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仄かに輝く

2017-06-04

[][]USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

「マーケターになるために最も大切なスキルは何ですか?」と聞かれれば、私は脊髄反射で「戦略的思考能力を身につけること」と答えます。(p.94)

そんな風に考える人が考えた、マーケティングについての概要を紹介した本。

戦略、マーケティングフレームワーク、マーケターと向き不向き、など内容は多岐にわたるのだが、特に個人的に興味深かったのは、やはり戦略の話。

では、戦略的思考能力を身につけるためには? エピローグにその訓練方法まで書かれている。

月曜日の段階で、1週間に達成すべき3つの仕事の優先順位を選んでおくと、日々の3つはより選びやすくなります。もっといえば、月頭にはその月に達成すべき3つを、その前に四半期ごとの3つを、更にその前に半期ごとの3つ、もっと前に1年に達成すべき3つを考えておくのです。(p.259)

つまり、日々の生活の中に戦略的思考能力を取り入れるべき、ということ。至ってシンプルだが僕は戦略的思考にとても苦手意識があるので、少しずつでも取り入れたいと思う。

では、話をもどしてマーケティングとは?

マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」です。(p.68)

マーケティングの最大の仕事は、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作ること(p.70)

それをどうやってつくるのか、ということがとても丁寧に書かれている。とはいえ、書かれていることはわりと一般的な内容が多かったりする。例えば、マーケティングフレームワークについてはよく語られる5Cや4Pなどを通じて説明される。ただ、読んでいるとまったく一般的な内容だけで語られているようには思えない。それは、著者の経験にもとづく説明が説得力をもって響くからだろう。もう一つは、一般論といえるような内容も著者の言葉で非常に伝わりやすく語られているということがあるだろう。

マーケターは、「マーケティングのスペシャリスト」であり、かつ「ビジネスのゼネラリスト」でもあります。(p.227)

例えば、この文章は一般的に「T型」と呼ばれるスキルの説明と変わらない。ただ、それをマーケターに限定した上で、非常にイメージしやすい言葉に置き換えている。

日本人に向けた言葉があったり、これからマーケターを目指す人に向けた言葉があったり、読んでいてわくわくさせてくれるのもこの本のよいところ。そして、「確率思考の戦略論」を読みたくなる、というおまけつきだが、多くのビジネスマンにとても役立つ本だと思う。

2017-05-21

[][]ジョコビッチの生まれ変わる食事

いわゆるグルテンフリーな食事の考え方の本。今少し調子を落としているジョコビッチだが、一時期の強さは尋常ではなかった。その当時の強さを支えたのが、このグルテンフリーの食事方法であったらしい。

この本はその考え方と実践方法について書かれている。ただし、注意したいのは

私にとっての最高の食事を、あなたにとってもらいたいわけではない。ただ、あなたにとって最高の食事が何かを知るための術を伝えたいだけなのだ。(p.32)

という点。結局さまざまな食事法があってそれはその著者が実践して見出したもので、著者には有効だ、というだけの話だ。多くの人に有効である可能性は大いにあるが、すべてが誰にでも有効とは限らないことに注意しなければならない。

グルテンフリーそのものはいたってシンプル。小麦グルテンを取らないようにする、という方法だ。小麦がなぜ悪いかということも書かれている。ただ、この本の内容はグルテンフリーであることと小麦の血糖値上昇を避けることが一緒くたに書かれている印象がある。p.100から始まる内容は、いわゆる糖質制限と同じ血糖値上昇に関するものだ。血糖値が上昇するとインシュリンが大量に分泌される。それによって脂肪が蓄積される、という話。

グルテンフリーであることのメリットはそのあとに少し書かれている。ただし曖昧だ。

全粒パンスニッカーズバーよりも約1.5倍も早く血糖値を跳ね上げてしまうのだ! なぜか?

おもな理由は、小麦の炭水化物がどのように消化されるかという点にある。グルテン血糖値急上昇の関係において、小麦は無敵の混合ダブルスチームだ。(pp.103-104)

グルテンフリーについては説明が非常に曖昧ではあるのだが、単にグルテンフリーや糖質制限という良くも悪くもわかりやすい内容のみならず、基本的な食事への姿勢を問うているのが非常に興味深い。特に東洋的な発想がそこかしこに見られるのがなお日本人に受け入れやすいのではないか。

