世界ジュニア2016 ペアFS

世界ジュニア2016 リザルト
2016年の世界ジュニア選手権は、ハンガリーデブレツェン、フェニックス・アリーナで開催された。
ペアのフリー・スケーティングは、現地時間で3月17日(金)に行われた。

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Jスポーツの解説は岡部由起子さん、実況は小林千鶴さん。
千鶴さんから残念なお知らせが。SP13位のカナダのペアが、女性の怪我でFSを棄権することになったそうだ。SPで明らかに動きがぎこちなかったもんなー。くれぐれもおだいじに。

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●第1グループ
4 Joy WEINBERG / Maximiliano FERNANDEZ(アメリカ)

  • SP順位:10,得点:47.54
  • 楽曲:海賊

トリプルツイストの着氷で女性が足を付いたり、スロー3Sで女性が両足着氷、スロー2Loで女性がお手つき、2Loで女性がシングルになったりと、ミスはいくつか出てしまったが、岡部さんが指摘していたように、最後までスピードが落ちなくてよかった。
前半の音楽の伸びやかな曲想をよく表せていたし、後半でリズムが軽快になり、どんどん盛り上がっていく部分は、動きのユニゾンがとても合っていて、素敵だったわ〜。特にソロスピンはぴったりそろっていて気持ちよかった。
今季組んだばかりなのに、ペアの醍醐味、ユニゾンがいいペアなので、どうか忍耐強く続けてほしい。アメリカの組はあっさり解散するイメージがあるから、心配なんだよな〜(汗)。
フリー88.17、総合135.71で、FSは自己ベスト更新!

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●第2グループ
7 Justine BRASSEUR / Mathieu OSTIGUY(カナダ)

  • SP順位:9,得点:48.08
  • 楽曲:アラビア,わが心のアランフェス,ドナ・ジュリア

初出場の14歳と19歳。ジュニアの国内選手権4位、ユースオリンピック4位。
男性が2つのソロジャンプの着氷でミスしたり、ダブルツイストの高さがいまいちだったりしたが、ソロジャンプ以外は大きなミスはなく、スロージャンプも両方成功させていた。
岡部さんいわく、「後半のコリオのあと、スピードがガクッと落ちて、疲れが見えた」。
フリー90.59、総合138.67。

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●第3グループ
8 Lindsay WEINSTEIN / Jacob SIMON(アメリカ)

  • SP順位:8,得点:48.75
  • 楽曲:映画「アメリカ物語」より

スロー3Sで女性が足を付いたり、ソロスピンで男性が少しトラベリングしたり、スロー3Loで転倒したりと、ミスもあったが、今自分たちにできることを着実に実施しているといった演技だった。音楽表現もなかなか素敵だったし、作品としてまとまりを感じた。
岡部さんいわく、「雰囲気のある二人で、最初から最後まで物語を感じさせた。特に女性の動きがクリーンでよかった」。
フリー88.83、総合137.58で、SPもFSも自己ベスト更新!!

9 Bryn HOFFMAN / Bryce CHUDAK(カナダ)

2Aの予定で、男性がシングル、女性が着氷で乱れ、スロー3Fで女性が転倒、スロー3Loで転倒と、大きなミスが出てしまったが、二人のラインやポジションが美しく、二人で滑っているのが様になるペアだなぁと思って見ていた。
岡部さんいわく、「前半はとてもよく体が動いていたが、後半ガクッと疲れが出てきたかなと。特に男性の足元がおぼつかない感じだった」。転倒が2回もあったからなー、疲れちゃったんだろうなー。
フリー85.92、総合138.12。

10 Chelsea LIU / Brian JOHNSON(アメリカ)

2A+2Tで女性が2Aで転倒、ペアスピンで少しトラベリング、ソロスピンで女性がキャメル・ポジションを取れなかったり、スロー3Sで転倒したりと、ミスがいくつか出た。加えて、トランジションでぎこちない動きがあったり、フリーレッグを上げたときに、足がそろってなくて惜しいなぁと思う部分も。だが、半面、いいなぁと感じる部分もたくさんあった。
例えば、コリオシークエンスの振付は工夫が凝らされていて、目を見張るような動きがあり、素敵だったし、最後のリフトは下ろし方が独創的でかっこよかった。
個人的に、「素晴らしい!!」と興奮するところと、「…あれれ?」と首をかしげるところが混在しているなーという印象を受けた。
フリー93.61、総合147.73で、SPもFSも自己ベスト更新!! でも、選手たちは浮かない顔。練習ではもっと上手にできてるんだろうな。

