津軽旅日記:その6〜 ”巨大な空洞” 恐山

恐山といえば日本三大霊場のひとつであり、イタコであり、謎に包まれた「いつか行ってみたい場所」。宿にした弘前からは随分と離れているけれど、せっかくの青森旅だし行ってみよう!と調べていると、ちょうど旅行期間中に年二回の「恐山大祭」が開催されると知りました。ウワサの「イタコの口寄せ」があり、バスなど臨時便が出るとのこと。


・・・にしてもやはり、遠かった。
弘前駅08:36発のJR奥羽本線に乗って50分ほどで青森着のはずが電車が遅れてしまい、青い森鉄道に慌てて乗り込む事態に。写真撮れなかったよぅ。。。野辺地駅でJR快速しもきたに乗り換えて、11:03にようやっと下北駅着。下北といってもqueもなすおやじも無い。(え?)
ここで恐山行きのバスに乗りかえ。早くに乗り込めたので楽に座れたけど、どんどん人が増えてきて、フジロック越後湯沢駅を思い出す*1
山道クネクネ、12:00にようやく恐山に到着。同じ県内で3時間半の道のり。




門をくぐると

おおおおおおおお。
ふっと横を見ると

ぎゃ!

たくさんの人が並んでいました。





風車の山と巨大卒塔婆にたじろぎワナワナする。

温泉があるの・・・!
そう、辺り一帯は硫黄の匂いが漂っていて

灯籠が腐食してる。。。


そしていよいよ

荒涼とした光景にぞくり。


ゴツゴツした岩の道。積み石が連なり、ほうぼうに風車が刺され、お菓子などのお供えが並ぶ。


無間地獄・・・



この日は暑さに加え、雨がぱらついたり晴れたりくるくる変わる不思議な空模様。




地面が硫黄で変色してる。ガスがあちこちから噴出していた。



宇曽利湖へ辿り着く。

くぐもった空の下、広い湖の水はひどく透明で、静寂に充ちていた。

湖越しに見えるのは大尽山の三角形は不気味なほどに美しく整った線を描く。



時が止まった世界に立ち尽くした。体の中で波がさざめく。


遠くからカーーーンと、鐘の音が聞こえてきて頭の奥を刺した。祈りを捧げる方々が見え、胸の奥がツンと痛くなる。あー・・・。彩度の低いピンと張った空気は薄くて、意識を失いそうになる。福永武彦の「遠方のパトス」の湖はこんな感じかもしれないなあ。なんでだかひとりぼっちな気分に浸食される。
と、ぼんやりしていてふっと目に入るのは、お供えのお菓子のパッケージの、カラフルでファニーなロゴやキャラクターで、その向こうに広がる山と湖が全てを飲み込んでいて、気持ちが緩む。ああ人間ってほんと、ちっぽけでおかしくて愛すべき存在なのだ、なあ。

どうや!


帰宅後、wikiで知った「恐山菩提寺住職の言葉」に納得した。
「恐山が霊場であるのは、パワーがあるからではないんです。逆に、力も意味もないパワーレス・スポット、いわゆる巨大な空洞だからこそ、死者への感情を入れることができるのです。」
そう、まさに「巨大な空洞」だった。





霊場アイス」って・・・。”昔の味っこ”…。


最後に、順番が逆だけど

三途の川に辿り着いた。



こ、これは・・・!


この表情にスヌーピーのタオルが・・・脱力・・・


はるばる此の地を彼の地を踏むことが出来て、良かった。なんというかスケール感や時間の流れ、映る色や聴こえる音が変なのだな。きっと漂う空気が違うのでしょう。帰路の列車では漫画の「カレチ」ばりな車掌さんに出逢ったのもいい思い出。

*1:もし「ITAKO ROCK FESTIVAL」があったならとふと考える。(す、すみません)ルー・リードとケヴィン・エアーズとニック・ドレイクシド・バレットエリオット・スミスをお願いしたいな...