「ミツバチのささやき」を見た後は。


今日は梅園へ行ったけども意外にまだ寂しくて、あらら…と園をすり抜けてつい先ほど買い求めたマカロンを食べながら歩いていた。晴れてはいるが風は冷たくかなり強く吹き荒れている。

通りかかった小学校のプールの醒めた青に吸い込まれ

猫は幻のなかにいた。


ところで金曜日は帰宅して洗濯物取り込んでご飯食べてから、えいっと渋谷に出掛けレイトショー、「ミツバチのささやき」を見た。立ち見も出る大賑わいなのにひとりぼっちで見ているような不思議なアンビエントに包まれていた。穏やかな光と影に満ちつつただならぬ緊張感で張りつめた空気があった。
じりじりとぼんやりとしかし鮮明に映し出されるひとつひとつを息をつめて見つめそれでもほふっと零れ落ちる息を掌で受け止めて、密やかで純粋で崇高な響きを持つラストシーンにあたまが緩んで白くなったまま映画館を出て歩き始めるとじわじわと止めどなく押し寄せてきてどうしようもなく、今だって何をしててもフト気がつけば、壁に写る影絵にずうっと続く線路に飛び越える焚火に漆黒の瞳、あたまに浮かぶ静止画に惚けてしまうそんなことの繰り返し、何度見てもいつだってそう、何度見ても初めて見たときのように強烈に(でも気づかないくらいそっとそっと)こころに焼き付けられてしまう、見る度に網膜の精度を更新してしまうようなこんなに恐ろしい映画はない。
ミツバチのささやき [DVD]
しばらくずっと言葉にならなかったこの気持ちをなんとか一生懸命書き記したのだけど…。このところどうにも「映画を見ること」が出来なくてこの作品なんて今はよけいに無理だと見送ろうかとしたけども、見に行ってよかった。またいつか、映画館で見たいです。