[大井]第50回大井記念(南関東G2)|優勝:ケージーチカラ|父:アフリート|生産:浦河町・中神牧場

 6月7日に大井競馬場で行われた国内最長距離のダート重賞、大井記念は、単勝2番人気のケージーチカラ(牡5歳)[的場文男騎手、岡部盛雄厩舎(大井)]が、中団追走から豪快に差し切って優勝した。勝ちタイムは2:47:4。鞍上の的場文男騎手はこれで大井記念8勝目。2着にも同厩舎のウエノマルクンが入り、管理する岡部盛雄調教師は、昨年のサンデーバニヤンに続く連覇を最高の形で飾った。

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 レースは、昨年の浦和記念(統一GII)勝ち馬モエレトレジャーが例によって行く気を見せたものの、昨年のTCKディスタフ2着以来の休み明けとなる父トウケイニセイ産駒ドリームサラが、これを制して掛かり気味にハナに行く展開に。モエレトレジャーが2番手に控える形となり、昨年のこのレースを2着した父フレイズ産駒アイディンワンダーと内田博幸騎手騎乗で5番人気と伏兵視された父アイシーグルーム産駒ケイアイサウンドが好位を追走。的場文男騎手のケージーチカラはじっくり中団を追走し、前走武蔵野オープンを勝った父ナリタブライアン産駒の上がり馬タカオライアンと、昨年のこのレースを3着した父サッカーボーイ産駒ウエノマルクンがこれをマークするような位置につける。2003年のエンプレス杯(統一GII)勝ち馬で、ここは牝馬ながら押し出された形で一番人気に推された父ベストタイアップ産駒ジーナフォンテンは、中団の外で宥めながらの追走となる。

 前半はスロー気味に流れたものの、抑えきれないといった形で武蔵野オープン2着のブルーオオマサが上がっていくと、つられるようにしてアイディンワンダーも上がっていき、出入りの激しい展開に。中団を追走していた有力馬たちも、勝負所で進出して行き、一団となって直線を向く。

 直線に入ると、ブルーオオマサが一杯となって内からモエレトレジャーが先頭に立つが、馬場の真ん中を通ったタカオライアンと昨年の金盃3着馬ながら近走不振でここは最低人気だった父アサティス産駒のコマノブリザードの勢いも良く、直線半ばでは大混戦に。しかし、外から脚を伸ばしたケージーチカラが一気に先頭に立ち、そのまま抜け出して優勝した。

 中団からしぶとく脚を伸ばしたウエノマルクンが1 1/2馬身差の2着。昨年の東京記念を2着した長距離戦得意の父エアダブリン産駒ヤスミダブリンが、後方追走から直線大外を伸びて3着に入り、三連単は35,880円の波乱に。

 以下、金盃2着の父ミスターシービー産駒クールアイバーが、例によっての後方待機から直線よく追い込んで4着。直線半ばで抜け出すかと見えたタカオライアンは、ラスト伸びを欠いて5着。見せ場を作った伏兵のコマノブリザードは6着。道中折り合いに苦労した感のあったジーナフォンテンは、直線伸びず7着。好位追走のケイアイサウンドは、勝負所で置かれてしまい8着。先行勢はことごとく失速し、アイディンワンダーが10着、モエレトレジャーが12着、ブルーオオマサが14着、ドリームサラは大差の最下位16着に終わった。

 勝ったケージーチカラは、父が人気種牡馬ノアフリート、母がJRA3勝のビソアスイート(母父モガミ)で、近親に1987年の東京障害特別・秋3着のシンボリソレイユがいるという血統構成。1996年の札幌3歳S(GIII)勝ち馬セイリュウオーや、2002年のサマーチャンピオン(統一GIII)など統一重賞2勝のフジノコンドルらを輩出している北海道・浦河町の中神牧場の生産で、馬主は「ケージー」の冠号でお馴染みの川井五郎氏。3歳の2月にJRA梅内忍厩舎からデビューし、新馬勝ち。しかし、その後は笠松交流戦で1勝を追加したのみで頭打ちとなり、昨夏に大井の岡部盛雄厩舎に移籍。大井に転入後はいきなり条件戦を5連勝し、その後も順調にクラスを上げていったが、オープン初挑戦となった前走の武蔵野オープンでは一番人気を裏切る5着に終わっていた。

 ケージーチカラは、父がアフリートだけに距離がどうかと思われたが、的場文男騎手のベテランらしい好騎乗もあって、今回は完勝といっていい内容だった。一線級の出走がなく、現状ではまだ南関東のチャンピオン級とは言い難いが、まだ5歳だし、昨夏から一気に上昇してきた勢いは魅力。この勢いを秋にまでつなげることができれば、さらに上を目指すこともできそうだ。

 2着から4着までは、大井の長距離戦となると浮上するお馴染みのメンバーが今回もキッチリ結果を出してきた。ただ、裏を返せばこれらを逆転できる新勢力がケージーチカラただ1頭だったという事にもなる。5着に終わったタカオライアンあたりは、まだ成長の余地を残しているようにも思えるだけに、今後に期待をつなぎないところだ。人気を裏切ったジーナフォンテンは、今日は気性面での難しさが出てしまった感じ。モエレトレジャーは距離もあるかもしれないが、やはり大井は不向きなのだろう。