11 Bianca MANACORDA / Niccolo MACII(イタリア)

  • SP順位:7,得点:49.80
  • 楽曲:映画「ゴッド・ファーザー」より

イタリアのペアが「ゴッド・ファーザー」とは! 明らかに狙ってるな〜(笑)。個人的にはベテラン選手に人生の悲哀を深〜く渋〜く表現してほしい曲なんだけど、なぜか若い選手に使われがちな印象がある。ま、素敵な旋律がたくさんあるから、誰が使っても滑りがいがあるだろうなとは思うけども。
演技の冒頭で、岡部さんから「このペアは、男性がとても演技をするので、そこを注目してほしい」と。
トリプルツイストで、空中のキャッチが遅れたり、2Fで男性の着氷が乱れたり、ペアスピンで男性がトラベリングしたり、2F+2Tで男性が1Tになったりと、男性のミスが続いたせいか、演技終了後、男性が特にガッカリしているようだった。
中盤で、女性が男性を平手打ちする振付があるのだが、あそこはもっと、大げさなくらい大きな身振りでやった方が。あれじゃ現地で見ている観客には伝わりにくいのではないか。わたしは小芝居が大好物なので、どんどんやってほしい(笑)。
フリー91.96、総合141.76で、SPもFSも自己ベスト更新!!
トップ10入り決定で目標達成! 選手たちが喜んでる〜。よかったね〜。
現時点でトップはアメリカのリュウ&ジョンソン。

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●グループ4
12 Anastasia MISHINA / Vladislav MIRZOEV(ロシア)

  • SP順位:2,得点:59.50
  • 楽曲:Attention Mesdames et Messieurs by Michel Fugain, La vie en rose performed by Andrea Bocelli feat. Edith Piaf

3T+2T+1Loは多分最後のジャンプは2Loの予定だったんだろうなー。二人の跳ぶタイミングが多少ズレてしまった。でもミスらしいミスはそれくらい。SP同様、要素の質がジュニアの中では抜きん出てるなーという感じ。
だがしかしだがしかし。このプログラム、編曲がヘンだよー。実況陣も指摘していたように、特に最初のパートは、どういう意図の選曲なのか謎すぎる。そこが気になって、プログラムにいまいち集中できなかった(汗)。
フリー113.10、総合172.60で、SPもFSも自己ベスト更新!! 現時点で総合1位。
これまでの組とは桁が違う得点が出た!! 千鶴さんによると、これまでのフリーのPBは83点だったらしいから、30点も上がってる!! なんと目覚ましい成長よ。

13 Anna DUSKOVA / Martin BIDAR(チェコ

  • SP順位:1,得点:64.71
  • 楽曲:La leyenda del beso, ある恋の物語

3Tで跳ぶタイミングが少しずれたり、2A+2T+2Tで男性が最後のジャンプの後、ちょいバランスを崩したり、ペアスピンで男性がトラベリングしたりとか、小さなミスはあったが、岡部さんが指摘していたように、二人ともディープエッジで滑っていた。SPでも感じたことだが、やはり今大会出場ペアの中では、別格の滑りである。
演技が終わってすぐ、男性が疲れたのか、氷上に崩れ落ちるように座り込んでしまった(笑)。
実況陣は何も言ってなかったけど、「ある恋の物語」を使ってるのに、マンボっぽい振付がなかったなーという印象を受けた。「La leyenda del beso」を反映しているわけでもなさそう。振付と音楽の関連性があまり感じられないのは残念だった。
フリー117.11、総合181.82で、SPもFSも自己ベスト更新!! 現時点で総合1位。

14 Ekaterina BORISOVA / Dmitry SOPOT(ロシア)

  • SP順位:4,得点:58.56
  • 楽曲:映画「アラビアのローレンス」

「忍耐勝」組(笑)は、フリーでは「アラビアのローレンス」を、アラビア風じゃないけど、ま、フィギュアスケート的には、よく見るタイプのまっとうな衣装で滑っていた。
ミスと言えば、2T+2Tの着氷で女性がバランスを崩したくらいで、ほぼクリーンな演技だった。
プロトコルを見ると、PCSのSSは、チェコの組より上でトップなんだな。
岡部さんいわく、「ユニゾンがまだまだぴたっと合ってこない。二人のシングル・スケーターが滑っているという感じ」。おお、手厳しい。でも、バイオを見ると、組んで間もないようなので、これから一緒に練習していけば、良くなっていくはず。16歳と17歳で、あと数年はジュニアでやれるんだし、焦らず頑張ってほしい。
フリー110.44、総合169.00。現時点で総合3位。

