2009-06-12
■[図書館][エレクトリック] ひらめき、ひろがる、知の可能性(かたち):CiNiiリニューアルとウェブAPIコンテスト
今日は午後から国立情報学研究所(NII)のオープンハウスに行ってきました。
本当は午前中から行きたかったのですが諸々の事情(TA)により断念。
で、午後のお目当てはそのTAの担当授業で午前中にも扱っていたCiNiiリニューアルの話題です。
去年のオープンハウスでは「CiNiiのいま、これから」と題してリニューアルを前にCiNiiに関する様々な話題が取り上げられた取り上げられたわけですが*1、果たして4月のリニューアルでCiNiiはどう生まれ変わったのか、そしてCiNiiのWeb APIコンテストとはなんなのか?!
期待高まる感じで、以下いつものようにレビューです。
例によってmin2-flyの聞き取れた/理解できた/タイプできた範囲のまとめですので、誤りなどを含むことが十分に考えられます。
その点についてはご容赦願います。
- 司会:岡本真さん(ACADEMIC RESOURCE GUIDE)
Part 1. CiNiiの中の人から
- 1. CiNiiリニューアル 徹底紹介(NII学術コンテンツサービス研究開発センター・大向一輝さん)
- CiNiiのミッション
- 着実に論文情報を集めて提供する(研究者・学生向け):もともとのミッション
- ウェブの発展で出てきた新しいミッション・・・学術情報が世の中に存在していること、その信頼性の高さのプロモーション:一般向け
- 2つとも大事、両方やるのが新CiNiiのコンセプト
- CiNiiリニューアルのコンセプト
- 1. パフォーマンス:今後増えたときにも対応
- 2. ユーザビリティ;サーチエンジン経由で来た人でも使えるような
- 3. オープン化:検索機能、書誌データを外部の開発者に利用してもらう
- ユーザビリティ向上
- ターゲットは一般ユーザ
- 検索ボックスは1つ、詳細検索は全項目明示、項目間のOR/NOTは不可能に
- 関連著者・関連刊行物も検索画面に出す
- 外部サーチエンジンから入った場合には検索キーワードを引き継ぐ
- OpenSearch
- 詳細検索と同等の機能
- XHTML, RSS1.0, Atom1.0の3種類のレスポンスを返せる
- Dublin Core/PRISMの語彙
- 書誌RDF
- OpenSearch RSSと完全にリンク
- FOAFによる著者情報の記述
- なぜオープン化?
- NIIだけでやる時代は終わっている
- データを使ったサイエンスをきちっとやりたい
- ビブリオメトリックス
- ソーシャルネットワーク分析
- 共同研究も随時募集中
- 開発も独力では限界がある
- 「わたしにとってのCiNii」を作ってもらえる:特定分野向けやこども向け?
- マッシュアップに
- CiNiiのこれから
- まずは安定運用
- さらなるオープン化
- 新しいコンセプトの導入(以下で説明)
- CiNii著者検索(仮称)
- ひと単位での検索
- 同姓同名問題を解決、個人ごとに論文リストを出せるようにする
- KAKEN、研究者リゾルバとも連携
- 研究と事業の融合
- コモンズとしての運営モデル
- どう運営していくか?
- 本当のユーザとは? 研究者や学生だけ? みんな?
- コストの負担はだれがするべきか
- 募集要項・・・詳細はこちら(随時アップデート):CiNii - CiNii ウェブAPIコンテスト 実施要項
- 3. サンプルアプリケーションのデモ
1. 携帯向けCiNii
- フルブラウザ携帯は本文まで読める
- その他のケータイ向けにはメールで論文のタイトル・リンクを他の端末に送れる
- デモに使われたのはかの有名な「ぷよぷよはNP完全」論文(CiNii 論文 - ぷよぷよはNP完全 )
- どれくらい需要があるのかなど意見を聞かせてほしい
- (min2-fly)ごめんおもしろがって自分で検索してたからあんまりきちんとメモれてないです
2. CiNiiウェブAPIを用いたシラバス検索システム「SyllaWalk」(東京大学工学部・井川さん)
- 学生にもっと論文を身近に感じてもらいたい
- 学生にとって使いやすい授業検索システムを構築する
- (min2-fly)これ普通に欲しいから筑波大版も作ってくれないかな。
Part 2. トークセッション
- スピーカー
- 岡本さん:ご覧の通り段取りとか特にない。昨日みんなで飲みながら打ち合わせしたが飲み過ぎてよく覚えてない。
- 岡本さん:今日はそんなに硬くない感じで。だから私もスーツを着ていない(min2-fly注:まあ僕はアロハで来てるんですけどね)。CiNiiのリニューアルとAPIを活用してコンテストをやるわけだが、みんなでわいわい盛り上がれたらいい。最初にスピーカーからコメントを貰うが、続いて皆さんのコメントを幅広く貰いたい。ではまず嵯峨さんから。
- 嵯峨さん:
- 高久さん:いまのCiNiiをどう使っているか? これからどう使うか?
