ユーロ2017 ペアSP

ユーロ2017 リザルト
ペアSPは、現地時間2017年1月25日(水)に行われた。上位16組までがFSに進出できる。
今年はJスポーツで、全組の放送してくれるんだよね〜☆ ありがたやありがたや〜☆ 解説は杉田秀男さん、実況は小林千鶴さん。特に印象に残った組の演技について、滑走順に感想を書いている。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。

  • ◎:何度でも見たい。
  • ○:よかった。好き。
  • △:悪くない。まずまず。
  • ×:イマイチ。
  • ?:何とも判断が付きかねる。
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●第3グループ
9 ゾーイ・ジョーンズ / クリストファー・ボヤジ(イギリス)

  • 楽曲:Malaguena by Ernesto Lecuona
  • プログラム:△

初出場。2016年6月に結成。女性は37歳で、2001年に引退したが、2014年に復帰。女子シングル出身で、ペアは今季から始めたとのこと。男性は26歳のフランス出身で、昨季まで別のパートナーと組んでいた。今季、国内選手権優勝。
3Tは女性が手をついた。スロー3Fはクリーンに着氷。FCCoSp4は足替えのタイミングがズレてしまった。
男性は前がはだけちゃった(///)。10人中3人のジャッジが違反をとったけど、過半は超えてないので大丈夫。…ま、わざとじゃないですしね。
女性がペアを始めてまだ1年目なんて信じられない。リフトも難しいのやってるし、デススパイラルも回転は少ないけど弓なり姿勢が美しい。ユニゾンも悪くない。
杉田さんも、「チャレンジする姿勢がすばらしい」と称賛していた。
52.32で自己ベスト更新。

10 ナタリア・ザビアコ / アレクサンドル・エンベルト(ロシア)

  • 楽曲:Snowstorm by Georgi Sviridov
  • プログラム:△

初出場。昨季、国内選手権5位。今季、GPファイナル4位、国内選手権3位。
クリーンでスムーズな演技だった。これまでの組とはレベルが違う感じ。
…一つ一つの動きはとっても美しいし、要素の質は高いし、プログラムの流れも良いのに、どうしてこうもまぁ心に訴えかけるものがないのか。GPのころは、これから先、滑りこんでいけば良くなるかなと期待していたのだが、「感情の表出」面に関してだけはあまり変化がない。でもま、ジャッジの評価は高まるばかりだし、わたしにだけ訴えかけないのかも。
72.38で自己ベスト更新。

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●第4グループ
11 ヴァレンティナ・マルケイ / オンドレイ・ホタレク(イタリア)

  • 楽曲:Seven Nation Army by Jack White
  • プログラム:△

3年連続3度目の出場。昨季、国内選手権2位、ユーロ5位、ワールド14位。今季、GPスケアメ8位、GPロステレ4位、国内選手権2位。男性はチェコ出身。
3Sは跳ぶタイミングがズレた。3Tw1はキャッチから着氷の流れがスムーズじゃなかったかも。FCCoSp4は回転が少しズレた。
2人の距離が近くなり、よりペアらしくなったように感じる。
杉田さん曰く、「ベテランという感じがよく出ていた。試合慣れしているというか、見せ場を心得て滑っている。強いて言うと、男性は背中が丸まるようなところがあるので、彼の背筋がすっと伸びるようになるともっと魅力が出てくる」とのこと。…ああ、確かに! ホタレクさん、猫背っぽいときあるんだよね。せっかく上背があるのにもったいない。
66.53。

12 ミリアム・ツィーグラー / セヴェリン・キーファー(オーストリア

  • 楽曲:Turn To Stone performed by Ingrid Michaelson
  • プログラム:△

昨季、国内選手権優勝、ユーロ9位、ワールド21位。今季、GPフランス及びNHK杯6位。
3TwBでちゃんとキャッチできなかった。3Lzで男性が転倒。FCCoSp2の回転が速く、そろっている。スロー3Fは流れがきれいじゃなかった。
杉田さんが指摘していたように、3Lzやスロー3Fなど、技術的に難しいことをやっているのだが、なかなか成功できずにいる。でも清廉な雰囲気があって、ステップの感じとかユニゾンとか素敵なペアだと思う。
57.14で自己ベスト更新。

