ペット保険の保険期間についての疑問

日本経済新聞(2023年11月26日)の記事「ミニ保険、多彩なリスク対応 ペット・旅行キャンセル…」に、ペット保険に関して、以下の記載がありました。

留意したいのは、契約は1年更新となり、ペットの年齢とともに保険料も上がっていく点だ。

 
あまり深く考えたことはなかったのですが、これはペットの医療保険は、保険期間1年の商品ばかりだということです。
人間の医療保険は、保険期間が定期のものと終身のものがあり、保険期間が長期のものがメジャーです。
何故、ペットの方は、保険期間1年の商品ばかりなのかは疑問に感じました。
 
確かに、ペット保険は、元が少額短期保険業者が始めたものが多いようなので、当初は保険期間1年で商品設計をしたのは理解できます。
また、ペットの寿命が短いなら、保険期間が長いものはニーズがなかったのかもしれません。
 
しかし、現在、ペット保険の一番手、二番手はアニコム損害保険株式会社アイペット損害保険株式会社であり、いずれも損害保険会社です。
したがって、少額短期保険業者に課せられている保険期間の規制はかかりません。
そして、冒頭の記事によると、犬や猫の寿命は伸びており、平均寿命は犬が14.76歳、猫が15.62歳だそうです。
 
さて、これらを踏まえると、ペット保険でも保険期間:終身(全期払)の商品がそろそろ出てきてもよさそうな感じがします。
ただし、長期第三分野に準じた商品開発が必要となってくるので、上記2社の現状の体制では厳しいのかもしれません。
ただ、アイペット損保なら第一生命保険株式会社の力を借りれば、それほど商品開発や経理処理などについては具体化しやすい環境にありそうな気がします。
 

COVID-19専用保険の失敗と対策

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による入院を支払要件とした医療保険は、COVID-19の初期の感染拡大に伴って株式会社 justInCaseによりコロナ助け合い保険が、第一スマート少額短期保険株式会社によりコロナminiサポ保険(特定感染症保険)が商品開発されましたが、2022年にはいずれも販売停止となっています。
(普通の医療保険でも、COVID-19による入院は支払対象となりますが、今回の話の趣旨から外れるので除外します。)
販売停止の主因は、感染拡大の波がくるたびに、波の高さ(罹患率)が高くなり、保険料と保険金のバランスがとれなくなり、大幅な赤字となったためと思われます。
また、justInCase少短においては、保険金の削減という伝家の宝刀を抜いてしまい、行政処分まで受けてしまいました。
 
個人的には、特にjustInCase少短の理念ややろうとしたことは素晴らしいと思っていますし、それだけに行政処分を受けることになってしまったのは非常に残念だと思います。
既にCOVID-19の感染状況・医療体制や当局の意向・要請などが見えてきている今だから言えることですが、この手の保険はどうすればよかったのかを考えてみました。
 
まずは、保険期間を短期とすることによって、保険金の増減に伴い、保有している契約の保険料もそれに応じた増減の反映が短期間でできるようにしておくことが考えられます。
第一スマート少短が保険期間を1年ではなく3か月にしているのは、このことを考慮しているのでしょう。
そして、自動継続を行う場合には、感染状況等に応じた停止ができる旨を規定しておくことが考えられます。
 
感染の可能性が高い人が新規に加入しているモラルリスクの対策として、ワクチン接種を2回乃至3回したということを引受条件とし、告知でワクチン接種階数を求めることが考えられます。
少額短期なので、複雑な仕組みや手続きを組み込むのはコストの観点で見合わないと思うので、支払時に確認して、告知義務違反があれば解除して免責にする流れにするのが現実的な気がします。
乱暴かもしれませんが、任意保険による助け合いは、まずは自分でできることを行った人だけを対象にするという割り切りがあっても許容されると思っています。
 