- 當山さん:
- 山田さん:
- 山形大学附属図書館の工学分館勤務。「紅花の歴史文化館」の検索システムなどをやったが、今はシステムを完全に離れている。
- プライベートでAPIを使ったマッシュアップをやっている。
- 大学図書館員として・・・OpenSearch対応のおかげで主だったブラウザからの検索は可能に。RSSをSDI的に利用することも。
- マッシュアップ作者として
- 大向さんからコメント:
- 嵯峨さんへ:時間があったらペルソナの話はやりたい。今のところ自分をユーザとしてやってしまっているので・・・「素人のように考えて玄人のように実行せよ」を心がけて。玄人は「情報源があれだから」とかで納得しちゃうがそうじゃなくやりたい。
- 高久さんへ:データの質は急務。大急ぎでやりたい。i-Linkageのような研究成果をいかにCiNiiにフィットしていくか、が次の課題。
- 當山さんへ:分析対象としては共同研究としてデータをまるごとやる方がいいかと思う。それをサービスするかは考えないといけないが、APIコンテストと別にやっていきたい。
- 山田さんと當山さんへ:被引用や本文のAPIについては、ゆくゆくはそうなっていくと思う。データプロバイダとしてのNIIの基盤が確立したら。それまでは認証通る人は・・・等の折衷案を介しながら。
- 岡本さん:会場は16:30まで使って大丈夫。先に主催者の米澤誠さんに挨拶をいただいて、その後16:30まで。
- 米澤さん:新CiNiiを使っていただいてうれしく思っている。お固いお役所ではなく、オープン/カジュアルに議論する場をこれからも設けていけない。残り30分会場とのやりとりを進めていっていただきたい。
ディスカッション
- 岡本さん:簡易なQ&Aみたいなことはやめよう。ただし皆に役に立ちそうならOK。
- 岡本さん;今日一番重要なのは「つながり」。今日ここに集まった応募候補者の間でつながりが作れるといい。webプロデューサーをやりながら思ったことは文化の違う人間が喧々諤々やってる方がいいものができる。日本のアカデミックサイトの質は今のところ低すぎる。よく叩いているがあれでも抑えている。みんな一人でやりすぎだからしょぼいものになる。なるべくグループを作ってほしい。できれば今日この場で出会った人とうまくチームを作って、チームプレイでコンテストに応募してほしい。そんな具合で、なるべく質問の中で自分をアピールして、「こんなことをやりたい」とか言いながらやってほしい。
- 科学コミュニケータの人(ごめんなさい名前をお聞きできませんでした):集合知について、一般の人にそこまで本に書かれているようなことは認識されていない。CiNiiがニコニコ動画とかWikipediaと難しいのの間になるのに必要なことってなんだろう?
- 當山さん:具体的に。
- 科学コミュニケータの人:一般の人に伝えるっていうことをCiNiiでやるらしいが、一般の人の「学術情報? なんやそれ?」ってのをどうやって埋める? 今のAPIで充分?
- 當山さん:今のAPIだとキーワードが凄く大事。論文を書いている人が「この分野はこういうものだ」って思ってつけているもの。そこからつながりをみると面白いものになるはず。
- 科学(ry:検索の鍵になるのは人? 本文や抄録ではなく人によるキーワード?
- 當山さん:個人的には・・・いろいろあるので「どれだ」ってのは言えないと思う。ハイブリッドに組み合わせつついい結果が出るものを探さないと。
- 大向さん:最後に落ちるのは人かと思う。CiNiiを専門家検索として使うとか。病気の名前を入れるとCiNiiがひっかかって、論文見てもわかんないんだけど著者に「この人のところに行けば・・・」みたいな。書いた人と読んだ人をどう出合わせるかの仕掛けは、一般の人にどうCiNiiをアピールするかに効いてくるんじゃないだろうか。
- Next-L・田辺さん:プロジェクトNext-Lというオープンソース図書館システムプロジェクトをやっている。今回のAPIコンテストとは別の話だが、今回のAPIはデータを取ってくることしかできないが、CiNiiにデータを送ることはできないの? データをユーザから集めるようなAPIを作るとして、どんなデータに興味がある?