この本の内容を日本である程度和食に慣れた人がやり遂げるのは簡単ではないかもしれない。ただこの食に向かうスタンスは素晴らしい。マインドフルネスに触れられていたり、睡眠についてもしっかり語られていたり、ストレッチのやり方についても書かれていたりする、今時の生き方としてもなかなか興味深い本。

科学的にどうなんだろう?と思う部分もあるので、そのあたりは自身で調べてみるしかないだろう。例えばこの部分。

右腕を伸ばし、左手を腹に当ててもらう。そして相手の強さを確かめてみる。今度は携帯電話を左手に持ってもらい、再び腕を押し下げていくのだ。携帯電話から発せられる電磁波は、悪い食べ物と同様に肉体に明らかな悪影響をもたらし、腕の力を弱めてしまう。(p.71)

これ、ほんとだろうか?

個人的に取り入れたのは、朝のココナッツオイル入りコーヒーだけだが、2週間ずつ食を変えてみるのは面白い体験になるだろう。

コーヒーを飲むときにミルクや砂糖など余計な物を入れずに、15ccだけココナッツオイルをたらすとよいのです。すると3時間後にはケトン体血中濃度が最大となり、認知機能が著しく向上します。(p.226

ジョコビッチの生まれ変わる食事

ジョコビッチの生まれ変わる食事

2017-05-13

[][]疲れない脳をつくる生活習慣

マインドフルネスの超入門書ともいうべき本。

「瞑想は脳の基礎力を鍛えるためのベースメソッドです」(p.18)

と捉え、それを実現するための生活の仕方を説く。

この本が興味深いのは、瞑想を中心に置いていることと、そのために生活をどうすべきかを説いていること。瞑想をきっちりするために、睡眠を考え、食を見直し、姿勢も整える、という考え方。それほどまでに瞑想は価値があり重要な活動である、ということだろうが、この「瞑想中心主義」的な発想は合理的であると感じるとともに「そこまでしなくても…」という感じを与える。ただ、脳を過剰に使わせる現代社会において、脳の基礎力を鍛えることが以上に価値があることはそう多くない、と考えれば、それほど変な話ではないだろう。

入門書であるためどうすればいいかがとても具体的に書かれているのもよい。例えば、無理なく眠るためには

夕方や寝る1時間ぐらいに散歩や軽いストレッチをする(p.69)

とよいらしい。それ以外にもたくさんのことが書かれているが、それらな本の最後(p.146以降)に「マインドフルに生きるための1日の過ごし方」という形でまとめられているので、そこさえ読めばどう生活すればいいかがわかるようになっているのもよい。個人的にそのうち一番自分が気をつけるべきと感じたのは、

夕食の際にとくに実践してほしいのは、「ゆっくり食べる」こと(p.134)

というところ。ゆっくり食べることとマインドフルネスがどう関係あるのかは是非読んでもらいたいのだけれど、これが意外に難しいかも知れないと思ってしまった…。

糖質食ではなく低GI食を進めていたり、それどころか夜食には「高GI食」がよいというようなことも書かれている。ダイエットを目的とした本ではないので、糖質排除の方向ではないのはもちろんだが、科学的に正しい情報を提示しようとする書き方も好感が持てる。

マインドフルネスを知るための最初の本としてよさそう。

ちなみに。

現在のグーグル社員に必要とされる3大スキルは何だと思いますか。プログラミング統計ではありません。「Cook」「Move」「Sleep」、つまり料理すること、体を動かすこと、寝ることなのです。(p.137)

これだけ読むと、僕はGoogleに入れそうな気がするね。

疲れない脳をつくる生活習慣

疲れない脳をつくる生活習慣

2017-04-09

[][]改訂2版 データサイエンティスト養成読本

初版が出た頃から知っていた本というかムック。今回初めて読んでみた。

一通り読んでみての感想は「前半と後半でターゲットが全然違う!」ということ。これ最初に読み通すにはちょっと辛い気がする一方で、程度経験がある人にとっては前半は割と知っているようなことが多いんじゃないだろうか。

だから、本当に初めてデータ分析をやろうとする人は前半、それも最初だけ眺めるだけでも問題ないかもしれない。どういうスキルが必要かわかるし、どういう学びや経験が必要かもなんとなく分かると思う。少なくとも「進むべき方角」くらいはわかる。それだけでも価値がありそう。

経験を積んだ人にとっては確かに多くは知ったことが多いと思うが、それぞれこの分野に入ってきた道が異なるだろうし、どんどん技術が進んでいる分野だからこそ、基礎的な内容が漏れてしまいがちになると思われる。だからある程度経験がある人でも得るものはそれなりにありそう。