保険金に関しては、定額給付ではなく、実損てん補にし、傷害疾病損害保険とすることが考えられます。
もっとも、COVID-19に関しては、医療費の実損てん補は無意味です。そもそも実損が出ませんから。
例えば、COVID-19の感染による逸失利益(アルバイトに行けなかった時給分など)があった場合、その逸失利益を損害として支払うようにするといった感じです。
その際に、免責金額を設けるとか、実損額の7割しか払わないとかにして、ここでもモラルリスクを軽減させる工夫は必要です。
COVID-19の感染により経済的に困った人を助けようという発想で商品を作っているなら、困っていない人まで保険金を支払うような商品にする必要はないですよねということです。
 

ソニー損保の火災保険改定(2022年10月)

ここ数か月で火災保険のCMは、ソニー損害保険株式会社のものしか目にしていません。
2,3年前は西日本豪雨や台風の自然災害で火災保険は巨額の支払をしており、業界として収支が悪化して、保険料を立て続けに値上げするハメになったのに、ソニー損保は火災保険の販売促進に力をいれており、一際目立ちます。
次の値上げは2022年10月であり、大手社もソニー損保も保険料改定が行われます。
ソニー損保のサイトに以下のお知らせがありました。
「【火災保険】商品改定について(2022年10月1日以降を保険始期日とする契約)」
https://from.sonysonpo.co.jp/topics/information/27062022_02_282956.html

直近の大規模な自然災害の影響を踏まえ、損害保険料率算出機構は、2019年に引続き、2021年5月に参考純率(*1)を改定しました。 この参考純率改定を受け、当社の保険料水準の見直しを行います。(*2)

 
ソニー損保は、どのくらい値上げするのか、改定の近いこの時期にCMをバンバン出していても大丈夫なのか、気になって調べてみました。
東京・一戸建・T構造・年払で、改定前と改定後の保険料を見積もって、改定率を出してみました。
その結果が下表です。

  建物 家財
火災、落雷、破裂・爆発  -35%  -5%  
風災、雹災、雪災  -22%  -6%  
水災  0%  1%  
水濡れ、外部からの物体の衝突など  -19%  12%  
盗難  -60%  -58%  
破損・汚損 150% 150%  
臨時費用(破損・汚損を除く)  -9% 1229%  
5補償  -13%  -5%  -9%
6補償+臨時費用  -3%  13%  6%
5補償+臨時費用  -13%  1%  -6%

(家財の破損・汚損と臨時費用の保険料は、建物・家財-建物で計算)
 
損害保険料率算出機構が2021年5月に当局に届け出た参考純率の改定率は、住宅総合保険で平均+10.9%とのことです。
破損・汚損と臨時費用は住宅総合保険の基本補償に含まれていないので、↑の「5補償」に相当します。
私が試算した条件でのソニー損保の改定率は建物・家財計ではナント! -9%で値上げどころか値下げになっています。
これには驚きです。
ちなみに、大手社の改定率と比較するなら、「6補償+臨時費用」を見るのが妥当です。ここでは+6%ですが、それでも大手社は日本経済新聞の7/13の記事によれば11~13%引き上げだそうですから、頑張って保険料をできるだけ上げないようにしていると言えます。
 
保険料の内訳を見ると、一様に上げ下げをしているのではなく、ぺリルによって異なることがわかります。
違和感があるのは、風災のところです。ここは台風の影響で保険料がかなり上がるはずですが、ソニー損保は引き下げています。到底、純率が下がったとは思えないので、付加保険料や修正率で何かしているのでしょうか。あるいは、東京都という条件で出したことが影響しているのでしょうか。(面倒だから他の都道府県での見積りはしないけど)
臨時費用の家財の改定率がすごいことになっていますが、なんとなくこれは改定前の臨時費用の保険料が間違っていたのではないかと思います。
破損・汚損は、保険料が2.5倍になっていますが、これは損害率の悪さがそのまま保険料に反映されたのではという気がします。個人的には破損・汚損の補償なんて要らないと思うし、多分、ソニー損保でもそう思ったから遠慮なく保険料を上げたのでしょう。
 