15 Renata OGANESIAN / Mark BARDEI(ウクライナ

二人ともゴシック調の衣装が似合っていて素敵☆ 特に女性は、レースのフリルをたくさんあしらったスカートで、めっちゃかわいい☆
3Sの着氷で男性が乱れる、2A+2Aのシークエンスで、女性が間にターンが入って2A+SEQになる、トリプルツイストは高さがあったがキャッチがうまくいかない、スロー3Loとスロー3Sで女性がステップアウト、ソロスピンで回転が合わず&トラベリング、ペアスピンで回転が遅くなる…等々、ミスが目立つ出来となってしまった。
岡部さんが言ってたように、本来はもっとできるんだろう。二人ともガッカリしてる…(泣)。やっぱ、表彰台へのプレッシャーがあったかなぁ。
フリー95.78、総合155.08で、総合得点は自己ベスト更新! でも選手たちの表情は浮かないまま。総合4位。メダルほしかったよね…。

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ペアの総合順位は下記のとおり。総合順位、名前、国名、得点、SP順位、FS順位の順に記されている。

  1. Anna DUSKOVA / Martin BIDAR CZE 181.82 1 1
  2. Anastasia MISHINA / Vladislav MIRZOEV RUS 172.60 2 2
  3. Ekaterina BORISOVA / Dmitry SOPOT RUS 169.00 4 3
  4. Renata OGANESIAN / Mark BARDEI UKR 155.08 3 4
  5. Chelsea LIU / Brian JOHNSON USA 147.73 5 5
  6. Bianca MANACORDA / Niccolo MACII ITA 141.76 7 6
  7. Justine BRASSEUR / Mathieu OSTIGUY CAN 138.67 9 7
  8. Bryn HOFFMAN / Bryce CHUDAK CAN 138.12 6 10
  9. Lindsay WEINSTEIN / Jacob SIMON USA 137.58 8 8
  10. Joy WEINBERG / Maximiliano FERNANDEZ USA 135.71 10 9
  11. Anastasia GUBANOVA / Alexei SINTSOV RUS 123.90 11 11
  12. Chloe CURTIN / Steven ADCOCK GBR 112.68 12 13
  13. Yumeng GAO / Bowen LI CHN 112.56 14 12
  14. Ekaterina KHOKHLOVA / Abish BAYTKANOV KAZ 95.31 15 14

WD Hope MCLEAN / Trennt MICHAUD CAN 13

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◆来季の枠

アメリカとカナダは枠を1つ減らしてしまった。アメリカはあともう1つ上の順位だったら3枠確保できたのになぁ。カナダはジュニアの国内チャンピオンがフリー棄権したけど、その分他の2組が頑張ったよ。来年また頑張れ。
その代わりウクライナとイタリアが2枠に増えた。ウクライナは他にペアがいるかどうか分からないが、イタリアの組は2枠を目標としていたので、きっと国内に他の組がいるんだろう。ミニマムスコアをクリアして、来年2組出場できるといいね。

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◆総評
優勝のドゥシュ&ビダは、チェコで初めての世界ジュニアチャンピオンとなった。歴史を作りましたね! 本当におめでとう!
来季はシニアに上がるかな? シーズン前半はジュニアGPに出るかもしれないけど、ユーロには出るよね? 出るよね? だって来年のユーロはチェコでやるんだもん!! 彼らならシニアでも立派にやっていけると思うので、母国開催の大舞台で演技が見られるのが楽しみでならない。
2位と3位はロシア。「さすがペア大国ロシア!」という結果だが、千鶴さんによると、世界ジュニアでロシアはしばらく金メダルを獲得できてないらしい。意外な気がしたけど、思い返してみれば、確かにここのところ中国ペアがずーっと優勝してたもんな。
その反動なのか何なのか、今大会の中国ペアは振るわなかったもよう。2枠以上あったと思うのだが、1組しか出場していないし、ちょっと心配である。
今大会では、新しいペアがたくさん出てきて嬉しかったなぁ。イタリアやイギリスのペアも素敵だった。ロシアや中国、北米以外の国からチャンピオンが生まれたことも嬉しい。
上位ペアの多くは、来年も世界ジュニアに出場できる年齢なので、さらにレベルアップした戦いが見られそう〜。楽しみ〜。来年こそは日本からも出場できますように。