入試エピソード


受験シーズン真っ盛りですが、
必ず思い出す郁代の入試エピソード、今でも笑ってしまいます。
春の野にニャンコを追っかける郁代に会えるのがうれしいのです。


あなたにあえてよかった」に、こんな場面があります。
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高校入試の頃
  

自分の部屋から出した布団を屋根に並べ、その上に寝ころがって、
郁代は気持ちよさそうにしていた。
見上げれば、雲ひとつない青空にトンビが舞っていた。
中学生の郁代を思い出すとき、
なぜかその場面が浮かんできて、笑ってしまう。
郁代には、そんな光景が一番似合っていた。
(中略)

 
二日間ある高校入試の一日目を終えた郁代は、
「今日は練習日だからエレクトーンにいってくるわ」
「どうぞ、お好きなようになさいませ」
母は、ビックリ劇に少しずつ慣らされていった。
「明日も試験なのに練習に来るなんてあんただけだわ!」
先生の方が仰天したと聞いた。


「(二日目の)入試の作文の題は『春』だったけど、
最近ニャンコと遊んだことをそのまま書けば良かったから簡単だった。
田んぼのあぜ道を追っかけっこしていたら、風は暖かくつくしが出ていて、
春があっちにもこっちにも感じられたんだよ」


試験を終えて帰宅した郁代は楽しそうに言った。
郁代は、「自然」と言う学習塾へ、毎日、真面目に通っていたのだった。
あんたにはついていけないわ、もう…。
でも、そう思ったのは、それが初めてではなかったような気がした。
(後略)
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あの時の笑顔は春の陽だまりのようで、今でも心が温まります。
笑った後に出てくるのは涙・・・。
郁ちゃん、お母さんの子に生まれてくれて有難う。