四大陸2017 アイスダンスSD

2017年2月14日、元フィギュアスケート国際審判員の藤森美恵子さんが脳梗塞でお亡くなりになった
フィギュアスケートに夢中になったころ、Jスポーツで藤森さんの解説を聞き、フィギュアスケート(特にアイスダンス)の素晴らしさをたくさん教えていただいた。藤森さん、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
四大陸2017 リザルト
韓国の江陵にて開催。アイスダンスSDは、現地時間2017年2月16日(木)に行われた。上位20組までが、FDに進出できる。

上記のフジのウェブページで、アイスダンスSDの出場全選手ノーカット無料配信中。

上記のライストで全組の演技を見たが、時々映像が止まってしまったので、後でJスポーツの放送を見てから、特に印象に残った組の演技について、滑走順に感想を書いている。
Jスポーツの解説は東野章子さん、実況は小林千鶴さん。
四大陸のミニマムスコアは、SD 19.00、FD 29.00。ワールドのは、SD 29.00、FD 39.00。
プログラムについて、独断と偏見による、◎、○、△、×、?の五段階評価を付けている。つまり、わたしの勝手な好き嫌いの感想にすぎないので、どうぞ悪しからず。五段階評価の内容は下記の通り。
◎:何度でも見たい。
○:よかった。好き。
△:悪くない。まずまず。
×:イマイチ。
?:何とも判断が付きかねる。

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●第1グループ
2 Hong CHEN / Yan ZHAO ホン・チェン / ヤン・ジャオ(中国)

  • 楽曲:
    • Blues: Mon mec a moi performed by Patricia Kaas
    • Swing: Pigalle performed by Patricia Kaas
  • プログラム:△

今季、GP中国杯9位、国内選手権優勝。
冒頭のSTw4はバッチリそろっていた。PSt2は、わたしにはなぜかわからないが、GOEマイナス。
体がよく動いており、生き生き伸び伸びと滑っているように見えた。
東野さん曰く、「GP中国杯ユニバーシアード、この四大陸と、着実に力をつけてきている」とのこと。うん、素人目にもそう感じる。
51.34。

4 Linshu SONG / Zhuoming SUN リンシュー・ソン / ジュオミン・サン(中国)

  • 楽曲:
    • Blues: Hello prformed by Beyonce
    • Hip Hop: Single Ladies (Put a Ring on It) performed by Beyonce
  • プログラム:△

今季、GP中国杯8位。
STw3のファーストで回転が少しズレていたが、セカンドから合わせてきた。NtMiSt3でビートとちょっと合わないところがあった。明白なビートが入っている音楽なので、音からズレるとすぐにわかってしまう。
思い切りよく滑っていたが、ヒップホップのところはもっとノリノリに踊ってほしい。
女性のチャーミングな笑顔が印象的だった。
51.60。

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●第2グループ
5 平井 絵己 / マリオン・デ・ラ・アソンション(日本)

  • 楽曲:
    • Blues: I Just Want to Love by Etta James
    • Swing: Puttin' On the Ritz by Irving Berlin
  • プログラム:△

5度目の出場。2012年に結成。昨季、全日本2位、四大陸12位。今季、NHK杯9位、全日本2位。
STw3のセカンドで、2人とも危なかったけどこらえた。パターンでなぜかGOEマイナス。大人のカップルじゃないと出せない味わい深さがあり、いいと思ったんだけどな〜。NtMiSt2で男性がバランスを崩した。
49.35。

7 Yura MIN / Alexander GAMELIN ユラ・ミン / アレクサンダー・ガメリン(韓国)

  • 楽曲:
    • Blues: Your Heart is as Black as Night
    • Hip Hop: I Am the Bet x Bang Bang Bang by 2NE1 & Big Bang
  • プログラム:△

2015年に結成。2人ともアメリカ生まれ。昨季、国内選手権2位、四大陸8位。今季、GPスケアメ10位、国内選手権優勝。
冒頭の絡みがエロい。男性が女性の太ももの内側撫でるんだぜ(///)。ヒップホップに曲が変わったところで早着替え☆
セクシーでパワフルでかっこよかった〜。特にヒップホップ部分がキレキレだった。
東野さんが、「膝がやわらかく、吸いつくような滑り」とほめていた。
59.01。

8 Hojung LEE / Richard Kang In KAM ホジョン・イ / リチャード・カンイン・カム(韓国)

  • 楽曲:
    • Blues: Creep by Post Modern Jukebox
    • Swing: That Man by Caro Emerald
  • プログラム:△

