秋葉忠利著書 アメリカ人とのつきあい方 自立の証明書

自立の証明書 

 高校を中退したり、卒業してすぐ仕事に就いて自立する人もたくさんいま
す。その場合、手になんらかの技術があれぱ役に立ちます。だからこそ高
校での職業教育が大切になるのです。求人広告を見て、自分のレジメ持参で会社なり雇主
を訪れ、簡単な試験と面接を受けて仕事をもらいます。働きながら、資金を貯めて独立す
るケースも多いようです。
 仕事によってはヽ試験に合格したりヽ職能組合に入る必要があります。たとえぱ電気エ
事士になるためにはヽ試験に合格して資格を得る必要がありますし、建設現場で働く場合
には組合に入っていないと雇ってもらえません。また祖合に入っていると、組合を通して
いろいろな仕事を回してもらえるという利点があります。
 私の家の前に住んでいたクリスは、子どもの時からプラマーのお父さんをとても尊敬し
ていました。高校時代から勉強はあまり好きでなかったこともあって、アルバイトにお父
さんの仕事を手伝っていました。ときには、学校が主なのか、アルバイトの合間に学校に
行っているのかわからなくなることもあったようですが、とにかく高校は卒業してヽ本格
的にお父さんの手伝いを始めました。いわば、お師匠さんに弟子入りしたのです。二年ほ
ど修業をして試験に通り、いまではお父さんのよきパートナーとして毎日、仕事に精を出
しています。
 さて、アメリカで自立をするためにだいじなことがもう一つありますーそれは運転免許
証です。
 アメリカでは、どこへ移動するにも車が必要です。しかも、自分で運転できないと、と
ても不便です。ですから、どうしても免許証が必要なのです。また、アメリカには戸籍や
住民登録がありませんから、身分証明書としての免許証の役割も大きいのです。運転免許
証の交付は、州の管轄です。州によって差がありますが、免許証をとるためには、十六、
七歳になっている必要があります。義務教育修了の年齢とだいたい同じです。
 免許証をとること自体はそれほどむずかしいことではありません。ふつうの自動車、そ
れもアメリカではオートマチック車がほとんどなのですが、その運転ができて、交通法規
についての最低限の知識があれぱよいのです。エルムウッド・パーク・ハイ・スクールを
卒業したとき、私の同級生で運転免許証を持っていなかった人は、私の知るかぎりいませ
んでした。つまり運転免許証には、大人の仲間入りをしたんだ、という証明書のような性
格もあるのです。


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