森村誠一「日本人全体が心身ともに肥満化している」

「最近のコンテンツはお粥化している」――「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」でなぜこんなにも感動するのか。原作者・福井晴敏氏の発言を踏まえて考えてみた - 4Gamer.netの「最近のコンテンツはお粥化している」云々を見て森村誠一松本清張について語ってる中の一節を思い出したのでメモ程度に引用してみようかと。

清張さんが生まれ合わせた時代に、まさに清張作品と日本が求めていた作品がジャストミートしたのです。今は、読者が文学に、人生とは何かとか生きるとは何かとかをあまり求めなくなっている。エンターテイメントの選択肢が非常に多くなっています。パソコンとか携帯電話の影響があります。ゲームの影響もあります。それから、日本人全体が心身ともに肥満化してきました。だから、文学においても芸能においても、その他のクリエイティブな場面においても、ダイエット時代なのです。だから、清張さんのような非常にこってりとした、血の滴るビーフステーキのような作品群は、今日の読者には、消化不良をおこしかねない恐れがあります。当たりがよくて、あまり栄養がない、太り過ぎないような、軽く読み流して二、三時間、いや一時間、あるいはお母さんが赤ちゃんの眠っている間にちょっと読める、そういう軽い作品が、マジョリティの読者に求められている。

森村誠一著「文芸の条件」P49-50より

文芸の条件

文芸の条件

この語りって冒頭に、

小倉の皆様はじめまして。本日、松本清張記念館の開館三周年に招かれて、非常に光栄に思います。

同上

ってのがあるんで、多分その開館三周年記念で講演かなんかをやってそれを文字起こししたもののようです。
wikipedia:北九州市立松本清張記念館を見ると、『開館 1998年8月4日』って書いてあるので、恐らく二〇〇一年ごろのものではないかと思われます。
まあ、あれっすね。前も書きましたけど(創作の境地 - 一切余計)、全然違うところで全然違う人が同じようなこと言ってるのは色々興味深いです。
それでは、今日はこの辺で。

BGM:「Everlasting Dream(オリジナルバージョン)オープニングテーマ Full Size」葉加瀬太郎