マリア様がみてる -私の巣(マイネスト)

ごきげんようごきげんよう

一言で言えば、凄く良かったし嬉しかった、マリみての最新刊。もう番外短編集しか出ないかと思ってました。

マリア様がみてる 35 私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)

マリア様がみてる 35 私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)

今回は、山百合会と関係のない一生徒・・じゃなかった、一姉妹で、でまるまる一冊という破格の扱い。そしてそのキャラがまた魅力的なんだ。百っちに、環さま。・・特に環さまが良い味を出しすぎてます。(呼び名「タマちゃん」が採用されなかったのが残念すぎです)

なんかもう、これで マリみて は あと10年は戦えるっ!・・って、実感してしまいました。

戦う司書と世界の力

大好きな戦う司書シリーズもこれで完結。前巻がとても良い感じて引っ張っていたので、気になって気になってしかたがない最終刊でした。

戦う司書と世界の力 BOOK10 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と世界の力 BOOK10 (スーパーダッシュ文庫)

読了してみての一番の感想は、戦う司書シリーズが急に色あせて感じたしまったこと。いいえ、最後で台無しにした、と言う意味ではありません。むしろ期待通りの最終巻でした。素晴らしいかった。でしたが、それだけに、きちんと、すっぱり、綺麗に終わってしまった。本当に何もかも終わってしまったのです。

立つ鳥跡を濁さず、じゃないですけれど、心になんの引っかかり(傷)も残さず、リークもなしに綺麗にガベージコレクトしてしまったというか。上手く言えないのだけれど、わたしは恐らく当分は戦う司書シリーズを読み返すことはないでしょう。

この終わらせ方が良くないという訳じゃないのです。ただ贅沢なんです。ほんのちょっとの食べ残し感、終わりの漏れをほしがる自分に気がつきます。もちろん山形さんもそれはわかっていて、でもマットアラストのエピソードは「食べ残させる」には少し足りない。うーん、物語の終わらせ方というのは、本当に難しいモノだとも思いました。(そう言う意味で「恋する爆弾」は絶妙でした)

この最終巻を読んで思い出したのは、皆川ゆか さんの ティーパーティーシリーズの最終巻、「ティーパーティー 我らこの世界を愛す」です。

ここまでの大団円で終わらせてる、そんな意味でとてもよく似た雰囲気の終わらせ方でしたが、ティーパーティーは後を引きます。戦う司書は後を引かない。そうして、はじめてティーパーティーの終わらせ方が絶妙なさじ加減であったことをいまさらながら知るのです。

君が僕を2 -私のどこが好き?

百合です。相変わらずの圧倒的な文章力で読者を翻弄する中里十さんですが、今回は「どうしちゃったの?」とも思ってしまった。

君が僕を 2 (ガガガ文庫)

君が僕を 2 (ガガガ文庫)

中里十さんの小説は、いつもとてもレビューが難しくって、何故かというと、どこが面白いのかを自分でも説明できない。というかなんの話なのかも説明するのが難しい。なのに、確かに面白い感じている(思っている・・だと、違うニュアンスになっちゃうんですよね)自分がいて、繰り返し繰り返し読んでしまうと。

多分言葉には魔力があって、「言葉で物語を記述して、その物語が心を動かす」という正攻法の他に、直接わたしの脳に言葉で魔法をかけて、直接心を動かしてしまう、そんな風に感じるというか。(「空前絶後」のような魔術を想像してくだせい。「言語野の中里」みたいな)


けれど、今回は説明が出来てしまう。その説明が出来てしまうこと自体が罠(というか魔術的トラップ)でないかと疑ってしまう。

とにかく、とても面白かった反面、中里さんがこんな話を作るなんて、と言うこと自体が恐ろしい。

P.S.
こう書くと、まるで普通のお話のだったように見えてしまうけれど、いえいえ。良くこんな話を作れる(思いつける)モノだという凄みがある、相変わらずの中里式です。読み進めても読み進めても、全然先の予想が付かない。

ねぇ、「私のどこが好き?」と聞かれたら、あなただったらどうします?