かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

卒業研究に大切なこと


卒業ついでに報告。
図書館情報専門学群は毎年、卒業式で分野*1ごとに1名程度、卒研が優秀だった学生を表彰する、という制度があるそうで・・・
マネージメント分野、自分が受賞しました。
多くの方のご協力によってはじめて書けた卒論だったと思っていたので、正直本当に嬉しかったです。
ご協力いただいた皆さんに心より御礼申し上げたいと思います。
ありがとうございましたm(_ _)m


で、受賞記念ってわけじゃありませんが・・・これにて卒研も一件落着ということで、ココとかココよろしく自分も卒研hackを書いてみたいな、とかなんとか。
発表については上記のお2人のところで詳しく紹介されているので、自分は卒研全体の進行メインで。
内容については自分が社会科学系よりの図書館情報学分野所属、ということで汎用性のある部分とない部分があると思いますが・・・特に調査に関する部分とかは自然科学系など本気で関係ない分野があると思いますし、逆にスライドに関する部分は人文科学系だと使わないところの方が主流だと思うので、まあ軽くスルーしていただければ幸いです。
あと基本的にmin2-flyの経験論によっているので、参考にされて間違いがあっても当方は責任を負いきれません。
その辺は請 御容赦。


では以下、本文。


先行研究調査

  • やりたいテーマが決まったら最初に先行研究・関連文献の調査を徹底的にやる。

研究において最も恐ろしいことの一つはある程度、研究が進んでから同じことをしている研究を見つけること。
もちろん実際には「まったく同じ」ということはほとんどないのでリバカリーがまるできかないわけではないが、相当苦しくなるのは間違いない。
そうならないためにも、先行研究の調査は関連文献を読みつくす意気込みでやっておいた方がいい。

  • 文献を読む際は本文だけでなく、その文献が引用/参照している文献も必ずチェックする

文献調査の基本だけど、これは相当重要。
関連文献を芋づる式に発見できるほか、いくつもの文献から引用されている文献はそのテーマにおいて必ず参照すべき重要な文献であると考えられるので、それを参照していないだけでも論文としての信用度がガクッと下がる。
また、例え引用文献の内容の概要等がまとめられている文献を読んでも、引用元の文献自体も必ずチェックすること。
書誌事項が間違っているなんてのはざらだし、引用者は基本的に自分に都合のいい/使いたい部分を引用するので、本体を見ないのは危険。

  • 読んだ文献については、書誌事項と内容のまとめのメモを作っておく

100-200件くらい文献を読むとなるといちいちメモするのも面倒なのでざっと読みたくなるところだけれど、出来る限りメモを残しておいた方があとで自分が引用するときにいちいち本文を確認しに戻らなくてもいいので楽。
調査/実験それ自体に直接かかわる部分は手元に本文を置いておいた方がいいと思うが、そうではない部分(例えば「はじめに」の章でそれまでの分野の動向をざっとレビューするときとか)は細かいフレーズを次々と引用したりすることがあるので、本文まで戻らずに引用&書誌事項付与が出来るリストがあると重宝する。
その際、文献の記述をそのままメモする際には「 」をつけて書かれているページもメモするなど、まさしく「引用」である部分と書かれた内容を自分の言葉でまとめなおしたメモが区別できるように注意すること。
自分はそれで何回か泣いた(爆)

フォーマット

  • プレゼンテーション/論文のフォーマット(形式・文体・デザインetc)は格好いい他人の真似をする

これ自体、指導教員の先生に言われたことの受け売り(爆)
もちろん著作権法にひっかかるようなやり方はもっての他だが、論文の書き方やスライドの作り方は真似して問題ないのでガンガン真似をすればいい。
オリジナリティは内容で出せばいいのであって、形式に頭を悩ませる必要はない。
ただまあ、「格好いい」からってなんでも真似できるわけではない(例えばProject Shizukuのid:milkyaのプレゼンは最高に格好いいけど、あんなの誰にでも真似できるわけがないし真似しようとして失敗すると酷いことになる)ので、そこら辺は自分に出来ることと出来ないことの見極めも重要。

調査の実施

  • 調査実施時期は論文の〆切から逆算して考える

これはインタビューとか質問紙調査をやる分野限定の話かも。
大規模の質問紙調査を郵送で行う場合、論文の〆切の3-4カ月前には配布・回収が終わってないとかなり切羽詰まる。
図情の場合、10月に行われる中間発表の段階で「今から全国を対象とする質問紙調査を行いたい」といってもほぼ無理。
一方でインタビュー調査や実験の場合は割と〆切ギリギリまで続けることが可能。
よって質問紙調査とインタビュー調査を両方やることを考えている場合は、まず質問紙調査の方法から詰めた方がいい。
ただしインタビューが質問紙の内容自体を左右する場合には当然そっちを先にする必要があり・・・と考えていくと、だいたいいつまでに何をやらないといけないかが見えてくる。

論文執筆

  • 研究過程は出来る限り明かす

例えばインタビュー調査の対象の選び方とか、質問紙調査のサンプルの抽出方法など、明かすべき部分は全部書く。
紙数に限りのある投稿論文では難しいところもあると思うが、卒論に下限はあっても上限はないので書ける限り書いた方がいい。
恣意性が多分に残っていると容赦なく質疑で突っ込んでくる先生がいる(「なんで○○図書館を対象に選んだんですか?」とか。地元の図書館を選んだとわかっていてあえて聞いてくる人は当然いる)し、そこで詰まると追い討ちをかけられる可能性がある。

