新幹線 お掃除の天使たち〜「世界一の現場力」はどう生まれたか?〜、遠藤功、あさ出版、p.189、\1470


 JR東日本の子会社で、新幹線車両と新幹線構内の清掃を手掛けるJR東日本テクノハートTESSEI(旧社名・鉄道整備株式会社で通称テッセイで知られる)を紹介したビジネス書。多くのテレビ番組や雑誌で取り上げられたテッセイの現場と、強靭な現場力を生むまでの足跡を取材をもとに明らかにする。8月末に出版された本書はすでに14刷。ちょっとしたベストセラーである。現場でのエピソードには、ちょっといい話が多く、読み終えたときに爽やかな気分になれる。落ち込んだときに手に取ることをお薦めしたい。
 本書は前半で、「お掃除の天使たち」と呼ばれる清掃スタッフの奮闘ぶりを紹介する。上司や仲間が、現場スタッフを褒める「エンジェル・リポート」をもとに、11件のエピソードを取り上げる。特に中年女性の活躍ぶりは素晴らしい。感動的な話が多いので、涙腺の弱い方は通勤電車で読むときなど要注意である(評者も困った)。
 後半では、普通の企業だったテッセイが、「最強の現場」を抱える会社になるまでの2500日にわたる取り組みを振り返る。取り組みは、職場の環境整備、組織の見直し、人事制度改革など。2人の人物を軸にした成功物語はちょっと美しく描き過ぎの感もあるが、ビジネス書としては許せる範囲だろう。