺う前には、ゆっくり拝見するためのお腹拵えも
完璧に済ませました。
なだ万で「楓色つくし御膳」を。





 心もお腹も大満足して、座り込んだ電車の中では
殆ど夢見心地、眠るでもなく目覚めるでもなく、
ただ、ゆるゆると揺られておりました。