ベルゴット

語り手が最初に作家ベルゴットの名を聞いたのは、年長の友人、ユダヤ系フランス人ブロックからだった。そして、ある日曜日、庭でベルゴットの本を読んでいると語り手の家を訪ねてきたスワンに声をかけられ、ベルゴットの作品を語り手に話したのは誰ですか、と訊ねられてブロックですと答えると、スワンは『ああ、あの少年ですか、ベルリーニの描いたマホメッド二世の肖像画にそっくりの。』と言うのだった。そしてスワンは語り手に『作家ベルゴットは良く知っています。何ならサインを貰ってあげましょうか?』と言うのだった。

ブロック

語り手に作家ベルゴットの作品を紹介してくれた年上の友人はユダヤ系フランス人のブロックだった。ブロックは語り手の父に、『ブロック君、雨、降っていましたか?』と訊ねられて、『雨が降ったかどうかは、まったく申し上げられませんね。ぼくは断然、形而下的偶発事の枠外で生きることを決めましたので、感覚もそんな偶発事をぼくに知らせる労をとろうとしないのです。』と答えるような若者で、語り手の年長のユダヤ人の友人で、かなり裕福、というほどではなかった。

メゼグリーズの散歩道

コンブレーの家から散歩に出るのには二つの方角があって、一つの方向はやや起伏に富んだショート・コースで“メゼグリーズの散歩道”、あるいはスワン家の前を通るので“スワン家の方”とも呼ばれていた。もう一方の散歩道はヴィヴォンヌ川http://presqueparadis.jp/illiers_combray/riviere1.htmという小川の流れに沿ったかなりのロング・コースで、あのゲルマントの館に行き渡ることから“ゲルマントの方”と呼ばれていた。

タンソンヴィル

タンソンヴィルのスワン家の方のバラ色のサンザシhttp://www.ne.jp/asahi/sing/song/3stars/A-Wien/index2.htm
http://homepage1.nifty.com/s-ozeki/benibana_sanzashi.htmからは、スワンの娘ジルベルトの匂いがするのだった。