僕自身はロジスティック回帰についてけっこう勘違いしていたところに気がつけたので、それだけでもこの本の価値はあったと思う。あと、「データマイニングに必要な11のアルゴリズム」の章も以前から気になっていたことが概観できてよかった。

後半の「マーケティング分析本格入門」は、データ分析をどう進めるか、という実例としてけっこう面白く読める。改訂版ならではのアップデートもしっかり行われていて、以前に比べて現在どういう方法が主流になっているか、などもわかる。

ただ、データサイエンティストが知るべき内容全体を概観できているのかというと微妙な気がする。僕自身まったく中途半端な知識しないけれど、これで何かがわかったという気はしない。

今回例を見ながら手を動かすこともしなかったので、それをしていたらもう少し評価が変わるかもしれないが、この本でなんとなく方向性を理解した上で、もう一冊くらい入門的な全般的なデータ分析・機械学習などを扱っている本を読めばやるべきことが見えてくるのではないかと思う。

あくまで導入としておすすめ。

2017-04-02

[][]会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント

自分が所属する会社に対して違和感を感じるとき、そして何か変化を起こそうとして動いてはいるのだが、それがうまく結果につながらないときがあると思う。そのとき、部分最適に陥っていないだろうか、もっと全体をみた組織の最適化を行う必要があるのではないか、というのがこの本の主張だ。

最初は、よくある(らしい(笑))組織の課題がつらつらと描かれる。例えばP.21にある質問票を見てみよう。

会社の方針が社員に理解されていない

経営計画を作っても十分に実行されない

経営層と現場層に壁のようなものがある

部署間が協力し合わない、対立することがある

仕組みやルールを取り入れても形骸化してしまう

無駄に思える会議やミーティングが多い

社内システムが機能しない、効果が上がらない

研修に参加しても業務の役に立っていない

人事評価制度の運用がうまくいっていない

社員に自立心や主体性がない

これらは部分最適の問題であるという。つまり

会社の方針、人、組織、仕組み、システムなどあらゆる経営資源が限られた範囲や部分では最適であるが、会社全体として見れば何ら貢献せず不適切である(p.22)

という状態だというのだ。そして、その事例を説明しているのだが、あーあるある…と感じることばかり。

現場のメンバーにとって、本当に解決したいと思っていることというのは(中略)自分たちには手の出しようのないところにあった(p.41)

過去の失敗を認めずに次に何かやろうとすると、社員は経営者に不信感を抱きます。(p.46)

確かにそういうものだと感じる。

その場合、何をすればいいのか、それがこの本に書かれていることである。

様々なことが書かれているけれど、この本で書かれていることの中心は「組織としての目的意識・ビジョン」である用に思う。これがあり、伝わっていること、それを仕組みの中で全体が意識して動いていること、それが実現できることが全体最適を実現する鍵なのだ。

その上で

企業経営が成り立っている条件として、「ビジョン」・「仕組み」・「人」がつながっているということ(p.134)

だというのだ。

もちろんそんなこと分かっていてそれを組織で実施するのが難しいんだよ!という人もいそうだけれど、それについてもポイントとなることが意外に細かく書かれている。(ちなみに、組織力学みたいなことは書かれていないのでそういうことを知りたいと思っている人にはあまり価値がないと思う)

ビジョンについては伝わることを重視しているのが特徴的だ。伝わるためには

実際に伝わるビジョンというのは、そのビジョンが肉声を伴って、言葉で発した人の顔が浮かんでこそ伝わるもの(p.147)

というのが面白い。組織のビジョンは組織のもののような"顔"をしがちだが、それではダメなのだ。その上で

「実行のイメージができる」「分かりやすい」「8割の社員の納得感が得られる」(p.216)

という特徴を持ったビジョンであるのが伝わるポイントだという。

そして、もう一つ興味深いのが、全体最適化を実施するための経営企画部の役割。具体的なことは是非本を読んでもらいたいが、経営企画部を全体最適化の役割があると認識している人はそう多くないのではないか。

ビジョンをきっちり作った上で、自律性を醸成することも重要だと述べている。つまり、トップダウンだけでもボトムアップだけでもダメで、その両方がうまく機能する組織を作ってこそ組織が全体最適化される、というわけだ。

最初に出た質問票の10の質問にきちんと答える内容が書かれているので、最初の質問票で1つでも気になったら読む価値ありだと思う。本当はトップに読んでもらいたいが、そうでなくても役に立つ本になっているはずだ。

会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント

会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント