春の低地山野草 2


きのうのお昼からほとんど24時間降り続いた雨がやっと上がった。南側の雨戸が相当雨に打たれていた。南からの暖かな空気が流れて来たようだ。「花冷え」を呼び込む雨どころか「開花呼び込み」の雨だったようだ。おとといは、冬の姿に近かった四つ池南の道路沿いの桜並木が、この暖かな雨でいっきに春の姿に変身した。


四つ池の土手の上の桜並木は、もうどこに出しても恥ずかしくない立派な見頃を迎えた。きのうは入学式が多かった。入社式もあった。花盛りの桜のもとで人生の新しいスタートを切った人たちも多かっただろう。やはり、日本人と桜は切っても切れない縁がある。


きのうから米ジョージア州オーガスタでゴルフ四大大会のひとつマスターズが始まった。ここのゴルフ場は人の手を加えて作り上げられた最高のゴルフ場と云われる。テレビ観戦していても実に美しい。四大大会のもう一つ全英オープンはそれとは対照的に、ゴルフの歴史的な原点に立ち返った、人の手を加えない「あるがままの自然の状態」を残したリンクスコース(海岸にあるコース)に限定して行われる。人工、自然のまま それぞれに良さとか価値がある。



カタクリの花は足助の飯盛山や岡崎の奥殿陣屋でなどで、人の手によって手を加えられた観賞用のものを何度か見たことがある。足助のものは規模が大きく見事だ。この写真は「あるがままの状態」自生のものだ。「美しさ、雄大さに対する感動」は人工のもの、「希少価値に対する畏敬の念」は自生のものといったところではないだろうか。


カタクリのプロフィール。3月下旬から4月上旬に開花。ピンク色の花が下向きに咲く。花は陽のあたるときのみ開く。種子が地中に入ってから平均8年目で2枚の葉を出して開花。花のあと、5月頃に葉も枯れたあとは翌年の3月頃まで、球根のまま休眠する。3月29日誕生日の花。




花ダイコン。早春に淡い紅紫色の花をいっぱい咲かせる花ダイコン。こぼれ種で増えるせいだろうか、段々畑の土手いっぱいに点々と咲いている。開花時期は3月上旬から5月下旬。名前の由来は大根の花に似ているかららしいが、スミレの花にも似ている。ただ、背丈はスミレよりかなり高い。



春蘭。3月上旬から4月上旬に山野に生える。花は葉と同じような色なのであまり目立たない。土筆(つくし)のようにひょろひょろと茎を伸ばしてくる。「春に咲く蘭」から春蘭のネーミング。




藪椿。「椿」の仲間は、200種を越える園芸品種があるせいか見慣れているので、余り珍しいとは思われないが、日本に自生している野生種はこのヤブツバキと、その変種とされるユキツバキとヤクシマツバキの3種だけといわれる。人里から離れたこんな山中に園芸種が植えられているはずがない。樹高1.5mくらい。なぜか、一輪しか花が咲いてない。一輪だけのせいか非常に鮮やかな色だ。


温室育ちの園芸種とは違って、厳しい自然環境の中で生きぬいて来て、われわれの五感に刺激をもたらせてくれる自生種の草木たちには畏敬の念を禁じ得ない。