昨季、国内選手権3位、四大陸10位、世界ジュニア14位。今季、国内選手権2位。2人ともシングルの国内ジュニアチャンピオン。男性はニュージーランド生まれで、1歳違いの兄がこの四大陸のペアに出場している。
なめらかな動きを見せてくれていたのだが、STwで女性が転倒し、ノーバリュー(泣)。それまでよく滑っていただけに残念だった。
冒頭で男性がすご〜く素敵な表情で女性を見つめていて、思わず胸キュン☆(///) リチャードの男っぷりが急上昇でビックリよ。女の子は変わるってよく言われるけど、男の子も変わるなぁ☆(///)
44.57。

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●第3グループ
9 Tessa VIRTUE / Scott MOIR テッサ・ヴァーチュー / スコット・モイヤー(カナダ)

  • 楽曲:
    • Hip Hop: Kiss by Prince
    • Blues: Five Women by Prince
    • Blues/Rock: Purple Rain by Prince
  • プログラム:○

1997年に結成。バンクーバー五輪優勝、ソチ五輪2位。2014年〜16年の2シーズン休養。今季復帰し、GPファイナル優勝、国内選手権優勝。
…これまでの組とは別格というか破格というか。違うスポーツみたい。
余裕を感じた。PSt3で、男性が「エッジひっかかった?」みたいなところが一か所あったが、全体的に言えば、すっごく難しいことを、めっちゃ簡単に楽しそうにやっていた。
79.75。

10 村元 哉中 / クリス・リード(日本)

2015年に結成。昨季、全日本優勝、四大陸7位、ワールド15位。今季、GPスケアメ8位、全日本優勝。
STw3は怖かったけど、GOEプラス。RoLi2の質はよかったんだけど、レベル4が取れず。
ブルース→ジャイブ→スウィングと、リズムが変わるごとにその曲想を演じ分けられている。最初から最後までスピードが落ちず、体が動きっぱなしだった。
東野さん曰く、「ミッドナイトブルースのところで、いつもよりも硬かった」とのこと。つまりパターンとパーシャルのところでって意味よね?
57.80。

11 Piper GILLES / Paul POIRIER パイパー・ギルス / ポール・ポワリエ(カナダ)

  • 楽曲:
  • プログラム:○

2011年に結成。昨季、国内選手権2位、四大陸5位、ワールド8位。今季、GPスケカナ及びGPフランス3位、国内選手権3位。
とても大きな滑りで、ものすご〜くなめらか〜な動きで、スピードもよく出ていたのだが、NtMiSt2で女性がまさかの転倒。ギャーーー!!!!(ムンクの叫び) 間髪入れずに立ち上がり、笑顔で演技を続けるあたり、さすがだったが、STw3で女性がちょっとバランスを崩していた。
女性のネイルがすっごく素敵☆
61.21。…うわ、かなり低い…。キスクラの3人の顔が凍ってる…。

12 Shiyue WANG / Xinyu LIU シーユエ・ワン / シンユー・リウ(中国)

  • 楽曲:
    • Blues by Gary Moore
    • Swing
  • プログラム:△

昨季、四大陸9位、ワールド22位。今季、GPスケカナ9位、GP中国杯6位。
スピードに乗って、生き生きとキレよく滑っていた。
東野さん曰く、「ステップシークエンスで、エッジは正確なのだが、身長差があるため、ホールドしているとき、女性が引っ張られている傾向がある。が、ホールドしないNtMiSt3では非常に力をつけてきている」とのこと。
61.45で自己ベスト更新。

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●第4グループ
13 Kaitlyn WEAVER / Andrew POJE ケイトリン・ウィーバー / アンドリュー・ポジェ(カナダ)

  • 楽曲:
  • プログラム:○

2006年に結成。昨季、GPファイナル優勝、国内選手権優勝、四大陸3位、ワールド5位。今季、GPロステレ3位、GP中国杯2位、国内選手権2位。
STw3のセカンドで男性の回転がよろよろになり、女性とずれ、GOEマイナス。サードでは持ち直したんだけど。SlLi4はポジションチェンジがいつもほどスムーズではなかった気がする。NtMiSt3なんかちょっとズレてるというか、ぴたっとハマってない感じなんだよな〜。でも、全体的な動きのキレはよかったと思う。
中盤のセパレート部分の超クールなダンスを、最初横から撮っていて、「や、そこは正面からじゃないと!!」と思ったとたん、正面カメラに切り替えてくれた(笑)。
71.15。

14 Madison CHOCK / Evan BATES マディソン・チョック / エヴァン・ベイツ(アメリカ)

  • 楽曲:
    • Blues: Bad to the Bone by George Thorogood
    • Hip Hop: Uptown Funk by Bruno Mars
  • プログラム:○

2011年の春に結成。昨季、GPファイナル2位、全米2位、四大陸2位、ワールド3位。今季、GPファイナル6位、全米2位。
キレッキレの超絶クールなダンスだった。特にNtMiSt3がかっこいい〜〜☆☆(///) 全ての動きがリズムにハマっていて爽快だ。
実況陣も「今季最高のSD」とほめちぎっていた。
74.67。

