高尾城址から天下を見渡す

今日の詩吟教室で練習したのは「自訟」です。

自訟  杉浦重剛

岳(がく)に登りて天下を小とし
自ら誇る意気の豪(ごう)なるを
其れ山上の山を奈(いか)んせん
之を仰げば一層高し

〈本文〉
登岳小天下
自誇意気豪
其奈山上山
仰之一層高

〈通釈〉
高い山に登って一望を見渡せば、天下が小さく見えると、
自ら意気の盛んなことを誇るものだ。
しかし更に上を見やれば、一層高い山が立ちふさがるように聳えている。
いったいどうすれば良いというのか、
仰げば仰ぐほど、更に高くそびえる山山があるのだ。
世の中に、これでよしという事はない、
いわんや満足してしまえば、それで終わりということだ。

〈解説〉
自訟とは自らを責める意。
作者は22歳の時、英国に留学している。
この詩は、その留学を終え帰国した明治13年(1880)の作。
当時、外国留学体験者というだけで高く評価され、
栄達の道も開かれていた。
自ら学校を創立し、教育に情熱を傾けた作者は、
一刻も勉学を怠ってはならないと自らを戒め、
勉学に終わりがないことを訴えようとしたのである。

・・・・・・
教室が終わってから、
急きょ高尾城址の桜を見に行くことになりました。
標高190mの山上からは「天下が小さく見える」、
とまでは行きませんでしたが、
金沢市内が一望できる素晴らしい眺めです。

桜はピークをすぎ散り始めていましたが、初めて登った人ばかりで、
みなさん感激していました。

今年満開に会えなかった方のために、
昨年の写真(12日満開)からです。

県教育センターのふもとから300段の階段を上ります。

左側の柵から市内が一望できます。

中央左に県庁、その向こうに日本海が見えます。

山の斜面を写したもので、
先程までいた見晴らし台(正面左のくぼんだ所)も見えます。
吉野の桜のミニチュア版のようできれいでした。

         クリックすると拡大されます。    (2014年4月12日北國新聞夕刊)

*高尾城(加賀国
詳細な築城年は不明。
1488年、加賀国守護大名富樫政親が、攻め寄せた加賀一向一揆衆に対し篭城。
抗戦むなしく自害した場所として有名である。