つづきのあいさつ、さようなら

幾つになっても意識的に次々と行かないと、自分にとってこれぞって作品には出逢えないのかもしれない。でもそんな時間も体力も財力もない。これぞってのを引き当てる能力をこれまでに培ってきたかが大切なのか、どんな作品も素直に楽しめ良さを見いだせる余裕を持つことが大切なのか。


気になっていた「映画よ、さようなら」の上映時刻が午前10時〜と、こりゃ見れないわと思っていたところ、今日はひとりデイと相成ったため朝から出掛けたのだった。新宿のK's ciemaは駅からも近く、ぱぱっと入れる作りとロビーの明るさが良い。さて今作はウルグアイの監督によるもので、なんと63分の作品。40半ばの男が長年勤務するシネマテークが観客の減少と財政難により閉鎖を迫られて……というあらすじに惹かれたのだけど、こんな劇伴初めての感覚ってな具合のつくりと展開に驚き、なんともヘンテコで面白かった。ふふふ。”私の”人生は続いていくんだよなって後味が好き。パンフレットの最後には、配給会社代表兼翻訳の方による編集後記があり、今の私の背中を押すような見事な文章だった。
そういえばウルグアイ映画を見たのって「ウイスキー」以来2本目かな。今はなきシネ・アミューズ、ちょうどブログを始めて間もない頃だったはず。その記憶が感傷にならないのは、「映画よ、さようなら」を見たからこそだろう。


昼前には映画館を出て、明るく強い陽射しに今日はまだまだ時間がたっぷりあって嬉しいなあと電車に乗って移動して、夏のジャムを買い、夏のホットドッグを食べてから入ったのは、大家さんの都合で退去を余儀なくされ、移転オープンして間もない店。以前と違い、車の走行音も聞こえるけれど明るい店内は、ギュッと詰まった閉塞感が消えていた。私には今のほうが気持ちがポッカリできてよかったけれど、それはまだ場が馴染んでいないのと、客が私だけだったからかもしれなくて。都内とはいえ、生活圏がまるで異なる街で新たにやっていくことはとても大変だろうけれど、少しづつこの街の暮らしに馴染んでいくことだろう。

それにしてもこの週末、いたるところで見られた”街を行き交う人々の状況”はSF映画が現実になったみたいで面食らっている。この先で誰が笑うのだろうね。