  • とりあえず書けるところまで書いてみることを繰り返す

これも完全に先生からの受け売り。
「書いてるうちにどうしても書けないところが出てくる。そうしたらそこを調べればいい」。

発表会

  • Power Pointの「リハーサル」に注意

練習はもちろん大事だが、練習の際にMS Power Pointの「リハーサル機能」を使う際は注意が必要。
奴はデフォルトでリハーサルのタイミングを記憶して勝手に自動再生することがあるので、予期せぬタイミングで勝手にパワーポイントが切り替わる、という現象にあたふたする人がたまにいる。
練習していたことのあらわれなのに、それで混乱するとあまりに惜しい。
再生前に「リハーサルのタイミングを使用」にチェックが入ってないか確認しておくといい。
もしくはリハーサルのタイミングで自動再生させて自分は発表中はPCに触れない、と言う手もあるが・・・今年は自分以外にそれやってる人見かけなかったんだよなあ・・・
まあ、練習のタイミングとずれすぎるとスライドだけ先に進んで・・・みたいな事態になるリスクもあるし、そこら辺は本人の好み次第か。

  • 質問を恐れない

冷静に考えれば自分の研究内容について(指導教員やゼミ生以外の)他人の意見を聞ける機会なんて早々ない。
そういう意味では質疑応答はめったにないチャンスなのであって、(もちろん質疑に詰まって立ち往生する、というリスクはあるが)過度に恐れる必要はない。 
むしろ研究発表において、「質疑が全くない」ほど恐ろしいことはない・・・「お前の研究つまんねーよ」って言われてるのと一緒なわけだし。
そういう意味では逆に最低でも一人くらいは先生方が質問してくれる卒研の各種発表会は有難い機会ととらえた方がいい。
その点では着手・中間・最終の各発表の他に、夏ゼミ合宿(他大学との合同)や推薦入試の際にも研究内容の発表・質疑応答の機会があった自分はかなり恵まれていたと思う。
重要な影響を与えるような質問を下さった質問者の方々に感謝m(_ _)m
・・・そうは言ってもやっぱり怖いものは怖いんだけどさ(苦笑)

最後に、卒業研究に大切なたった一つのこと

  • 自分に合った先生を見つけて、その言うことを良く聞く

上に書いたことのほとんどが指導教員の先生からの受け売りであった(爆)ことで再確認。
自分が本当に「良く聞」けたのかとか、先生の方でも相性いいと思ってくれているかどうかとかは疑問だけど(苦笑)
卒研なんて「守・破・離」で言えば「守」のさらにとっかかりに過ぎないわけで・・・とりあえず必死で先生について行くところから始めよう、みたいな。
その際、相性が悪いと最悪・・・性格的な相性もそうだけど、指導方法の相性が悪いと先に進めなくなる*2ので、まずは自分にあった先生を見極めることが卒業研究(および人によってはその後の研究生活)において一番大切だと思う。
それさえうまくいけば、あとは先生の言うことを聞いていれば大抵なんとかなるし、なんとかならなくなったら先生に相談すればいいので。


まあ、自分にあった先生を見つけるのが一番難しい気もするのだけれど。
でも卒研生/院生で、自分の研究の話を楽しそうにする人は、同じように自分の先生の話も楽しそうにするから、やっぱり最後のが一番大事なんだろうなあ・・・。




あらためて、研究にご協力いただいた全ての方に感謝を。
それからここのブログを読んだりコメントしたりブックマークコメントしたり言及したりしてくださる皆さんにも。
たぶんブログを書いてなかったら多くの方とお会いして貴重な意見や示唆を貰うこともなく、ここまで研究にのめり込むこともなかったと思うので。
そしてもちろんゼミの先生にも。
気恥ずかしくてたまんないのでぶっちゃけ今日のエントリは見逃しててくれることを心から祈るばかりですが(なら書くな)。




・・・ってなんかしんみりムード装ってるけど、実際のところは明々後日に迫った学会発表を前にきりきり舞いなわけですが(苦笑)
っていうか今日先生に言われてはじめて気付いたけど、学部(学群)生が発表最後っておかしくないですか?!
普通朝一に持っていったりするもんでは・・・
夏ゼミ合宿よろしくなんかの力が働いたとも思えないし・・・いやまあ、夜型なので有難いっちゃあ有難くはあるんだけど、緊張が最後まで続くと思うとけっこう胃が痛くなりそうな・・・
自分が最後に発表すると思うと、他人の発表に下手に質疑出来ないというか・・・去年学群生のくせに質問したりしたせい、ってわけでもあるまいにし・・・


と、まあ最後はお茶を濁しつつ、とりあえずこれにてmin2-flyの卒研はいったん終了ということにて。
あー、修論は何やろう・・・?

*1:マネージメント、社会、システム、開発の4つ

*2:放任主義の先生は自律的に動ける学生には良いが言わないとやらない学生には不向き。逆にこと細かく指導するタイプの先生は好き勝手やりたがる学生には不向き