あと、微妙に長期係数も引き下げているようです。
そのため、一括払で改定率を出すと、僅かに引き下げ幅が大きくなります。
 

チューリッヒの火災保険と改定(2022年10月)

今更の話題ですが、2022年3月からチューリッヒ保険会社が火災保険を販売開始しました。
どんな火災保険かと思って、約款を見てみたら、ほぼ標準約款の住宅総合保険でした。
正式名称を見てみたら、「【価額協定保険特約(建物新価・家財新価用)付き「住宅総合保険」」でした。
しかし、標準約款に特約として存在する破損・汚損の補償も付けることができません。
一方、標準約款にない補償としては臨時費用と個人賠償責任がありますが、これらはどの火災保険にも普通にあるものです。
補償としては目新しいところは何もないし、寧ろ大手社が標準約款からプラスαで補償を拡張している内容がないので、微妙なところで他社の一般的な火災保険よりも補償は劣っていると言えそうです。
 
補償以外の面では…
住総なので、当然、住宅物件のみ引受です。もちろん、併用住宅は不可です。
あと、持ち家である建物を保険の目的物としており、家財のみの引受は不可です。建物と同時に家財を付保するのはです。
建築年月が1981年5月以前の古い物件は引受不可です。
保険期間は1年のみで、長期契約は不可です。
保険料の払込方法は一括払のみ、支払方法はクレジットカード払のみです。
保険料の額については、後で触れます。
そして、最も大きなポイントは、インターネットで手続きをできる点です。
とは言っても、自動車保険のように見積り~契約締結を一気に完結できるということではありません。
見積りはインターネット上で簡単にできますが、その後は、書類を同社にアップロードする必要があります。そして、同社で契約条件の確認をし、問題なければ契約締結というステップとなっており、見積りから契約締結までに数日がかかります。
契約にあたって構造級別が正しいかなどの確認は一般消費者には無理なので、このステップは仕方がないことであり、同社が劣っているというわけではないです。
 
そして、保険料の額についてですが、2022年3月に販売開始した時はニュースリリースで“ダイレクト型ならではのリーズナブルな保険料”と謳っておりますが、2022年10月始期で料率改定をしており、かなり値上げしています。
ある条件で、改定前と改定後の保険料(建物のみ・T構造)を見積もっていたところ、+43%もの値上げになっていました。
2021年5月の参考純率改定で損害保険料率算出機構が当局に届け出た改定率は、住宅総合保険で平均+10.9%とのことですから、随分上げており、もはやリーズナブルと言える水準ではないと思います。
 
商品開発自体はかなり簡潔に行われており、参考純率から外れたことはほとんどないので、当局の認可は商品面に関しては比較的容易に取れたのではないかと思います。
個人的な感触としては、ここんところ災害の当たり年が続いているので、リスクを極力回避する形で、ミニマムスタートを切ったんだろうなという気がします。
新たに火災保険という大きなマーケットにある分野に進出したにしては、広告とかを出して、お金をかけて販売を促進しようという気配も見えませんし。
 

東京海上日動がAmazonで保険を…

東京海上日動火災保険株式会社Amazonで保険を販売するという日本経済新聞の記事がありました。
22日からということなので、まだAmazonのサイトにも何も出ていないし、東京海上日動のサイトを見てもこれといった情報が見当たりませんが、非常に興味深いので、憶測込みでつらつらと書いてみることにしました。
 
まず、件の記事は↓です。
東京海上Amazonで保険販売 デジタル販路で若者開拓」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB264130W2A720C2000000/?n_cid=NMAIL007_20220812_Y
日本経済新聞 2022.8.12)

東京海上日動火災保険は22日から、アマゾンジャパン(東京・目黒)のネット通販サイトで保険を販売する。地震保険から始め、傷害保険などに広げる。アマゾンのアカウントで保険に加入し、保険料の支払いから保険金の受け取りまで一括で提供するのは大手保険では国内初という。巨大なアマゾンのデジタル販路を生かし若年層を取り込む。対面営業が主流だった保険販売は転換点を迎える。