- 大向さん:基本的にはこちらからデータを提供しているだけ。どこまで自動化でまとめられるかは限界がある。いかに本人の言うことを認められるか。信じられるならその人の書誌を出すとかできる。データベースを書き変えるまでにはいかないが、著者の自己申告データとNIIデータのどちらを信じるかみたいなのはあってもいい。集合知の時代に、自分が成果をアピールしていると書誌がきれいにできるとかいうことはあるといい。
- 人文情報学研究所・永崎さん:手元にある書誌データベースにCiNiiにないものがある。学会単位でオーソライズしたデータを部分的に付加できるようなユーザスペースがあれば。
- 大向さん:学会さんとの付き合い方もこれから大きく変わっていく。今までは我々が電子化してPDFアップとかだったが、これからはいかに生の情報をやりとりするか。その結果をまたCiNiiに取り込んで出すみたいな、学会とNIIの共存モデルはすぐには出せないがこれからお話させていただきながらうまくやっていきたい。
- 科学(ry:どんな論文が何件読まれているか、みたいなことは知れない?
- 大向さん:それをオフィシャルに出すかは悩ましい。ログ解析は今までは真剣に取り組んでいなかったが今後、中を見ていきたい。どの人が何を求めてCiNiiに来ているのか。その結果をAPIに出すと恐ろしいが・・・NIIオフィシャルとしては。「読まれているといい論文か」などの議論が起こるのは確実なので。アンオフィシャルに作ってやろうかな、とか。どういうデータがあると面白いかとか。
- 科学(ry:どの学会がIFが大きいかとかも揉めるけど、ぜひ裏でいいので。
- 岡本さん:NIIと共同研究/共同開発をすると、APIコンテストと別にそういう枠組みができれば。オープンハウスでも関連するテーマをやっている先生も出ているのでつかまえて何かやるといいのでは。また、NIIがこういうことをやってくれることで研究者の側でも「こういうデータを出せるよ」となってくれると面白い。CiNiiのデータを使うだけでは面白くない。NDLもJSTもYahoo!もGoogleもAmazonもAPIがあるのでその辺を如何にうまく組み合わせるか。
- 総研大・矢代さん:どこまでおバカなことをやっていいの? どこまではNIIは許してくれる?>大向さんへ。CiNiiのデザインを借りてなにかやる・・・みたいな、今のCiNiiのUIを変えるようなやりかたは可能でしょうか?>嵯峨さんへ。
- 大向さん:おバカなことはどんどんやってほしいが・・・1秒間に100回アクセスとかはやめてほしいが。想像力の大きい方が勝ち。「あれしちゃいけない、これしちゃいけない」とかは言わない。もちろん程度問題なので・・・何をやると「さすがに・・・」と言われるかやってみてほしい。
- 嵯峨さん:本質的にはデザインはちょっと変えて良くなるものではない。アイコン一つにしろ、画面のデザイン全体に理想の形がある。今、その形になっているとして、それを少しずらしてみていいものになるかどうかは高度なテクニック。web版のCiNiiとケータイ用のCiNiiで同じアイコンが使われているのは同じものには同じものとして示したい、という意味がある。それを新しいものを表示したいときにちょっと変えて表示させていいかは・・・それがどういうアイコンになるかは見てみないと何とも言えないが。大向さんはどう?
- 大向さん:CiNii自体についてもこれから新機能が付いたら新しい表現はする。それにそって過去のものを直すことはあるかも。APIのデザイン部門も作ったので、私ならこうデータを見せるというスケッチの応募も可能。ぜひそういうところで。
- 筑波大学・常川さん:大向さんがやっているソーシャルブックマークサービスにCiNiiの機能を使って拡張するとかは考えている?>大向さんへ。もう一点、コラボレーション的な機能の実践例があったが、今後CiNiiにそういう機能は提供すべき? Googleとかにつ追従すべきか否か。
- 大向さん:ソーシャルブックマークとCiNii、CiNiiだけでなく何を結びつけるかは会社の優先度問題になるが・・・うまくやっていきたい気持ちはある。コラボレーション機能は議論の中心。僕自身が心がけているのはなんのサービスかわからなくなったら終わり。シンプルかつ人に伝える、「こういうときにつかうもの」ときちっと言えるものでありたい。論文検索に人手のランキングを入れるべきかとかはそれでわかりやすくなるかどうかによる。「あれもできる、これもできる」ってだけならいらない。
- 一橋大・小野さん:こんだけ人がいるんだから開発者コミュニティがなんかあるといい。ブログでもWikiでもメーリングリストでも。
- 大向さん:裏サイトで良ければ(笑) でもIDがあるのにAPIに入ってないとか、やってる途中にアップデートするとか、どんどんうまくいくようにしたい。MLでやるかTwitterでやるかはわからないがコミュニティづくりはやっていきたい。
- 岡本さん;API提供元でコミュニティやるといろいろ面倒くさくなるので、皆さんの中に勝手に立ち上げてそこにNIIの人も勝手に参加するとかの方がいいのではないか。作る人みんなで回すコミュニティ。やる人がいればARGでちゃんと広報する。
