2月

 2月になって寒波がやって来た。私の住む岡山県南は、‘晴れの国’と呼ばれるだけあってめったに雪は積もらない。有難いことだと思う。けれど、夜明け前の気温は−7℃と寒い。昼間の気温も2・3度で風が冷たい。
 街から山の方へ勤務地が変わり、山間部の道を車で通っていると、季節の移り変わりと共に山々や木々の変化の様子がよくわかる。
 夏から秋の移る頃、早めに紅葉し始める木が緑の中で暫く華やかに目立つ。しかし、ある時期を境に一斉に山全体が黄や赤に変わる。運転していてもなんだか楽しい。わざわざ紅葉狩りに行く必要もない。紅葉が終わって葉がすべて落ちてしまうと、山はもっさりと鈍く止まったような感じに暫くなる。
 この頃の山は、片付けと拭き掃除をすっかり済ませた部屋のように、とてもスッキリして、見た目にも気持ち良い。
 早朝からの勤務を終えて午後、車を走らせていると太陽の光が眩しい。道沿いの木々の光に透けて見える枝先が、細くまっすぐ上へ上へ向かって、あるいは、毛細血管のように外へ外へと向かって伸びてる。もう、暖かくなる準備を始めてる。