ヨスガノソラ 第11話「ソラメクフタリ」

奈緒と悠のデート、家に一人で居残る穹のクロスカッティングが非常に良い。穹の自慰を反芻して顔を曇らせる悠の、その行動の暴力性が浮き彫りになり、さらに現在時制の穹の行動がクロスされている。前回、悠が奈緒と手を繋がないという話をしたが、11話では「奈緒と手を繋ぐこと」に暴力的な意味が見いだせる。「奈緒とともに前へ進もう」と心のなかで呟いていることの、その意味がいかに暴力的なことか、客観視点からまざまざと見せつけられた。「ねぇ、私のこと、好き?」と問いかけてくる奈緒の涙が切実だ。
さらにそれと、穹の病的な行動(奈緒の匂いを消すために悠の服をすべて洗濯する)が並行している。(Aパート冒頭、悠のメモを前にして、穹の指が震えている描写も細やかで良い)。悠と穹がそれぞれ一人の時に見せる行動を基に、悠が帰宅してからは再び「兄として」「家族なんだから」という茶番に満ちた会話が広げられる。


悠と穹は共通して、対外的な関係を取り繕い、自分ひとりの世界を持っている、ということが第10話で描かれていた。悠が穹の世界に触れる、そのショックを引きずったまま、しかしなおも茶番劇は続いていたが、Bパートでその均衡が自然な形で崩れることになる。悠はなおも嘘を重ね、対外的な関係を気にするが、穹はもはや(奈緒へのあてつけ、という意味合いもあるが)「人の視線」を気にすることはなくなる。悠が他の女の子とくっついている脇で、11話に到るまで、穹は待たされ続けていたのだから、それも当然か。
悠と穹、二人の仲の異変に踏み込んでいくのが梢というのも面白い。ついに「自分の番が回ってこなかった」梢が、である。
次週、梢と奈緒にセックスを見られて、悠は顔面蒼白だろうが、果たして穹は取り乱すだろうか。そうではなく、勝ち誇ったような笑みを浮かべるんじゃないだろうか、と個人的には思っている。


Bパート、悠と穹の最初のセックスの後、穹の誘惑に従って二人の仲がエスカレートする。悠は自分と穹との関係について悩むものの、それが解消されることもなく、穹に引きずられて歯止めが利かなくなってゆく。そういった危うさと緊張感が素晴らしかった。