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最果て系×××れたセカイ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-03-07

猟奇的、教育的 氏賀Y太「淫虐監獄島」

淫虐監獄島 (別冊エースファイブコミックス)

淫虐監獄島 (別冊エースファイブコミックス)

言うまでも無く、氏賀Y太といえば内臓どろどろ、手足すぱすぱ、おっぱいべりべりと残虐な描写をメインに描き続けるエロマンガ*1です。そのためか、一説には興奮すると「〜〜ですぅ」みたいなノリで時々語尾に「〜〜だるまぁ」とつけてしゃべる人らしいです*2

本作は長編+短編集で、長編のほうは女エージェントが監獄に囚人として潜入してそこで暴虐の限りを尽くされるという話。グロ度は低めなもののSなクール系女エージェントアイスちゃんの萌え度は高いです。また短編では「愛する人と全世界どっちが大事なんだ」というようなセリフが出てくるなんちゃってセカイ系なグロ話とか、片思いの先生が結婚を教室で報告し、むかついていたところ時が突然止まりそれに乗じおっぱいべりべりしちゃう学生を描いた話などがあります。

で、僕が本作の中で断然イチ押しなのは『猿鳩先生の止事(やんごと)なき授業風景』です。これはたまたま立ち読みしたフラミンゴR*3に載ってたのを読んで、これは面白いと思っていたんですがついに単行本化しました。この『猿鳩先生』は小学校が舞台で、カイゼル髭をたくわえた教師の猿鳩先生がスパルタ教育を施す風景が描かれている話です。このスパルタ教育というのはもちろん生徒がなんらかの失敗するとその生徒がノコギリで足を切断されるというようにY太らしい残虐な罰を施すということで、そしてそれが生徒たちには体罰の延長線上として当たり前のこととして受け取られているという(いささか不条理話的な)設定になっています。そのため、教室の生徒たちは目が欠けていたり両手が欠けていたりします(この教室の生徒たちの描写は記号的なキャラとあるはずのものの欠損が不気味なギャップをかもしていて面白いです)。

そして主人公の少女は珍しく欠損の無いからだですが、授業で黒板に答えを書いているときにお漏らしをしてしまい、先生にこっぴどく解体され、結局少女は体は解体しつくされ、脳や眼球や内臓など最低限の器官を袋詰めにされて教室にぶら下がって生きているというような存在になってしまいます。

ここまでだと、この猿鳩先生は単なる鬼畜野郎で、少女は陵辱対象(といっても『猿鳩先生』にはセックス描写は皆無ですが)の役割を担っているようにみえます。ところが最後に物語は転調します。そのもうほとんど人ならざるものとして生かされている少女は先生を恨むどころか、先生のだめな生徒を真摯に解体=教育する気持ちに共感し感動の涙を流します(といっても眼球は液体の詰まった袋に入っているのでわかりにくいですが)。そして先生はその気持ちに気づいたのかウインクし(カイゼルひげのオッサンがウインクするとなんかかわいい)その生徒に心の中でエールを送るというような、とてもとてもさわやかな結末となっています。

この結末には僕はなんとなく新條まゆのマンガを思い出しました。まゆたんのマンガは、ちょっとこいつはどうよというようなレイプ男が、ラストには愛を謳いお互い相思相愛となって、ハッピーエンドとなる、というようにパターン化(特に2000年代前半あたり)しています。これは一部では、狂ってる、とか、お股パカーン、とか、そのキレイな顔をふっとばしてやる、とか倫理的な面で非難されていますが、むしろこれは新條が少女マンガというジャンルにおけるレイプや恋愛といったものの意味や規則を変えてしまったと捉えるべきです。

その意味で『猿鳩先生』は新條と同じように、鬼畜系猟奇系の意味や規則をいじったキレのある変化球といえるでしょう。そしてY太の魅力とはまさに単なる鬼畜猟奇描写だけではなく鬼畜猟奇系というものの規則をいじる手腕にあると僕は確信しています。まゆたんのマンガをよんで「咲也かっこいいぜ」と思うのと同じように、もはや読後にはさわやかな気分で「猿鳩先生かっこいいぜ」とつぶやかずにはいられません。

*1:もはや性描写は本質的では無いけど

*2:嘘です

*3エロマンガ・スタディーズのイベントで知ったんですが休刊してしまったみたいです。これは普通に文化的損失でしょう。ハードコアな雑誌でした。実写のグラビアスカトロだった巻とかあったし。

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