 
記事の見出しには、保険販売とありますが、ここから掘り下げてみます。
一般に、保険の販売と言えば、保険募集のことを指します。
損保では、募集資格のある保険募集人のいる保険代理店が保険の販売をし、これが保険募集のことですが、Amazonは保険代理店としての保険販売はしないとのことです。
では、どういうことか。
重要事項説明や意向確認を含む保険募集は東京海上日動がインターネットにてダイレクト販売で担い、Amazonは単なる広告の出稿先という位置付けとし、Amazonからの見込み客に応じて広告料を支払う形にするのでしょう。
これはダイレクト損保では割と普通に行われている形態で、目新しいことではなく、募集規制上の問題点もないはずです。
既存の保険代理店での販売と競合する恐れがあるにもかかわらず、東京海上日動がこのスキームでダイレクト販売をすることに目新しさというか、意外性があります。
 
Amazon固有の対応として、顧客情報を顧客同意のうえで連携することAmazon Payで保険料の支払ができることが記事に書かれていました。
後者について、Amazon Payは前払式支払手段に該当するので、前払式支払手段での保険料支払ができる認可が必要そうです。きっと、東京海上日動なら既に認可を持っているでしょう。
とすると、この2点はシステム対応がメインになってくると思われます。
 
↑を考慮すると、Amazon経由で契約できる商品は次の条件を満たすものになると考えられます。
・単純・簡潔な商品
(∵インターネットで重要事項説明や意向確認を行うため)
・既存の保険代理店での主力商品以外
・保険料の払込方法は一括払
(∵Amazon Payでの分割払は保険料不払が頻発しそうなため)
記事では地震保険を販売すると書かれていますが、この地震保険は火災保険に付帯する一般的な地震保険ではなく、地震に備えるEQuick保険のことですね。
 

先進医療の動向と先進医療特約

先進医療で非常に実施件数の多かった「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が先進医療から外れました。
ちなみに、先進医療のうち「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」がどの程度を占めていたのかというと、5年分を調べたら下表のとおりでした。

  先進医療全患者数ベース 先進医療費用総額ベース
H27.6.30までの1年間  35.1%  25.8%
H28.6.30までの1年間  46.3%  34.2%
H29.6.30までの1年間  43.8%  40.5%
H30.6.30までの1年間  83.6%  65.3%
R1.6.30までの1年間  86.4%  77.1%

改めて調べてみるとちょっと驚きです。これほどまで多いとは思いませんでした。
 
元々、先進医療は、新たな技術や薬が開発されて追加されたり、保険収載されることあるいは効果がないことを理由に削除されたりして、その技術数は増減するものです。
先進医療の技術は随時見直しがされることによって、先進医療を受けた人数と額がどのように推移しているのかを先進医療会議(一部、先進医療専門家会議)の資料で調べてみました。
その結果が以下です。

多少でこぼこはありますが、右肩上がりで推移していましたが、最後だけ大きく下がっています。
勿論、最後に下がった原因は「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が外されたことです。
ここで1つ気づいたことがあります。
過去の実績を見るかぎり、新たな技術や薬が開発されたとしても、それが原因で先進医療を受ける患者数や費用の額が急激に上がることはなさそうということです。
 
先進医療特約の純保険料は、基本的には 先進医療費用総額÷日本の人口 で出せるはずです。
日本の人口はおよそ1.27億人として、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」があった時となくなった時のそれぞれを計算すると、以下のとおりになります。
298億円÷1.27億人≒235円/年
62億円÷1.27億人≒49円/年
これは年払の保険料です。月払ではいくらぐらいかを知るには金利の要素を無視(今は金利が異常に低いため)して12で割ればよいと思います。
営業保険料にするには、ここに付加保険料を適当に乗せます。
これは安全率とかを無視した簡便な試算ですが、元々の保険料が非常に低いけど、そんなもんだろうということ、そして「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」を除くと半額以下になっても不思議ではないことがわかります。
ちなみに、日本経済新聞「生保3社、先進医療の保険料下げ 高額ながん治療など」(2021.2.19)によると、上記に伴って第一生命や住友生命は先進医療特約の保険料を下げる予定とのことです。
 