- 農水・林さん:コンテストの中で実装についてのサンプル的なものも出てくればいいと思うがどうか? それと農水のAPIも使ってほしい。あとMLはなんなら作ってもいいので興味のある人はコメントよろ。
- 岡本さん:APIについて農水に触れなかったのは失態。かなり早くから公開されていた。あとメーリングリストはよろしく>林さん。
- 国立教育政策研究所・江草さん:APIで今回Open Searchに対応とのことだがSRU/SRWとかも検討してほしい。
- 大向さん:こればかりはお約束できない。元のシステムで出来ることのうちOpenSearchで出来ないことがあれば伝えてほしいが、基本的にはシェアの大きいところからやっていく。ただNCIDを出すとか、国際標準規格になっていないけど日本独自のものをどう表現するかは・・・読みとか・・・何を出すかはご意見いただければ。
- 岡本さん:スピーカーから一言ずつ。
- 當山さん:私も応募するつもり。ネタの参考になった。
- 高久さん:コラボレーションのCiNiiとかで言い損ねたんだが、CiNiiがいろんなところに出るにつれて「CiNiiってなんだ?」となる。API使って新しいもの作れるのがAPIのいいところ。総合展でそういうのが出るといい。
- 山田さん:CiNiiは自分が仕事はじめたときはなかった。それができて、外部から検索できるようになって、APIまで公開された。驚かされる作品が今後出てくることに期待。自分でも作りたい。
- 嵯峨さん:今は想像もできないようなサービスがどんどん出てくると心底面白い。今回のコンテストが本当に使いやすいデザインを考えるきっかけになれば。日本のwebサイトのクオリティが変わるんじゃないかと本気で思う。少しずつでも変わっていけば岡本さんから手厳しく言われるようなサイトはなくなり、「日本も変わりましたね」と言われるようになるはず。
- 大向さん:1回コンテストをやるってのはこんなに大変なのかと知った。「APIと言えばAPIコンテストだよな」くらいの気持ちだったが・・・多くの方の責任を背負ってやっていきたい。「こういうこともあるよ」というのを多くの人に伝えてほしい。どれだけ違う種類の人にさらされるのがどんなサービスにとっても良くなるほとんどただ一つの方法だと思うのでみなさんよろしく。
- 岡本さん:嵯峨さんの本を買いましょう。當山さんが翻訳された本も。それとソシオメディオさんのサイトに役に立つ情報も多いのでぜひ参考にするといい。
- 岡本さん:サービスで一番大変なのはビジョン。「なんとなく面白いから」だとなんかよくわかんなくなる。「これによってどういうことを実現するのか」を明確に。
・・・去年のワークショップ後の感想でも述べたけど、とりあえず、濃い・・・。
今回のメインはAPIを用いたオープン化の話で、昨年以上に絞った話がされていたはずですが、にしても濃いなあ。
いやはや、いやはや。
・・・個人的にはディスカッションで話題に上がった、CiNii側にデータを入れ込むようなことができないかということの方に興味があるわけですが・・・
なんだかんだいってあんだけ目立つ存在になると、逆にCiNiiにひっかからなければ論文とか読んでもらえない可能性が飛躍的に高まるわけで、もうGoogle八分とか他人事じゃないわけですよ。
たとえば"Library and Information Science"誌の60号は理由はわかりませんがまだ雑誌記事索引に採録されておらずCiNiiにも入っていないので、目下自分の該当誌掲載論文はCiNii八分ですよ。
そこでCiNii由来のデータじゃないけど著者由来のデータも出せるよ、ってのはどうかという話はかなり興味しんしんでしたが・・・まあ、それはそれでまた別の話。
あとは自分としてはメタデータの利用の部分とか利用ログの分析とかかなり興味ありますが、それもさておき、まずは今の注目はAPIコンテストでしょう。
「我こそは腕に覚えあり!」と言う方はぜひAPIコンテストに応募されてみるとなんか面白いことになるのではないでしょうか。
そんで便利なサービスができて公開してくれると自分も助かりますし皆助かっていいことづくめです。
・・・ディスカッションでアイディアが紹介されるたびに「これはライバルに対する牽制か?!」とびくびくしましたが・・・
ここに書かれてしまったことでさらにこれらのアイディアはそのままでは使いづらくなりましたね(爆)
まあ、NIIの方からもめったなことでなければ馬鹿やらかしてもOKのお墨付きも出ていることですし(ぇ)、なんか予想のはるか斜め上空を吹っ飛んで行くような作品とかが出てくることにぜひ期待したいところです。
*1: 「CiNiiのいま、これから」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
*2:
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*3:
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