15 Maia SHIBUTANI / Alex SHIBUTANI マイア・シブタニ / アレックス・シブタニアメリカ)

  • 楽曲:
  • プログラム:○

2004年に結成。昨季、GPファイナル4位、全米優勝、四大陸優勝、ワールド2位。今季、GPファイナル3位、全米優勝。
「安心と信頼の高品質」という感じの演技だった。トップオブトップの組でもSTwではドキドキしながら見てしまうものだが、彼らの場合、常に安心して見ていられる。2人で一つ感がすごい。
東野さんによると、2人は、「ツイズルをしている間、お互いの気配を感じている」と話しているそうだ。相手の回転が少し遅れたとか気配で分かるらしい。
76.59。

16 Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE マディソン・ハベル / ザカリー・ダナヒュー(アメリカ)

  • 楽曲:
    • Blues: Feeling Good performed by Nina Simone
    • Hip Hop Medley
  • プログラム:○

2011年の春に結成。昨季、GPファイナル6位、全米3位、四大陸4位、ワールド6位。今季、GPファイナル5位、全米3位。
衣装が変わった。変な模様!(笑) 女性がパンツルックに。スタイルの良さはこっちのほうが引き立つと思う。
楽しい。ひたすら楽しい。彼らの妙なる動きと音楽との調和を堪能した。
プログラムの印象がけっこう変わったんだけど、衣装のせいかなぁ。全米から3週間ほどしかたってないし、プログラムを大幅に変えたりしないよねぇ?
73.79で自己ベスト更新。

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◆SD順位
SDが終わって、順位は下記のとおり。左から順位、名前、国名、得点の順に記されている。

  1. Tessa VIRTUE / Scott MOIR CAN 79.75
  2. Maia SHIBUTANI / Alex SHIBUTANI USA 76.59
  3. Madison CHOCK / Evan BATES USA 74.67
  4. Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE USA 73.79
  5. Kaitlyn WEAVER / Andrew POJE CAN 71.15
  6. Shiyue WANG / Xinyu LIU CHN 61.45
  7. Piper GILLES / Paul POIRIER CAN 61.21
  8. Yura MIN / Alexander GAMELIN KOR 59.01
  9. Kana MURAMOTO / Chris REED JPN 57.80
  10. Linshu SONG / Zhuoming SUN CHN 51.60
  11. Hong CHEN / Yan ZHAO CHN 51.34
  12. Emi HIRAI / Marien DE LA ASUNCION JPN 49.35
  13. Hojung LEE / Richard Kang In KAM KOR 44.57
  14. Adele MORRISON / Demid ROKACHEV AUS 37.87
  15. Kimberley HEW-LOW / Timothy MCKERNAN AUS 33.54
  16. Matilda FRIEND / William BADAOUI AUS 32.75
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◆総評
四大陸のSDで選択されたリズムは、ヒップホップが8、スウィングが5、ジャイブが2、ディスコが1(たぶん)。ユーロはスウィングが約半数を占めていたが、四大陸は対照的にヒップホップが約半数を占めている。
さて、SP1位はヴァーチュー&モイヤー。パーシャルで男性のエッジがひっかかったような動きが見られたけど、それくらいではビクともしない、鉄壁の技術と表現力。強い。
2位はシブタニ兄妹、3位はチョック&ベイツ、4位はハベル&ダナヒュー、5位はウィーバー&ポジェと、おなじみの組が僅差で続くのだが、6位はなんと、中国のワン&リウ。7位のギルス&ポワリエに転倒があったとはいえ、北米勢の6強に割って入るとは。今季、試合を経るごとに上手くなっているように見える。
8位はミン&ガメリン。GPスケアメのときより、すごく良くなっていた。まだ結成2シーズン目なのにユニゾンもいいし、上手い。2人ともアメリカ生まれらしいけど、韓国の国籍は取得済みなのかな? 彼らならオリンピックの出場権を取れるだけの実力があると思うんだけど、来年の平昌オリンピックに出場できるよね?
日本勢は、哉中&クリスが9位で、絵巳&マリオンが12位。レベルの取りこぼしやミスがあり、少し出遅れてしまったか。FDでの巻き返しに期待したい。
オーストラリアは、3組派遣してるんだよね〜。いいな〜。東野さんによると、近年オーストラリアのアイスダンスの躍進が目覚ましく、イギリス人のジョン先生とモニカ先生(John Dunn と Monica MacDonald)が、スペインに行ってから、今はオーストラリアに移って、アイスダンスの指導をしているらしい。スペインのアイスダンスが強くなったのも、彼らのおかげなのだろう。
日本も来季こそは3組派遣したいものだ。