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仄かに輝く

2016-07-17

[][]ビジネスモデル全史

ビジネスモデルとは何だろうか?この本によると

ビジネスモデルとは、旧来の戦略的フレームワークを拡張するためのコンセプト・セットであり、その目的は多様化・複雑化・ネットワーク化への対応である(p.49)

らしい。そんなビジネスモデルの歴史を解説したのがこの本である。

ジレットの「替え刃モデル」や「広告モデル」など有名なものから、最近の「フリーミアム」「オープン・イノベーション」など紹介されているビジネスモデルは多岐にわたる。また、日本の三井越後屋の「現金掛け値なし」の解説があるなど、日本で書かれたからこそ含まれているビジネスモデルもある。そして、単に紹介するのではなく、それがどのような変革(イノベーション)をもたらしたのか、をきっちり説明しているのがこの本のよさである。

例えば、替え刃モデル。替え刃モデルは本体ではなく消耗品側で利益を得るモデルで、ひげそりだけでなくプリンタなどで有名だ。ただ、替え刃モデルは、アイデアだけではなく製造技術による革新である、との解説がある(p.98-)。剃刀の刃を薄くする技術を開発することに成功したからこそ、このモデルが実現できたというのだ。

他にも、GMの計画的陳腐化モデル。これを実現するための大きなポイントが「デュポンに学んだ事業部制の導入(p.96)」であるという。

このように一般には有名であっても、表面的にしか知られていないような内容を丁寧に解説してくれているので、経済や経営に詳しくない僕でも面白く読むことができた。

また、あまり印象のよくない「系列モデル」に対し

系列モデルの効用は、柔軟性を保ったまま「永遠の原価低減・品質向上努力」を続けるところにある(p.135)

と指摘したり、

「経営権を維持したければ初期段階でベンチャーキャピタルには頼るな」が、シリコンバレーの新しい常識(p.240)

と、新しい潮流を解説したりすることも忘れない。教科書的というか辞書的というか、とても親切な本である。

もう一つは、この分野に関するたくさんの名著が紹介されている、ということ。僕が読んでみたいと思ったものだけでも、「ネット資本主義の企業戦略―ついに始まったビジネス・デコンストラクション」「コーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変える」「プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新」「オープン・アーキテクチャ戦略―ネットワーク時代の協働モデル」「オープン・サービス・イノベーション 生活者視点から、成長と競争力のあるビジネスを創造する」「インビジブル・エッジ」「ゲームの変革者―イノベーションで収益を伸ばす」「ストラテジック・イノベーション 戦略的イノベーターに捧げる10の提言 (Harvard Business School Press)」「アントレプレナーの教科書[新装版]」「リーン・スタートアップ」「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」「イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)」「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」などがある。一度手に取ったことがある本も多いが、この本によってビジネスモデルの歴史を知ってから読むと、より理解が深まるに違いない。

そして、最後の章「今、日本から世界に挑戦できること」はビジネスを考える上で非常に興味深いキーワードが多い。公務員やNPOなどの人材活用、セミプロクラウド・ソーシング、そして「知の余剰」。

早めに読んでおけばよかったな。事業を考える上でのヒント満載だと思う。

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