13 アリョーナ・サフチェンコ / ブルーノ・マッソ(ドイツ)

  • 楽曲:That Man by Caro Emerald
  • プログラム:◎
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権優勝、ユーロ2位、ワールド3位。今季、GPロステレ&フランス杯優勝。女性の怪我で、GPファイナル及び国内選手権を欠場。
3Tw2はいつ見ても何度見ても口あんぐりのすごさ。見るなり杉田さんが「+3」と断言していた通り、ジャッジ全員が+3を出している。
スロー2Aはクリーンに着氷。本来であれば3Aにしたいんだろうけど、怪我明けだから回避したのかな。
StSq4で、女性がまさかの転倒。でも転倒前と後の動きがすばらしかったので、-1に控えたジャッジが4人いる(ふつうは-3がずらっと並ぶ)。
CCoSp4は回転がすごく速いのに、そろっている。GPでは速すぎて合っているのかどうか分からなかったが、今回は少し回転速度を抑え、スローじゃなくても合ってるかどうか分かるようになった。
演技が終わった後、2人への愛を叫びたくなったほど素晴らしい演技だった。このお尻フリフリおしゃれプロ(笑)を完全にものにしている。
73.76。

14 アナ・ドゥシュコヴァー / マルティン・ビダージュ(チェコ

  • 楽曲:LA 40 (Album: Tango Hereje) by The Mozart Tango Players
  • プログラム:○

初出場。昨季、JGPファイナル2位、ユース五輪2位、世界ジュニア優勝。今季、JGPファイナル2位。
母国開催のユーロで、大声援を受けている。
冒頭の3Tが切れ味鋭く決まった!! と思ったら、男性がまさかの転倒。ギャー!! でも、1人のジャッジが-2をつけたが、他のジャッジはジャンプの転倒ととらないでくれたようだ。他の要素は全てクリーンに行い、ユニゾンも素晴らしく、文句なしに今季最高の演技だった。
65.90で自己ベスト更新。

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●第5グループ
15 クセニア・ストルボワ / フェドール・クリモフ(ロシア)

昨季、ユーロ4位。今季前半は、女性の怪我で休んでいたが、国内選手権から復帰し、優勝。
スロー3Fの転倒はあったが、他は素晴らしかったが、本来の彼らの動きと比べると、ちょっとキレとスピードに欠けていたような。
73.70。転倒とタイムバイオレーションにより、減点2。

16 ニコル・デラ・モニカ / マッテオ・グアリゼ(イタリア)

  • 楽曲:Carmina Burana by Carl Orff performed by The Piano Guys
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、国内選手権優勝、ユーロ6位、ワールド11位。今季、GPスケカナ6位、GP中国杯5位、国内選手権優勝。
3Sは、2人とも着氷が乱れた。スロー3Loは転倒。FCCoSp3は相変わらず回転が合っている。
2つのミスがあったものの、ユニゾンと音楽表現はとてもよかった。彼らの演技はペアの美点を体現しているなぁと思う。
63.97。

17 エフゲーニャ・タラソワ / ウラジミール・モロゾフ(ロシア)

  • 楽曲:Glam (Electro Swing Remix) by Dimie Cat
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

3年連続3度目の出場。昨季、国内選手権3位、ユーロ3位、ワールド5位。今季、GPファイナル優勝、国内選手権2位。
完璧。課題だったFCCoSp4もきっちり合わせてきた。
今季のSPの安定感はすごい。若さと自信あふれる、生き生き、のびのびした演技だった。2人が心から楽しんで滑っているのが伝わってくる。
80.82で自己ベスト更新。おお〜、いよいよ80点超え!!

