テレビアニメ『CLANNAD』(BS-i)ネタバレおぼえがきの執筆方針
関東圏・TBSでの放送から3週間遅れ(実質4話遅れ)の挙句,さらにBS-iでの放送からタイムラグがあるという,ひどく執筆のモチベーションが下がりっぱなしな箇条書き。何が得られるのかは,やってみないと分からない。長文を速記できる才能がほしい(切実に)。でも,がんばる。一応,テレビアニメ版・京アニ『CLANNAD』に関する言及のつもりである。(それでも原作のネタバレ注意)
今回,TVA・京アニCLANNADの視聴に伴うメモを作成するに際しては,以下の点を踏まえていくことにしたい(一度整理しておきたかった)。
1.なるべくテレビアニメ版オリジナルのストーリーとして把握するよう心がける
a) もちろん,原作ゲーム版の『CLANNAD』(2004年,Key)がある以上,テレビアニメ版を原作ゲーム版と比較照合したり,テレビアニメ版で省略された描写(削除された描写ではない)を補完することは,一つの指針として有効だと思われるので,ここでの解釈でも大いに活用したい。
b) ただし,志茂文彦氏によるシリーズ構成・脚本上の方針が,「ゲームの全画面のエピソードをカード化して,[…]いったんでき上がっているジグソーパズルをばらして,別の図柄を頭から組み直している」ものであること,ならびに,石原立也監督による編集方針が,「エクセルで表を作って,横軸で渚,風子…と書き出して,縦軸を日付毎の時間軸にして時系列でまとめ[…],こっちのルートでは渚はこういうことをやっているけど,同じ日の同じ時間帯で風子は別の場所でこういう事をやっているとかを整理しながら」,原作ゲームのマルチシナリオを一本化するものであること,という二点*1を踏まえると,原作ゲーム版と一見同じシチュエーションがテレビアニメ版に登場したとしても,シナリオの前後関係次第では,テレビアニメ版独自の解釈を施すべき余地が大きくなることを念頭に置く。
- 作者: 本田透,堀田純司,メカビ編集チーム
- 出版社/メーカー: 講談社
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たとえば,TVA・京アニ『AIR』第1話「かぜ〜breeze〜」にしても,神尾観鈴・霧島佳乃・遠野美凪の登場するタイミングが,原作ゲーム版とまったく違うし,恋愛要素を取り外すため微妙な台詞改変が多く,自ずからオリジナル解釈が要請されていた。また,TVA・京アニ『Kanon』にしても,第23話「茜色の終曲〜finale〜」で水瀬名雪シナリオを相沢祐一との恋愛要素抜きで完結させるため,相当プロットが手直しされており,それでいて,原作のエッセンス(自らの過酷には弱いままだとしても,だからこそ他者の弱さには心底共時ないし共感することができ,他者のためにならば強くなれる水瀬名雪の「強さ」*2)は損なわれなかった。
TVA・京アニ『CLANNAD』も,このように,原作ゲームを最大限尊重しつつ,アニメ媒体ならではのアレンジを加えてくる公算が大きい。
2.テレビアニメ版では,地書きがない分,映像表現から情報を引き出す必要がある
テレビアニメ版は,原作ゲーム版と異なり,主人公の独白が相当な比率でカットされており,また,実況調一人称に特徴的な地書きも再現されないため,視聴者は,主人公視点に重ね合わせるというよりも,むしろ第三者的視点から物語を見届けるほかない。主人公に感情移入できなくて,むしろ当たり前。さらにいえば,規範解釈は,読み手側の姿勢としていちばんつまらないので,本欄では行わない。
その代わり,映像媒体の特質上,テレビアニメ版では,人物の表情や声色,立ち位置の距離感を含めた挙動全般,あるいは風景描写を通じて,比喩的に登場人物の心情や関係性を表現する手法に長けているので,そうした視聴覚的要素を拾うことに努める。
3.『Kanon』を『CLANNAD』に置き換えても,ぶっちゃけこういう境地(おい)
このデスノコラだけで全てを言い尽くしているような気もするが,「それはそれ これはこれ」ということで(ひどいオチだなあ)。
*1:石原立也・志茂文彦対談「TVアニメ版『CLANNAD』制作秘話」(講談社MOOK「メカビ」2007年秋号14-17頁,2007年9月,ISBN:9784063788624)
*2:詳しくは,拙稿「Tactics/Key諸作品におけるジュブナイル的主題の変遷と展開―通時性と共時性―(その1)」(同人誌「永遠の現在」所収,2007年8月,http://rosebud.g.hatena.ne.jp/milkyhorse/20070720/1184937064)を読んでください(えー)。
*3:http://www.geocities.jp/takmitiirk316/souko/anikano3.html