先進医療特約の重複

先進医療を保障/補償する保険は、いわゆる第三分野の保険です。
単独での保険となっていることはほぼなくて、オプションとして特約になっていることが多いです。
保険法では、第三分野の保険は、傷害疾病定額保険(第4章)または損害保険(第2章)のいずれかになります。
ちなみに、損害保険で、この手のものは傷害疾病損害保険となり、保険法内で固有の特則があります。
先進医療特約も、保険の設計次第で、傷害疾病定額保険または傷害疾病損害保険のどちらにもすることができます。
 
この2つの大きな違いは、同種の保険に重複して契約した場合の保険金の支払額にあります。
一般論として、傷害疾病定額保険は、重複契約があっても、他の保険契約とは無関係に、その保険契約の契約内容だけに基づいて保険金の額が決定し、支払われます。
一方、傷害疾病損害保険は、損害額が支払保険金の上限となるので、他の保険契約でその損害額全額の保険金を受け取っていれば、その保険契約から保険金を受け取ることができません。
 
先進医療特約が傷害疾病定額保険である場合は、先進医療にかかった技術料と同額あるいは相当額を保険金として支払う旨が規定されています。
一方、傷害疾病損害保険である場合は、先進医療にかかった技術料の額を損害とみなし、その損害額を保険金として支払う旨が規定されており、重複契約に関する規定が存在します。
どちらでも受け取れる保険金の額は同じように思えます。というか、重複して契約していなければ同じ額になります。
 
では、重複契約がある場合にどうなるのでしょう。
例えば、保険金額:100万円である重複契約(契約Aと契約B)があり、先進医療の技術料が10万円だった場合にどうなるかというと・・・
ケース1:契約Aと契約Bの両方が傷害疾病定額保険の場合
お互いの保険契約に関係なく、それぞれの保険契約から10万円が支払われて、合計20万円を受け取ることになります。
ケース2:契約Aと契約Bの両方が傷害疾病損害保険の場合
損害額が10万円なので、いずれか一方からのみ10万円を受け取ることになります。
ケース3:契約Aが傷害疾病定額保険で、契約Bが傷害疾病損害保険の場合
結論として、合計20万円を受け取ることになります。
なぜなら、契約Aは先に書いたとおり、他の保険契約の影響を受けないので契約Aから10万円が支払われ、また、契約Bで定める重複契約の規定に契約Aは該当しない(長くなるので理由は省略)ので、重複契約は存在せず、契約Bからも10万円が支払われるためです。
 
何故、今更、こんなブログを書こうかと思ったかというと、上に書いたことを知らずに書かれたと思われる正確性に欠ける記事を見かけたからです。
それが、ダイヤモンドオンラインの記事「保険会社のリスクが大きい人気の先進医療特約、不妊治療の行方も注視」(2021.2.23)の以下の箇所です。

火災保険や自動車保険といった損害保険の場合は、同一の保険の目的に対して複数の保険契約があったとしても、実際の損害額以上に保険金が支払われることはない。これは焼け太りをさせないために設けられている規定である。
一方、先進医療特約においてはこのような規定が存在しない。例えば、先進医療特約に二つ加入しており、費用が100万円の先進医療を受けた場合、支払限度額を超えない範囲であれば、それぞれの先進医療特約から100万円ずつ支払われ、結果的に焼け太りを許してしまうことになる。

この後段の部分は、先進医療特約が傷害疾病定額保険である場合だけに生じることであり、傷害疾病損害保険として作られていれば焼け太りは発生しません。
個人的な感触ですが、生命保険会社の商品開発の方は、医療系の商品を作る際に傷害疾病損害保険として設計するという発想を持つことがほとんどないのではないかという気がします。
ダイヤモンドオンラインのダイヤモンド保険ラボは有料の記事が多く、その分だけその内容も価値があるものが多いだけに、今回の記事は一部だけではありますが、残念な記載だと思います。