18 ヴァネッサ・ジェイムズ / モーガン・シプレ(フランス)

  • 楽曲:Earned It (from "Fifty Shades of Grey") by The Weekend and Maxime Rodriguez
  • プログラム:○
  • 動画:YouTube

昨季、GPエリック2位、国内選手権優勝、ユーロ4位、ワールド10位。今季、GPスケアメ4位、GPフランス杯3位、国内選手権優勝。今季から練習拠点をアメリカに変更。
全ての要素がクリーンだったが、特にダンスリフトからのスロー3Fはすごい。女性が男性を背にしてぽーんと彼の胸に飛び込んだ後、間をおかず跳ぶという。決まるとめっちゃ気持ちいい。
ようやく…ようやくクリーンな演技が見られたぜ!! イエーイ!!
昨季からめっちゃ上達しているのがうかがえるのに、なかなか本番で力を発揮できず、もどかしい思いを抱えていたのだが、このSPでその思いが全て解放された気がする。
74.18で、8点ほど自己ベスト更新。ジェイムズさんが奇声を上げ、シプレさんを揺さぶって大喜びしていた(笑)。なんと幸せなキスクラ☆

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◆SP順位
SPが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、クオリファイ、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Q Evgenia TARASOVA / Vladimir MOROZOV RUS 80.82
  2. Q Vanessa JAMES / Morgan CIPRES FRA 74.18
  3. Q Aliona SAVCHENKO / Bruno MASSOT GER 73.76
  4. Q Ksenia STOLBOVA / Fedor KLIMOV RUS 73.70
  5. Q Natalia ZABIIAKO / Alexander ENBERT RUS 72.38
  6. Q Valentina MARCHEI / Ondrej HOTAREK ITA 66.53
  7. Q Anna DUSKOVA / Martin BIDAR CZE 65.90
  8. Q Nicole DELLA MONICA / Matteo GUARISE ITA 63.97
  9. Q Miriam ZIEGLER / Severin KIEFER AUT 57.14
  10. Q Tatiana DANILOVA / Mikalai KAMIANCHUK BLR 53.27
  11. Q Lola ESBRAT / Andrei NOVOSELOV FRA 52.51
  12. Q Zoe JONES / Christopher BOYADJI GBR 52.32
  13. Q Minerva Fabienne HASE / Nolan SEEGERT GER 51.27
  14. Q Rebecca GHILARDI / Filippo AMBROSINI ITA 50.71
  15. Q Lana PETRANOVIC / Antonio SOUZA-KORDEIRU CRO 49.25
  16. Q Arina CHERNIAVSKAIA / Evgeni KRASNOPOLSKI ISR 47.92
  17. Ioulia CHTCHETININA / Noah SCHERER SUI 47.52
  18. Goda BUTKUTE / Nikita ERMOLAEV LTU 44.79
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◆総評
SP1位は、タラソワ&モロゾフ。今季ベストのパフォーマンスを試合ごとに更新しているんじゃなかろうか。SPに関しては盤石の強さを誇っている。
2位はなんとなんと、ジェイムズ&シプレ。SPは、杉田さんがほめていたように、彼らの良さを存分に生かしたプログラム。GPでは、「つなぎにモリモリ難しい技を入れているが、それがまだプログラムになじんでない感じ」という印象を受けていたのだが、それがばっちりなじんで、要素を全て成功させると、こんなに素晴らしいプログラムだったのかと驚かされた。
3位は、サフチェンコ&マッソ。女性の怪我明けの影響が皆無とは言わないものの、表現とユニゾンのみごとさに感動させられた。
4位は、ストルボワ&クリモフ。こちらも怪我明けの影響はいくばくか感じられたが、それでも十分素晴らしい演技だった。
7位のドゥシュコヴァー&ビダージュは、母国開催のユーロで良い演技ができて本当によかった。JGPでは今一つな演技が続いていたので心配してたんだよ〜。安心した〜。